ギミック(475A)が12月19日、スタンダードに新規上場した。患者が最適な医師の選択をできるように情報提供する医療情報サイト「ドクターズ・ファイル」を中心とした医療特化型のプラットフォームを展開している。初値は公開価格を5.2%下回る1,090円。上場当日の記者会見で、横嶋大輔代表取締役社長(写真)が語った内容のポイントは次の通り。
読者の詳しく知りたいニーズに応える
2004年にリクルートを退職して創業。まだ、携帯電話がそれほど普及していない時代だったが、インターネットを使った生活情報サイトをつくりたいと思い、そのなかの1コンテンツとして医療情報を取り込んだ。(神奈川県の)田園都市エリアでスタートしたが、読者が医療情報を詳しく知りたいとのニーズが強かったため、「ドクターズ・ファイル」を立ち上げ、現在は東名阪と福岡に拠点がある。
医療DXやHRにも領域拡大
「ドクターズ・ファイル」と医療情報マガジン「頼れるドクター」が売上高の9割強。患者に、自分にぴったりのドクターを見つけてもらうメディアで、ドクターを客観的に取材して、記事をまとめている。現在はクリニック側のペイン(課題)も見えており、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)、HR(人材サービス)、地域医療連携といった領域に展開している。現在、病院の数は減少しているがクリニック数は増えており、サービスを広げている。高市(早苗)首相が、診療報酬を引き上げると言っているので、クリニックだけでなくわれわれの事業の追い風になると思っている。
参入障壁高く、低解約率
私どもと外形的に似ているサイトはあるが、ビジネスモデル、本質で差異があり、直接的な競合はいないと思っている。定額の利用料をクリニックから毎月いただくというところは基本的にない。理由は、クリニックに営業することが難しいため。医師は経営者なので営業できる時間帯は限られている。われわれは実直にしてきたので今がある。代替する媒体が他にないため、解約率も低い。クリニックが口コミでいろいろ(ネットに悪口を)書かれたとき、第三者が客観的に患者目線で取材した情報は(悪口の解消に)価値がある。
クロスセルで顧客単価5倍に
成長モデルはシンプルで、顧客数の拡大×顧客単価の向上。DX、HR、地域医療連携のサービスとクロスセルで売っていきたい。「ドクターズ・ファイル」だけなら年間の顧客単価は40万円だが、全てのサービスをクロスセルすると約200万円まで上昇する。また、われわれは地域限定のドミナント展開をしている。開業医の世界は横並び意識やネットワークが強い。ある医師に契約いただいた時、大学同窓、同じ病院の出身、医師会などその医師のネットワークを通じて紹介してもらったり、隣の先生がやっているのならばとまねしてもらったりできる。(顧客数が)拡大すれば原稿数も増えるが、AIをかなり導入しており、経費はかからない構図になっている。
既存エリアのシェア向上へ
DXやHR、地域医療連携はIPO前にサービスラインアップの領域も拡大した。まだアクセルを踏んでいないので、これから全く新しい領域に入るより、これらのアクセルを踏む段階と認識している。また、サービスを提供している地域の中で最も高いところは25%ぐらいのシェア、その地域のクリニックの4分の1ぐらいまである。他のエリアはそこまでいっていないので、一律、25%まで上げたい。
鹿児島モデルが成功
全くの新規エリアについては、現在、鹿児島モデルと言っているが、鹿児島には出社義務のいない現地社員2人がおり、福岡支社が行動を管理している。(鹿児島では)事務所もいらず、携帯とパソコンぐらいで十分。営業マンが全社で表彰されるぐらいの成果が出ている。この鹿児島モデルを参考にして全国をカバーしていきたい。地方銀行との連携や代理店の活用も行っていく。(HS)
※速報版は最終的な校了前の紙面記事です。今後、修正等が入る場合があります。

