写真左から、SBIレオスひふみの藤野英人会長兼社長、Kiffyの白水美樹代表取締役社長、SOLIOの今井紀明代表取締役
金融の恩恵を隅々に届けたいという思いを込め「ファイナンシャル・インクルージョン」――を合言葉に事業展開するSBIレオスひふみ(165A・G)。
新たな取り組みとして、寄付のプラットフォームを運営する子会社Kiffy(キッフィー)を3月10日に設立した。社名は「寄付(Kifu)」に接続後「―fy(~を〇〇化する)」を組み合わせた造語。
続いて4月17日にはKiffyが、株式会社SOLIOから寄付者と非営利法人をつなぐ寄付プラットフォーム「solio」を譲り受けたと発表した。solioに登録すると、まちづくり、環境、教育など全12の社会課題から支援したいものに、任意の金額を毎月寄付できるようになる。
solioはこれまで1,600万円近い寄付を30弱のNPOにつなげてきた。寄付金の10%から収納代行費を除いた額を得る収益モデル。寄付先は、認定法人、公益財団法人、公益社団法人の中から審査委員会で選定する。
17日開催のメディア向け説明会でSBIレオスひふみの藤野英人会長兼社長は、「これまで投資信託を通じて資本市場の枠内で事業を行ってきたが、資本市場の恩恵を受けられない人もいる。努力していない、怠け者と切り捨てられがちだが、様々な“ボタンの掛け違い”で苦しい思いをしている人が大勢いる。私たちは資本市場の枠外にいる人も資本主義の恩恵を受けられるような世界にしたい」「毎月積み立てで月々2、3万円投資する人がその1%の200円でも300円でも寄付すると、一つ一つは小さくても合わせると大きな金額になる。solioを通じてNGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)にお金が流れることによってベースが増え、社会が発展し豊かになると本気で思っている」と語った。
SOLIOの今井紀明代表取締役は、国や行政、会社ができないことを解決できるとして、自身もNPO活動に取り組み、大阪の“グリコ下”に集まる居場所のない若者など年間4,000人を支援してきた。この動きが行政に広がり、大阪市が福祉的な支援に取り組む考えを示すなど、NPOなどの取り組みが社会を動かす事例は少なくない。
一方、日本における個人寄付総額は年1.2兆円で、このうちふるさと納税が7,000億円。米国(年35兆円)と30倍の開きがある。Kiffyの白水美樹代表取締役社長は「日本で寄付が浸透していない理由はいくつか考えられるが、海外に比べ税控除額や仕組みが発達していないこともあろう。この部分もわれわれがチャレンジするところ」と述べた。藤野氏は「寄付した時の一番のストレスはお金を出した瞬間に自分とのつながりがなくなること」とし、固着性、明朗性も重要であり、生涯寄付額やソーシャルリターンの可視化も有効との見解を示した。(Q)