ユーソナー(431A)が17日、グロースに新規上場した。1,250万拠点の法人データベース「LBC」とそれを核にした企業活動支援ソリューションを提供する。初値は公開価格を17.5%上回る2,350円。上場当日の記者会見で、長竹克仁代表取締役社長(写真右)と創業者の福富七海代表取締役会長兼CEO(同左)が語った内容のポイントは次の通り。
DX利活用できていない顧客向け……(長竹社長)1990年に立ち上げた。よく若い会社、と間違えられるが、創業以来、データベースマーケティングを行っており、知見がたくさんたまっている。データの手当てをしっかりしながら、利活用を促進するのが企業理念。コロナ禍でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んだ。DXではツール、人材、データの3つが重要。DXツールを導入したが、意外と利活用できていない企業が出ている。ツールを入れて人の手当てをするが、データへの手当てがされていないということで、私どもの需要が高まっている。
99.7%の事業所をカバー……ビジネスの根幹は「LBC」で日本の法人データの決定版のようなもの。基本的に商業登記簿に乗っている企業全てを対象にしており、日本の事業所の99.7%ぐらいをカバーしていると推測している。それをソリューション化したSaaSのプロダクトを3つ提供している。LBCは模倣困難なデータベース。そのうえでデータベースと利活用支援を両方やっていることで差別化できる。自社で大きなデータベースを構築し、SaaSで提供している会社はなかなかない。
管理ツールで終わらず現場で利活用……1つ目のユーソナーは、外部システムと連携して機能するツール。SFA(営業支援システム)、CRM(顧客関係管理)に内在しているデータの手当てや、不足している項目をユーソナーが提供。SFAやCRMツールがより利活用できる環境を整える。2つ目がプランソナーで、ユーソナーが入っていることが前提。LBCをAIやインテントデータ(興味、関心データ)を使って、確度の高い営業リストの作成や、進捗管理ができる。3つ目はmソナーで、法人データベースのモバイル端末での閲覧や、名刺情報を取り込むことができる。私どもが一番重視しているのは単に管理ツールで終わらず、現場で利活用できて成果を上げ、継続的に利用してもらうこと。
プレミアム機能のニーズ高まる……ストック売り上げはソナーサービスの約8割で、大事にしている指標が2つあり、ARR(年間経常収益)は前年比23.3%と成長している。もう一つが解約率で0.36%、最新の数字はもっと下がっている。契約が継続して取れ、解約が少ない極めて安定したビジネスモデルになっている。また、ユーソナーの特徴は1つのツールに依存していないこと。営業支援ツールなら、セールスフォース、マイクロソフト、サイボウズなどの主要ツールと連携できるのが強み。また、プレミアム機能のニーズが高まっている。例えば企業の興味、関心度が分かるデータベースを提供している。例えば、自社のホームページを閲覧している企業をタイムリーに視覚化できる。競合はPV数が分かっても社名はわからない。(ホームページを)見ている企業に合わせて、商品、サービスを案内すれば、格の高い営業展開ができる。また、リスクを可視化するディープチェックもでき、営業活動をする前に、注意すべき企業に1から9の番号を付け、判定のための指標を提供する。
横展開で顧客拡大……成長戦略は顧客基盤拡大、単価向上、解約率の低減。当たり前のことを言っているようだが、自社製品のユーソナーを活用してこの3つを実現していけることが他社と違う。LBCはツリー構造になっていて、グループ企業が視覚化できるので、要となる企業から横展開してグループ企業の攻略を行い、顧客基盤を拡大。ユーソナーがまず入りクロスセルをすることで単価向上が図れる。
今後、新領域へデータベース拡大……(福富会長)今後、データベースを拡大していく。1つは、事業所の売り上げやその工場で何を作っているかまで深掘りしたい。2つ目は不動産。3つ目は商品のデータベース。音楽、薬などデータベースが既にあるが、歯車、ネジなどはない。全部押しなべて統一コードを作っていく。4つ目は、当社はもともと個人情報会社なので、オプトイン(ユーザーの同意)で個人情報をつかみたい。今は法人のデータベースだけだが、そこまで広げて顕微鏡で日本経済が見える世界を作りたい。(時期は)2030年を考えている。(HS)
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