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IPO2023年1月19日

IPO社長会見 アソインターナショナル グローバル展開、24年6月期中に始動

アソインターナショナル(9340)が2022年12月23日、東証スタンダードに新規上場した。同社は矯正歯科技工物の製造販売を手掛ける。初値は公開価格を15%上回る1,001円。上場当日の記者会見で阿曽敏正代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

矯正専門ラボのパイオニア……矯正歯科専門の技工所を経営している。中でも当社はブラケット矯正装置やマウスピース、プレート型矯正装置など、主に自由診療の非主流型のマーケットに属する。現在は手作りのアナログ商品が主力だが、デジタル化・高機能品化を指向している。CGや専用ソフトでデザインし、3Dプリンターやベンディングマシンなどを使ったもので、高付加価値化・高収益化へシフトしつつある。現在は全体の2~3割程度を占める。

矯正マーケットは年々拡大……歯科医療機関における患者数の推移は過去10年間横ばいだが、このうち歯の欠損や虫歯の患者数は半分に減っている。一方、審美・美容、矯正の患者は2.4倍に膨れ上がっており、これからも増えていくことが考えられる。日本には歯科医療機関が6万8,000院あり、コンビニより多いと言われる。このうち、矯正治療に対応しているのは2万5,000院。当社はこの約30%弱のマーケットを持っている。おかげさまで取引先の件数も増え、現在では6,047院まで膨れ上がっている。また、歯科医療機関当たりの売り上げも直近は上昇しており、高付加価値の製品やリピーターが増えていることが考えられる。国内の矯正用品の市場は約90億円。世界は何と8,000億円。日本の市場はもちろん、世界にも大きいチャンスがあると考えている。

柔軟な製造キャパシティとデータ分析力の活用……当社は生産を3つに分けている。1つは外注先となる協力パートナー。これは現在51カ所まで増えている。あと国内での内製、海外拠点での生産。さらに過去40年間で蓄積してきたアナログ技術やノウハウ、さらに直近10年間で得た260万件の患者さんのデジタルデータを融合させ、効率化、コスト削減、付加価値化を実現している。また、当社は多様なニーズで100種類以上の矯正装置を製造しており、これらの製品群が強みになっている。高付加価値化の製品にシフトし、国内で機械化・デジタル化に実績があるということ、グローバル生産体制を構築済みということが強み。

日本から世界へ……3つのステップを経て、最終的に世界を目指す。まずは欧米の歯科技工所と資本業務提携をし、世界の歯科矯正データを収集する。収集したデータをAI分析により当社内部の技術と融合させ、マウスピース矯正装置やあらゆる矯正装置をデジタル管理し、シームレスな設計を先生方と話し合いながら進めていきたい。そして第3ステップは、今まで矯正歯科の技工所というビジネスモデルだったが、AI分析を使うことによって世界の矯正歯科のデジタルコンダクターを目指していきたい。

グローバル展開のアクションプラン……足元で全体に占める海外売上高は3.2%だが、これを将来的には50%台まで伸ばしたい。24年の6月期中にアメリカ西海岸の業務提携先の歯科技工場と契約をし、翌25年の6月期中には10億円程度の売り上げを達成できればという計画を立てている。なお、AI分析については現在ベンダーを選定している段階であり、24年6月期中にはプロジェクトを始動、25年6月期中をめどに段階的にローンチをしていく。

上場の目的……歯科技工士は飲食店で言えばコックと一緒、いわば裏方役だ。当社がまず上場することによって歯科技工士という認知度、そして社会的な地位を上げていきたい。技工士の数は減少しており、高齢化も進み半数以上が50歳以上という状況。当社はこれまでも現場を離れていってしまった技工士の復職セミナーなど、いろいろ手掛けてきたが、やはり一技工所としては非常に弱い。上場することによって歯科技工の世界を明るくしたいと思った。また、日本の技術が世界に通用することはハワイで実証済み。8,000億円ものマーケットを黙っているわけにはいかない。世界進出に向け、上場で得た資金を用いてAI、機械化を進めていく。(SS)

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