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IPO2023年10月4日

IPO社長会見 西部技研 半導体、二次電池など成長市場の開拓に注力

デシカント除湿機やVOC濃縮装置などの製造、販売を手掛ける西部技研(6223)が10月3日、スタンダードに上場した。初値は公開価格2,600円を3.3%上回る2,687円。荒れ模様の市場で、比較的堅調なスタトートとなった。上場当日の会見で隈扶三郎社長=写真=は、同社の概要や今後の成長戦略などについて語った。

独創性を重視……当社がIPOへのチャレンジを決めたのは2018年で、同族企業からパブリックカンパニーへの移行を目指してのことだった。当初の計画よりも遅れたが、上場に漕ぎつけることができた。経営理念として「独創と融合」を掲げ、「環境に優しい空気のソリューションを届ける。」をグループのパーパスとしている。主要製品はデシカント式除湿機とVOC濃縮装置だ。

製造、販売、メンテナンスまで一気通貫……デシカント除湿器は低温時や空気中に水分が少ない低露点環境においても効率的に除湿できることが特長だ。ロータ製造から完成品の製造、販売、メンテナンスまで一気通貫で手掛けている。製品の品質維持のために製造工程で湿度コントロールを必要とする食品・製薬工場、低湿度倉庫などのほかEV(電気自動車)の普及を背景にリチウムイオン電池製造工場向けのニーズが増えている。

環境負荷の低減に寄与……VOC濃縮装置は、塗料から発生する大気汚染の原因となる揮発性有機化合物をVOC濃縮ロータに吸着させ、分解して排出ガスを無害化する装置。開発からモジュール製造まで日本国内で手掛け、モジュール品を装置メーカーに販売している。自動車や船の塗装、半導体の製造、グラビア印刷などVOCが発生する工場、VOC含む原材料を扱う生産拠点などで使われる。6~7年前から半導体製造工場への納入が増えている。製造工程で排出される有害物質は燃焼処理を行うが、濃縮装置を使用することによって処理の効率が上がり、コストを下げられる。当社は社会的責任を果たすため、環境保全に積極的に取り組んでいるが、エンドユーザーの環境負荷の低減に寄与する、SDGs(持続可能な開発目標)にマッチした製品だ。

農業分野に進出……新製品としてCO2濃縮装置を来年4月に発売する計画だ。これは農業向けの製品でビニールハウス内のCO2濃度を上げることで収量の増加を図る。現状では灯油をたいてCO2を発生させるなどの方法がとられているが、この装置は空気中のCO2を濃縮するもの。イチゴでは2割の収量アップの実績がある。10年後に10~20億円の売り上げを見込んでいる。

半導体と二次電池、成長分野に焦点……今後の戦略としては、デシカント除湿機はリチウムイオン電池など、VOC濃縮装置は半導体産業向けなど、成長市場の開拓に力を入れる方針だ。特に二次電池工場に対する投資は中国が先行して、当社の中国向け売上高比率も高くなっているが、世界的な脱炭素の流れを受け、各国で投資が拡大する見通しだ。米国では(気候変動対策などに補助金を支給する)IRA(インフレ抑制法)の施行で、当社と長い付き合いのある日系、韓国系メーカーの投資が拡大している。大きなチャンスだと捉えている。(M)

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