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銘柄・相場情報2022年10月4日

J―REIT ディフェンシブ性を再評価 “資産所得倍増プラン”で機運高まる

分配金が魅力のJ―REIT

日銀の調査によれば、日本の家計金融資産約2,000兆円のうち、現金・預金が占める割合は54.9%(今年6月末)。一方、投資信託と株式の割合は14%程度にとどまっている。コロナ禍で投資を始める人が増えたとは言え、優に50%を超えている米国や40%超えの英国などと比べると、日本はまだまだ資産運用に保守的な人が多い。

数ある金融商品の中で、あらためて注目したいのがJ―REIT(不動産投資信託)だ。J―REITは少額から投資ができ、分配金の割合が高く安定的というメリットがある。例えば、直近8月末時点のプライム市場の平均利回り(加重)は2.33%、スタンダード市場は1.92%なのに対し、J―REITは3.63%となっている。

先行き不透明感が強まる中、配当還元の確実性や相対的に高い分配金利回り、ディフェンシブ性の高さを考えれば、J―REITについても十分魅力ある投資対象と見れよう。

コロナ禍では打たれ強さ光る

2020年3月のコロナショックではJ―REIT市場も大打撃を受けたが、その後は各国の金融・財政政策を受けて反発。21年は株式市場に対する出遅れ感を背景に海外投資家の買いが市場の回復を牽引し、東証REIT指数(配当除き)は15.8%上昇、配当込み指数は8月末に史上最高値を記録した。

さらに、市場時価総額は前年から18%増の17兆円に拡大し、運用資産額(取得額ベース)も同5%増の21.2兆円となり過去最高を更新。22年は公募増資ラッシュやウクライナ情勢を背景に値動きの荒い展開に始まり、6月中旬に米国金融政策の引き締め加速が意識されると、株式市場とともに下落した。その後は参院選や日銀金融政策決定会合などを経て持ち直したが、足元では米国金融政策の動向を受けて一進一退の展開にある。

直近の市場動向

8月末時点でJ―REITは61銘柄が上場中。投資口時価総額は前月比0.71%増の16兆8,763億円、保有不動産額は同0.15%増の21兆6,193億円、東証REIT指数(配当込み)は同1.18%増の4683.62だった。株式投資のPBRに該当するNAV倍率は前月と同じく1.06倍。

9月に入ってからも、米国市場に翻弄される株式市場に対し、J―REIT市場の調整は小幅にとどまっている。今後も株式市場の下落局面では資金逃避先となる可能性があるが、一方で注視しておきたいのが米10年債利回りの動向だ。一般的に、米国長期金利の上昇はJ―REIT価格にマイナスの影響を与えるとされる。

19日には米10年債利回りが11年4月以来となる3.50%を超え、23日はさらに一時3.82%と10年4月以来の水準に上昇した。FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げは継続される見通しで、J―REITを積極的に買い進める状況とは言い難い。しかし、国内では入国規制緩和によるインバウンド再開に対する期待を下支えに、底堅い展開が続くとの見方もある。

不動産証券化協会の杉山博孝会長(三菱地所 取締役会長)は先に開催した記者懇談会で、「(岸田内閣の)骨太の方針では、人への投資と分配が成長分野の1つとして掲げられ、資産所得倍増プランの策定が盛り込まれた。今年3月に取りまとめた当協会の理念体系では、不動産証券化市場の発展を通じて国民の資産形成と優良な不動産ストックの形成拡大に貢献することをミッションとして位置付けている。まさに資産所得倍増プランに向けて有力な資産形成の手段として重要な役割を果たすものと確信している」と述べた。(SS)