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IPO2023年11月10日

IPO社長会見 DAIWA CYCLE 首都圏拡大で200店舗体制へ

DAIWA CYCLE(ダイワサイクル、5888・G)が11月8日、東証グロースに新規上場した。同社は自転車関連販売事業を展開。初値は公開価格を11.8%上回る1,800円だった。上場当日の記者会見で涌本宜央代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

電動需要が成長を牽引……現在最も成長しているのが電動アシスト車だ。業界全体の車種別構成比だが、2015年の7.5%から22年に13.1%と増加している。自転車車体売り上げにおける電動アシスト車の売り上げ比率は59%で、業界全体の39%を上回っている。また、電動アシスト車の売り上げ成長率は前23年1月期までの3期において、業界全体が6%なのに対し、当社は20%と大きく上回っている。

200店舗は“通過点”……店舗数は8月末時点で120店、中期計画で200店体制を目指している。今期は16店舗の出店を計画し、既に15店舗を出店している。来期20店舗、再来期25店舗を計画しており、200店舗はあくまでも通過点と考えている。候補地としては首都圏を狙っていきたい。現在当社の大阪府での自転車小売業販売額のシェアは23%であるのに対し、東京都でのシェアはわずか4%。出店余地を自転車保有台数と当社店舗数の割合で見てみると、大阪は自転車保有台数559万台に対し当社店舗数は56店舗。それに比べ東京は保有台数769万台に対し当社はわずか19店舗であり、首都圏全体で考えるとまだまだ当社には大きな可能性が残されている。

出店計画を支える強み……当社の強みは、「サービス」「商品」「人材」の3つ。当社の代表的なサービスに「出張修理」というのがある。お電話を頂ければバイクで駆けつけてその場で修理を行う、当社の代名詞ともいえるサービスだ。大阪は既に出張修理エリアで埋め尽くしているが、首都圏でも同じように出店を進めて他の企業には真似できない万全なアフターフォロー体制をつくり上げたいと考えている。

PB開発力で差別化……自転車専門店として商品の質と量を充実させることが非常に重要だと考えている。お客さまの声をプロ目線で商品化する高い商品開発力をもとにしてPB(プライベートブランド)商品開発に注力しており、他社と差別化を図っている。現在当社の自転車販売におけるPB自転車の売り上げ比率はおよそ35%となっている。前23年1月期では年間13車種を市場に投入した。顧客のニーズを受け止め、ダイワサイクルの自転車は他店の自転車とは少し違う、こだわっていると思っていただけるように開発・改良を重ねている。

人材育成に注力……出店加速を支えるため、採用と人材育成には特に力を入れている。研修制度はレベルに合わせたカリキュラムを組み、新卒から最短3年で店長に育て上げられる。毎年店長候補となる副店長が多数誕生しており、23年1月期はその副店長が67名と出店加速に対応できる体制となっている。社内には当社独自の接客認定試験に合格したスタッフが400名、技術認定者が273名在籍。接客・技術両方の認定者が店舗従業員の約半数となっている。当社が高額な電動アシスト車の販売に強いのも、お客さまに納得いただけるような接客ができているからだと考える。

今後の戦略……成長市場であり当社も強みを持っている電動アシスト車については、今後もさらに伸長が見込まれるので販売強化をしていく。近年、電動アシスト車の需要が多様化していることを背景に専門店ならではの圧倒的なラインナップを店舗にそろえ、あらゆる電動アシスト車の現物が見られるようにすることで競合と差別化する。また、Webで注文、店舗で受け取りの商材としてEC(電子商取引)を活用した販売強化をする。

低価格のPB電動……加えてPBの電動アシスト車の開発を強化していく。電動アシスト車の価格が年々上昇していく中、22年4月に市場にないようなお手頃な低価格のPB電動アシスト車を数車種投入した。今後この低価格帯の市場はもっと成長していくと考えているので、積極的に商品を投入して新市場を育てていく。NB(ナショナルブランド)商品が多いボリュームゾーンに関しては、お客さまのニーズにあった商品を小回りを利かせながら開発していく方針で、いまだ世の中にない特徴を持った商品を投入する。来年の春に向けて新ユニットを搭載したモデルを開発中で、お客さまの期待を上回る商品にしたい。このような戦略で電動アシスト車のPB化を促進すれば、当社の利益率をさらに改善できると考えている。

都市型店舗とオムニチャネル戦略……200店舗を達成した後に向けて都市型店舗をマイクロドミナント展開していきたい。主軸となる大型ロードサイド店舗の出店は継続しつつ、都市部に店舗面積30~40坪の小型店舗をつくる。お客さまの新たな購買行動に対応すべく、インターネットを活用した新しいサービスの提供を考えており、当社のオムニチャネル戦略の拠点として活用していく。

全国にネットワーク網構築……その他の成長戦略として、全国の有力チェーン店との提携による店舗受け取りサービスがある。自社だけでなく他社を加えた新たなネットワークで、現在198店舗となっている。このネットワークを使い、全国にダイワサイクルの商品をお届けする。そのほかにも九州の有力小売店へのPB自転車の供給も開始している。今後も新たな提携先を増やしてこのネットワークを広げていきたい。(SS)