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IPO2025年7月25日

IPO社長会見 フラー スマホ中心に”アプリのフラー”

フラー(387A)が7月24日、グロースに新規上場した。スマートフォンアプリを中心にコンサルティングやデータ分析など顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援を手掛ける。電通G(4324・P)ヤプリ(4168・G)と資本業務提携して事業を拡大している。初値は2日目に公開価格の4.4倍の5,200円を付けた。初値が2日目についたのは、3月27日上場のZenmuTech(338A・G)以来4カ月ぶりで今年3社目。人気業種の上、需給がタイトだったことで買いが集中した。上場当日の記者会見で、山﨑将司代表取締役社長(写真左)と渋谷修太取締役会長が語った内容のポイントは次の通り。

千葉と新潟の2本社体制

(山﨑社長)2011年に創業し、従業員は190人。デジタルパートナー事業を営んでいる。2本社体制を採っていて千葉県柏市の柏の葉と新潟市に本社を置いているのが大きな特徴の一つ。デジタルパートナー事業は一言でいうとスマホのアプリのデザインや開発を中心に顧客のビジネスのDXを総合的に支援している。私も渋谷も1988年生まれで新潟出身。私は柏の葉、渋谷は新潟本社に常駐している。経営陣8人中5人が高専卒で、4人が新潟県出身。

デザイン力で他社と差別化

デジタルパートナー事業は事業開発、デザイン、システム開発・運用、データ分析全てに注力することが大きな強み。事業開発は顧客と並走。デザイン力は他社との差別化要因になっており、全てのプロジェクトに提案の段階からデザイナーが参加している。デザイン力を生かした提案は顧客からの印象が良く、コンペでも有利に働くことが多い。プロダクト開発ではユーザー体験を重視している。例えば、アウトドアのスノーピーク社のアプリを長年開発しているが、開発メンバーが実際にテントを張り、自らの体験を提案に変え、それがモノづくりに反映する。従業員の当事者意識を生んで、高い定着率とプロダクトの品質の高さにつながっている。運用ではユーザーの要望に合わせてどんどん改善する。もう一つの特徴が「AppApe」。自社サービスで競合アプリの分析や市場トレンドの調査ができる。「AppApe」のデータを販売して、そこからアプリの改善、開発につながることもある。これにより、「アプリのフラー」というポジションを築くことができた。

クリエイティブ人材が8割

人への投資を重視した経営戦略で持続的な成長に向けた人材基盤と顧客基盤を構築している。デザイナー、エンジニア、データサイエンティストなどのクリエイティブ人材が従業員の8割を占め、収益性の高さにつながっている。3年前から新卒採用をスタートして、毎年20人程度採用している。柏の葉と新潟の立地を生かして、オフィスの近隣に従業員の3分の2以上が住んでいることが定着率の高さにつながっている。

(渋谷会長)二本社体制は採用の観点で大きい。柏の葉は東京郊外の住みやすい街で生活したい人が集まる。新潟は転職やUターンで、仕事があれば地元に戻ってきたかった人が定着して、ふるさとで仕事をしてくれる。成長戦略としては人材採用を、規模の拡大でペースを上げることができる。また、AIとは相性がよく、様々なところで一人当たりの生産性を上げる。さらに、スタートアップ企業は東京だけでなく、地方でも増えている中、M&Aも一つ目指していければ。

電通G、ヤプリとの連携で販路拡大

(山﨑社長)成長の基本方針は、良い人を迎え入れること、それに見合う営業販路を拡大させること、そして良いモノづくりができる品質をさらに発展していくことの3点。まず、上場によるブランド力向上で、人材採用を積極的に推進し、数年以内に300人体制を目指す。良いモノづくりはフラーのコアコンピタンスで、全社員による勉強会や積極的なAI活用などを通じて、社員全員をボトムアップする。販路の拡大ではヤプリと電通Gの2社と提携した。ヤプリはノーコードアプリのトッププレイヤーで、多くのリード顧客を抱えており、相互送客をしている。簡単なアプリはヤプリ、フルスクラッチはフラー、超大型案件は電通Gと一緒にという座組で国内アプリの市場をフルカバーして、共同提案、相互送客を積極的に行っていく。(HS)

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