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IPO2025年7月1日

IPO社長会見 リップス メンズコスメのスタンダードへ

リップス(373A・G)が6月30日、東証グロースに上場した。初値は公開価格を2.2%上回る3,200円。同社はメンズコスメの企画・販売、ヘアサロンのフランチャイズ運営を行う。上場当日の記者会見で的場隆光代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

男性用化粧品が成長ドライバー……1999年に私がヘアサロンをオープンさせたことから始まり、現法人は2008年に設立した。現在は男性向けを中心とした化粧品の企画・販売、ヘアサロンのフランチャイズ運営を行っている。フィロソフィーは「Boys,Be Beautiful!」。全ての人のかっこいいを応援することを大切にしている。商品・ブランド開発に資源を集中し、製造は協力会社に委託。販売はドラッグストアなど実店舗をメインに、アマゾンや楽天などのEC(電子商取引)業者、フランチャイズ先の「リップスヘア」などで行っている。ヘアケアを中心に化粧品が収益の柱であり、今後の成長ドライバーになっていく。

女性用やユニセックス用を使用している男性もターゲット……国内メンズコスメ市場は拡大している。中でも1,000円以上の中高価格帯が全体をけん引している。当社が対象とする市場は、メンズコスメ市場にとどまらず、男性が女性用やユニセックス用のブランドを利用している市場も対象になる。そのために現在定義されているメンズコスメ市場よりははるかに大きい市場が我々のマーケットになる。当社はこの市場をメンズビューティーの切り口で開拓していく。

強みは3つ……①美容感度の高い男性のニーズを満たす質の高い商品②リアル店舗での配荷量③サロンを交えたSNS(交流サイト)、リップスグループのSNS基盤を活用した効率的な販促――が強み。質の高い商品開発に向け、定期的な市場調査に加え、ヘアサロンを通じてニーズやトレンドを把握できるのが特徴。ニーズやトレンドをもとに外部のデザイナーや広告代理店と連携し、これまでにないコンセプトデザインを作り上げている。このユニークな商品開発プロセスが強み。

男性のトータルのビューティーブランドヘ……主力商品の強化・商品領域の拡大、ターゲット層の拡大、ブランド価値のさらなる拡大の3軸をもとに企業価値の向上を目指す。現在はヘアケア商品が多く、昨年はスタイリストシャンプー&トリートメントを発売した。次は顔のスキンケア、メイク、ボディケアといった形で成長を考えており、男性のトータルのビューティーブランドになりたい。スキンケア・メイクアップ商品は既に出しているが、発売は19年で早く出しすぎた。その後コロナ禍もあり、今はリブランニングを含めて社内で検討している。来年、再来年以降はスキンケア・メイクアップ分野もしっかり伸ばしていきたい。

競合について……競合と思っていない部分もあるが、メンズコスメ市場ではこれまではマンダムの「ギャッツビー」、ファイントゥデイの「ウーノ」が2大ブランド。われわれは大手などが手掛けてきたものとは少し違い、美容感度の高い若年層をターゲットに現場でプロが使っても望むスタイリングをしっかりできるように調整した商品にしており、そこが差別化要因になっている。

ニーズやトレンドをつくり出す……当社は常にビジュアルありきで打ち出し、『このビジュアルを作るためにこういうものを使いました』という形で販売してきた。ヘアサロンに在籍する160、170人のスタイリストがインフルエンサーとして自分の作品をインスタグラムなどにアップして集客している。スキンケアもあくまでもビジュアルありきで、この眉、肌、メイクにするならこういう商品をというやり方が当社の強み。モノというよりニーズやトレンドをつくり出していく方が正しい。

中長期的目標……男性の美容意識が高くなってきている。男性の美容動向をいち早くつかみ、必要であれば対応し、メンズビューティーのスタンダードブランドになりたい。スタンダードとは男性の日常にリップスがある状態。「スタイリング剤、スキンケア、メンズビューティーであればリップスだよね」といわれるブランドになっていきたい。具体的に話があるわけではないが、男性が格好よくなりたい、なりたい自分になりたいときに、そこに付加価値を提供できる事業であればコンセプトに合うため、極端な話、アパレル、雑貨を含め事業多角化も考え得る。(Q)

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