ジェイファーマ(520A)が3月25日、東証グロースに新規上場した。初値は公開価格を8%下回る809円。胆道がんなどを対象とした創薬ベンチャー。上場当日の記者会見で吉武益広代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
ニッチで勝てる領域に特化
創業者の遠藤仁(杏林大学名誉教授)が見つけた「LAT1」というトランスポーターに特化した創薬技術を基盤に、ニッチで医療ニーズが高い、勝てる領域で国際的に展開し、付加価値を実現していく事業モデル。日米欧同時に医薬品を開発してマーケットに出すことで、ブロックバスター(売上高10億米ドル)のような大きな医薬品に育てていこうというのが目的だ。細胞膜は外からの侵害を防ぐための役割があるが、栄養を取り込む入り口があり、これをトランスポーターと呼んでいる。正常細胞は通常グルコースで生きているが、がんになるとどんどんアミノ酸を取り込み増殖していく。さらにがんが悪化すればよりアミノ酸が必要になるといわれている。当社が開発したナンブランラトという薬はアミノ酸の取り込みを防ぎ、がん細胞の増殖を弱めるというものだ。
太陽のように寄り添う抗がん剤
コンセプトとしているのは、「太陽のように副作用が少なく患者に寄り添う抗がん剤」の開発だ。がん治療における化学療法薬は髪の毛が抜けたり味覚がなくなったりなど、重い副作用で長く治療を続けられないという現実がある。ナンブランラトがターゲットとしている胆道がんは転移しやすく、がんが見つかったときには末期で手が付けられない、余命1年という患者さんが多い。5年生存率もすい臓がんに次いで悪い。また、65歳以上のお年寄りが非常に多いので、きつい薬剤に耐えられず途中でやめてしまうというケースが多い。一方、私たちの薬剤はフェーズ2のデータから、非常に副作用も少なく、長く飲めば長く生きられる、生活の質を維持したまま家族との時間を増やせることが立証されている。
開発ステージも大詰め
現在進行しているパイプラインは、ナンブランラトとJPH034の2つ。両方ともFDA(食品医薬品局)で厳しい評価を受けた上でのグローバルな臨床試験に入っている。特にナンブランラトはFDAと全ての試験内容などを合意し、あとは臨床試験の最後の詰めとなるフェーズ3の段階に昨年12月から入っている。フェーズ3はパートAとパートBがあり、今から4年半続くので承認申請は2031年3月期となる。ただ、承認まで全く収入がないというわけではなくて、パートAが終わってライセンスアウトができれば、このステージに来ている薬剤ならばそれ相応の頭金がいただける。昨年から始まったパートAは米国で約120名の患者を対象とした試験を実施しており、期間は2年間(28年3月期まで)となる。
調達はひとまず完了
あと2年間はグローバル試験をメインに開発をしていく。もう市場から資金を集めなくても、今ある手持ちの資金と今回の上場で調達した資金で十分にグローバルのフェーズ(ナンブランラトのフェーズ2・パートA、JPH034のフェーズ1)が賄える。この薬は絶対承認になるというあたりが付くところまで自力でやる方針だ。医薬品は自力でやらないで誰かに渡すと、最後まで育ててくれる保証がほとんどない。特に欧米の会社は途中でいくつもやめてしまう。そういうことがないように自力で育て上げ、日米欧で一緒に開発してくれるパートナーがいればブロックバスターになるのは難しいことではない。なお、JPH034は今日までAMED(日本医療研究開発機構)の潤沢な資金で全てのことがかなってきた。また、ナンブランラトも世界の最先端の先生方に助けていただきながら、また、日本や米国の補助金システムを利用し、一般的な製薬会社に比べて10分の1ぐらいの経費でここまで来ている。
日本発の自社創製化合物をグローバルへ
LAT1阻害剤を手掛けているのは世界で私たちだけであり、それを自分たちで独自に開発していることが強み。日本だけでちまちまやるのではなく、早い時期から米国・欧州などグローバルの薬事行政の厳しいところ、先生方の目も非常に厳しいところで育てていくことによって強くなっていく。現在、世界で上市している医薬品の85%以上が新興のバイオベンチャーから育ったものだが、日本のバイオベンチャーから出た独自の医薬品がFDAに承認された例はまだない。そのため、日本はバイオエコシステムが動いていないといわれている。独自サイエンスとグローバル開発力により、日本のバイオエコシステムを動かしてみたいというのが私たちの強い希望だ。(SS)
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