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IPO2026年2月27日

IPO社長会見 イノバセル 日本のバイオの成功事例に

イノバセル(504A)が2月24日、グロースに新規上場した。オーストリア発祥で現在は日本に本社を置く失禁領域の再生医療ベンチャー。初値は公開価格を7.5%下回る1,248円。上場当日の会見で、ノビック・コーリン代表取締役CEO(写真左)とシーガー・ジェイソン代表取締役Co-CEO、細野恭史取締役CFOが語った内容のポイントは次の通り。

グローバルに臨床開発

(コーリン氏)日本のバイオテックだが、基本的に臨床開発はグローバルで行っており、現在第3相試験を日欧計12カ国で実施中。近々米国にも拡大したい。自家細胞で筋肉再生を行う再生医療等製品の会社。外肛門括約筋の再生で切迫性便失禁、尿道括約筋の再生で腹圧性尿失禁、内肛門平滑筋の再生で漏出性便失禁を疾病領域としている。最初の製品は切迫性便失禁のICEF15で、第3相臨床試験実施中。重症患者は日本に約12万人、米国32万人、欧州43万人と大きい。

われわれは2007年以降、GMP(医薬品の製造管理、品質管理の基準)に準拠した製造をしている。欧州はGPM製造でないと人に投与してはならないというルールがあり、コストコントロールもしっかりできている。これまで7つの臨床試験で計1,000人以上の投与を行い、データ量はものすごく多い。

欧米より進んだ日本の規制環境

おおもとのオーストリアの会社は00年に設立し、21年に三角合併でイノバセル株式会社が親会社として誕生。現在、本社は東京、100%子会社がオーストリアのインスブルックにある。両方で50人弱の従業員のうち、30人以上が研究開発などの専門家。基礎研究、臨床開発、製造、全て内製化している。下準備ができ、これからのコマーシャライゼーション(販売可能な形へのプロセス)のため日本で上場した。

(ジェイソン氏)(写真右)日本は再生医療等製品の規制環境は、欧米よりもむしろ進んでおり、開発するためには良い環境。親会社を日本に移して多くの日本の投資家が投資をしていただいた。そのエグジットを構築するのがもう一つ。それから、日本での臨床試験も第3相になったので、日本での上市、販売が結構早くなりそうということで、日本に親会社を置いて、東証での上場を目指してきた。

承認は再来年末か

(コーリン氏)ICEF15の臨床試験の最後の患者は今年の第3四半期(7~9月)ぐらい。その後、来年末ぐらいにデータが出てきて、製造販売の承認修正を日米欧で同時にする予定。日本の規制当局のレビューが12カ月と考えており、承認は再来年末から29年頭ぐらいと考えている。

(ジェイソン氏)既に、第2相B臨床試験で統計的な優位性が出ている。それも237例と大型試験で、高容量群と対象群の差の有効性がかなり出ており、臨床リスクはかなり下げている。機関投資家にもご説明したが、だいぶデータが見える状態で上場して、将来性も見えているとご認識いただけたと思う。

臨床リスクを低減

(コーリン氏)機関投資家にもご説明したが、臨床リスクは下げるところまで、下がっている。競合と比べても単純比較になるが、有効性が高い。また、日本大腸肛門病学会のガイドラインでも、未承認だがわれわれの製品の内容が書かれており、学会のバックアップもある。日米欧の規制当局と話をしていて、そこのリスクも低減できている。資金調達も昨年、(100億円調達した)シリーズDラウンドと今回の上場でファイナンスリスクも低減している。次に対処しなければならないのが、コマーシャライゼーションリスクと考えている。つまり、頻繁に資金調達しないといけないということをしなくてもいい状態、臨床試験を終わらせることができる状態の財務状況をつくりたい。その時期が今と考え、上場した。上場会社の方がこういうような疾病領域に対して治療オプションがありますよとか、そもそもこういう疾病領域があるというメッセージが出しやすいということもある。

日米欧で成功を

国内のバイオベンチャーが必要なことは、資金調達の容易性、市場の大きさ、規制環境の分かりやすさの3つ。再生医療等製品の規制環境は、ガイドラインさえ読めばよく日本は分かりやすい。資金調達は米国が圧倒的に強いが、日本は欧州よりしやすい。日本に投資する海外機関投資家もおり、世界でも米国に次いで2位だと思う。市場はグローバル開発が重要と考え、日米欧で開発している。グローバルで承認品目を持っている企業は大手ばかりだが、バイオベンチャーで本承認を日米欧で得て販売するという成功事例をつくるまたとないチャンスと思っている。

(ジェイソン氏)バイオベンチャー各社の株価を見ると市場は懐疑的なようだ。新興バイオベンチャーの事例があまりなく、あったとしても期限付き条件付き承認で、どこまで売り上げがあるか読みにくい。われわれは最初から本承認を取りにいき、複数の市場でほぼ同時に取りに行くことでリスクヘッジができている。

次のパイプラインの準備も

(細野氏)(写真左)ICEF15の臨床開発費用は来年ぐらいにピークアウトして、この先商業化の準備になる。代わりに臨床試験は腹圧性尿失禁のICES13の第3相試験、もう一つは漏出性便失禁のICEF16の第1、2相試験にフォーカスが当たる。それぞれ期待しているパイプライン。ICEF16については治験届を出す準備をしているので、今年、来年ぐらいに始めたい。13も第2相B試験まで終わっているので、次は第3相試験を日米欧で、これまでの経験を生かして、今年、来年ぐらいに始めたい。

(ジェイソン氏)販売提携契約は現在2社と協議中で、1社は日本だけ、もう1社は日米。日本ではどちらかの会社を選択し、今年中に本契約を締結できると考えている。今年の売上高予想の10億円はその契約一時金の想定。欧米でも協議を進めている医薬品販売会社がある。製造販売承認申請はわれわれがやり、先方のマーケティング、セールス部隊と共同で販売し、われわれが最終責任を負う形。(HS)

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