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IPO2025年6月26日

IPO社長会見 プリモGHD “最高の顧客体験”を届ける日本発のモデル

プリモグローバルホールディングス(367A)が6月24日、東証スタンダートに新規上場した。初値は公開価格を6.3%下回る2,013円。同社はブライダルジュエリーの企画・販売事業を展開。上場当日の記者会見で澤野直樹代表取締役社長(=写真=)が語った内容のポイントは次の通り。

4ブランドを展開……オリジナルブランドの「I-PRIMO(アイプリモ)」がメインブランドで社名にもなっている。ブライダルリングの専門店として国内外で積極的に展開しており、今後もこちらのブランドが牽引していく形になる。「LAZARE DIAMOND(ラザールダイヤモンド) NEW YORK」はニューヨークで発祥したダイヤモンドのカッターズ(ダイヤモンドを原石から切り出して研磨、カッティングを施す)ブランドであり、100年以上の歴史がある。一昨年に日本国内の商標権を取得し、現在は国内で直営店15店舗を運営している。「K.UNO(ケイウノ)」はオーダーメイドジュエリーのブランドで、現在、台湾においてジョイントベンチャー方式で3店舗を運営。「STAR JEWELRY(スタージュエリー)」は日本でも有名なファッションジュエリーのパイオニア的な横浜・元町発祥のブランドであり、海外(上海2店舗、台北2店舗)でライセンシーとしてビジネスを展開している。

顧客特性と強み……ブライダルリングは基本的には一生に一度しか買わない、人生で最大のセレモニー“結婚”にまつわる商材であることから、価格・品質・デザイン以外に情緒的な価値が求められる傾向にある。そこに着眼したわれわれの強み、訴求ポイントは3つある。1つ目はヒト・モノ・カネ全ての経営資源をブライダルリングの運営に特化することによって、ブライダルリングのセグメントにおいては大手のナショナルチェーンのブランド、グローバルのラグジュアリーブランドと対等にビジネスを展開している。2つ目はモノだけではなく人の魅力を売るサービス業でありたい、そんな思いから、2時間という接客の時間を大切にするパーソナルサポートという接客スタイルをとっており、これは海外でも同様のやり方で運営している。3つ目はブライダルリングの特性上、お客さまは必ず予算を持った上で来店するので、予算に応じてダイヤモンドとデザインリングを自由に組み合わせして選ぶことができるセレクトオーダースタイルを採用している。この利点は2つあり、1つは顧客満足度が非常に高くなる点、2つ目はわが社の特徴でもあるが、お客さまが注文してから発注する受発注のシステムを確立したので、資産効率が高いモデルとなっている。

国内No.1ブランドの地位を確立……国内のブライダルジュエリーの顧客セグメントを3つに分けて、一番のボリュームゾーンであるアッパーミドルレンジでわれわれはビジネスを展開している。メインブランドのアイプリモは面を取る戦略で、ラザールダイヤモンドについては少しハイエンドに近づく形。アイプリモとラザールで平均単価は約30%違う。日本国内のウエディング口コミサイトにおけるランキングでは、われわれのアイプリモとラザールが1位、2位を独占しており、特にアイプリモについては72店舗と国内のブライダルリングの業界では最も店舗インフラを構えている。それゆえに順調に売り上げを伸ばすことができており、コロナ禍において一時減収になった時期はあったものの、前期については前々期比で25%強の伸長を遂げて153億円。これは創業以来国内レコードの数字で、足元も非常に対前年比で2ケタ%近い成長を維持している。

日本発ブランドを世界へ……2007年から海外展開を実践し、3年で黒字化を実現している。現在は日本を中心に5拠点でビジネスを展開。海外も国内と同じようなポジショニングになるが、アイプリモは少しハイブランド寄り。ロゴマークの下にタグラインでTOKYOと付けて展開しているが、アジア圏においては全面的に日本ブランドであるということを徹底的にアピールして展開している。海外では「郷に入れば郷に従わず」ということで、どの拠点においても徹底的に日式を貫き通している。お客さまに寄り添う最高の顧客体験を実践するというセールスの仕方、また、日本ではやっている細身で洗練されたシャープなデザインのプラチナ製品が強みとなっている。

主戦場は中国と東南アジア……中国市場は前期赤字だったが、今期は黒字にV字回復する見込み。中国展開では2つポイントがあり、1つは店舗立地を非常に好立地にフォーカスしている。Tier1、Tier2(日本でいう一級都市、新一級都市)と呼ばれる、非常に可処分所得の高い中流層の多いエリアのみに進出しているので、ここの婚姻組数においてはしばらくCAGR(年平均成長率)7.5%の成長が見込める安定したマーケットであるということ。また、出店しているモールにも集客力がある。2つ目は、中国でアンケートを取った結果、ブライダルリングを購入する方の約45%が品質を重視する。われわれのアイプリモは日式の着け心地の良さや洗練された細身のシャープなデザインが好評で、中国国内の大手のチェーン店の宝石店並びにグローバルのラグジュアリーブランドと比較しても非常に高い評価を得ている。東南アジア市場は婚姻組数が日本の7倍ぐらいと巨大なブルーオーシャン市場。比較的親日度が高い、日本製品に対する好感度が高いエリアであるということから、今はシンガポールのみの出店となっているが、来期以降、マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイに積極的にビジネスを展開していきたい。

持続的な高成長・高収益目指す……3月に27年8月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。トップラインについてはCAGRで5~7%、利益ベースではCAGR10~15%、最終年度においては売上高営業利益率12%以上を目指す。成長エンジンとしては日本市場における単価の伸びしろ、また、最終年度に中国大陸ならびに東南アジア市場で新店3店舗を計画する。(SS)

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