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インタビュー2025年5月2日

SBIレオスひふみ 藤野英人社長に独占インタビュー 中小型株 パーティー会場に客なく“食べ放題”状態 「ジドリ」開始

(4月30日付掲載インタビュー記事の続き)

――「投資家と企業の対話」というと昨今は株主還元を含め資本効率が議論の的だが、御社とフジ・メディアHD(4676・P)との対話内容は他とひと味違うようだ。

「それは僕らがリアルビジネスを展開しているから。結構大事なポイントと思うのだが、僕らは投資信託を含め金融コンテンツを製造しているメーカーで、コンテンツ発信企業。毎日どのようにコンテンツを製造し販売していくのか、どのように情報提供していくのか考えている。扱うものが違うだけで、フジとレオスは実は構造はよく似ている」

「僕らも『お金のまなびば!』というYouTubeチャンネルを作った。登録者は現在66万人と金融機関ではナンバーワン。これを100万人、1,000万人にしようと思っている。また、『フィナップ』という金融教育を有料でオンラインでお届けする会社を作った。これも非常にアップサイドがある」

「なりすまし詐欺被害が多いが、僕のなりすましだけでも10人以上いる。なぜなりすまし詐欺にひっかかるのかというと、きちんとしたコンテンツがないから。明確な価格でしっかりした内容で1から10まで学べるとなれば、ニセモノははやらなくなり世の中の役に立つと同時に、コンペティターがいないので収益を上げられる。4月に金融教育講座を正式開講した。金融商品だけでなく、金融にまつわる優良なコンテンツを金融教育や金融情報という形でお届けしていくような会社になりたい」

――今回のフジの件も全部つながってきます。

「僕らがやっていることはそういう面で首尾一貫している。なぜ上場したのかというと、ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)の世界をつくりたいから。だから新しい株主優待制度や寄付のプラットフォーム、未上場にも投資できる新しいファンドを作った」

――株主優待は保有数に応じて投資信託「ひふみクロスオーバーpro」の口数贈呈、もしくは、相当金額の寄付から株主が選べるようにした。

「上場したら実現したいことの上位にあったのが、僕らの商品を株主優待で渡すことだった。わかりやすい例がカゴメ。インベスターとカスタマーを融合していく『インベスタマー』というビジョンを打ち出し、自社商品の野菜ジュースなどを株主に提供し、株主づくりとお客さま満足度向上を結び付けた。僕らもそれをしたかった。株主だが、ひふみのお客さまでない方も結構いらっしゃることが分かっていたので、株主に商品を知っていただきたいとの思いからスタッフが金融庁とやり取りし、今回の制度になった。水準としては優待込みの利回りで4%以上を意識した」

――寄付できるのも新しい。

「株主優待で投信はいらないという方もいらっしゃるので、寄付を選択できるようにした。また、3月に『Kiffy(キッフィー)』という子会社を作った。寄付をすることを“キッフィーする”というような新しい寄付文化を作りたい、積み立て投資ができるなら積み立て寄付もできないかと考えている。例えば月々3万円の投信積み立てしている人が、その1%(=300円)を毎月寄付するということができたらいいなと。投資信託は資本市場をうまく生かした制度だが、世の中には様々な事情でがんばっているが資本市場の恩恵を受けていない人がいる。特にインフレ時代は資本市場を生かせる人と生かせない人の差が出る。私は寄付を通じて資本市場の枠外にいる方々も資本市場の恩恵を受けることができるプラットフォームも作りたい。これは創業した時から思っていた。寄付で様々な世界観を展開していきたい」

――レオスの動きで金融の流れがいろいろと変わってきているのではないですか。

「そういう存在にならないといけないと思っている。頭が痛いことは何かと言うと、ピュアな投信会社と思われていること。機関投資家は当社株式に投資すると自己否定になるため、上場時に国内機関投資家のブックがゼロの状態で上場した。ずっと個人と海外投資家だけで株価を形成してきた。早く、ファイナンシャル・インクルージョンの会社、金融コンテンツの会社と捉えていただき、ピュアなライバルでないから投資価値があるとみていただき、国内機関投資家を呼び込まないといけない。しかしまずは国内の多くの個人投資家に投資いただけるよう昨年9月末に1対8の株式分割を行った。NTTが株式を大幅分割した時にNTTが高校生にも買ってもらえるようにしたいといった。そのビジョンが素晴らしく、NTTを見習った。僕らも高校生がお年玉で買えるような会社になりたい、多くの人に最初に買ってもらえるようになりたい、多くの人に株主総会に出てもらえるような会社になりたい」

――レオスといえばやはり中小型株の発掘力。中小型株をどうみているのか。

「3月から運用部に『コガタカ部』という部活を作り、夜の17時から21時まで4時間、月1回、ピザなどを食べながら小型株について語り合うという活動を始める。部活の部長は私。キーワードは『ジドリ』。警察用語で事件が起きたときに周辺の地面をはがすように聞き込みすること。地面をはぎ取るように取材、調査し、足で稼ぐ」

「中小型株には年率20%成長ながらPER5、6倍の会社がたくさんあり、経営者やIR担当者からIRをしてもしても株価が上がらず泣きが入っている状況。北海道から沖縄まで四季報を見て良い会社があれば小型株発動!みたいなことをしていく」

「中小型株はここから3年ぐらいかけて相場になるのではないかとみている。今はパーティー会場でホカホカの食べ物がたくさん並んでいるが、お客さんが数人しかいない状態。お客さんも昔からいつも来ている人しかいない状態。それがだんだんとパーティー会場に人が増えて、最後に手づかみで食べる人が出てくる。そういう時がマーケットのピーク。今はほかほかのパーティー会場に誰もいなくて、“食べ放題” というのが今の見ている風景。だからコガタカ部を作ってジドリをする」(Q)

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