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コラム2024年5月2日

【本日のマーケット】5月2日(木)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

5月2日(木)のマーケット                                                                   

5月1日の米国株式市場はFOMCを受けて一時買われたが取引終了にかけて失速。NYダウは小幅高で取引を終えたが、S&P500とナスダックは小幅安に押し戻された。FOMCは金利据え置きを決定し、声明文で「ここ数カ月、委員会が目指す2%のインフレ目標に向けた一段の進展は見られていない」と記した。だが、米国債の償還を月当たり最大600億ドルから同250億ドルに減らすことで保有証券の縮小ペースを減速させることも決定したため、金利が低下し、ドルも売られた。円相場は一時153.04円。パウエルFRB議長が会見で、「次の政策変更が利上げになる可能性は低い」と述べたため、NYダウは一時533ドル高となったが、取引終了にかけて値を消した。4月のISM製造業景気指数が49.2と3月の50.3と市場予想の50.1を下回り、内訳で価格指数が60.9と3月の55.8から上昇したため、スタグフレーション(不況下の物価高)が警戒された。サーバーメーカーのスーパー・マイクロ・コンピューターは1~3月の売上高が前年同期比3倍増となったが、アナリスト予想をわずかに下回ったため、大幅安となった。半導体メーカーのAMDは人工知能(AI)向けは好調だが、ゲーム機用半導体の需要不振で4~6月期の売上高見通しがアナリスト予想に届かず売られた。これらを受け、エヌビディアも連れ安となった。NYダウは前日比87ドル(0.23%)高の37,903ドル。NASDAQ総合指数は前日比52ポイント(0.33%)安の15,605。S&P500指数は前日比17ポイント(0.34%)安の5,018。

米半導体企業のAMDの下落を受け、半導体関連が売られた影響で日経平均は朝方315円安となったが、押し目買いが入り、下げ幅を縮めた。4月の自社株買い決議が高水準だったので5月も期待されたことが下支え要因。三菱商事は今期最終減益予想で下落したが、バークシャーの年次株主ミーティングを前に他の商社株は堅調。電力株が買われ、円安による海外投資家からの資金流入期待で不動産株も上昇。イビデンとKeePer技研は大幅安。

スタンダード市場では、FRSが親子上場解消の思惑が囃されストップ高。ヤマトインダストリーが大幅高。気象庁が全国的に例年より暑くなると予想しているため、アイスクリームのセイヒョーは上昇が継続。水産練り製品のあじかんは業績予想を上方修正したが材料出尽くし感から下落。

グロース市場では、データセクションが4日続伸。売れるネット広告がストップ高。上野の飲食店経営者夫妻の殺害事件は防犯カメラのリレーで犯人逮捕となったため、セキュアは連想買いで3日続伸。Birdmanは音楽フェスティバルの中止により特別損失を計上すると発表し急落した。

日足チャート上では、再び75日移動平均線の下に潜り込んで大型連休を迎えた。FOMCという大イベントを通過して、下は3万8000円割れ水準から切り返して陽線を示現しており底堅さを見せた。週足では十字足に近い実体線の短い陽線。先週の陽線から上方に位置しているが、13週移動平均線(3万8907円)までは届かず。大型連休明けに期待したいところ。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。マクロ経済を全体としてとらえると、今の世の中はむずかしいことだらけです。

コロナ禍で急減した需要を埋めようと世界各国が財政出動を強化してみたら、供給力が足りずに物価が急上昇してしまうという状況が、今も続いています。

米国でも政策金利の引き上げは打ち止めとは明言できず、先行きへの不透明感が噴出しています。為替レートは一段とドル高・円安に傾き、34年ぶりの水準に達しました。

日本企業にとって円安は、売上げを増やす効果があるものの、その一方では仕入れコストも大きく引き上げてしまいます。業績見通しは複雑になり、まさに「VUCAの時代」(変動が激しく、不確実かつ複雑で、明確な結論の出ない曖昧な時代)の到来が日を追って実感されます。

日本が突きつけられている「社会的な課題」は積み上がる一方です。少子・高齢化、生産性の向上、地球環境、国土強靭化、女性の社会進出、地方創生、アンメット・メディカル(有効な治療法が見つかっていない病気、それに対する新しい治療法)と数えきれません。

これらの社会的課題を反対側から見れば、それだけ大きな成長領域が広がっていることにもなります。今回の決算と株主総会、中期経営計画の中から、果敢に挑む企業を見つけ出してゆきたいものです。

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注目記事 Pick up
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【電線・光ファイバー関連に脚光
日本証券新聞5月7日(火)紙面1面TOP記事掲載 

在庫調整一巡 AI向け本格化 米コーニング決算で明らかに

古河電工(5801・日足)

全体相場の調整もあり、このところ上値が重くなっている電線・光ファイバー関連株だが、再始動に向けてマークしてみたい。

米国の光ファイバー、液晶などディスプレイ用ガラスの大手、コーニングが4月30日に2024年第1四半期(1~3月)の決算を発表。光通信部門の売上高が前四半期比で3%増と6四半期ぶりにプラスに転じた。通信キャリアの在庫調整が進展しており、既に終了している企業もあるという。4~6月期にはさらに上向く見通しとなってきた。また、データセンター(DC)向けでは通常のDCに比べ光ファイバーの使用量が約8倍となるAI関連のDCの需要が本格化する。

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今日の市況概況
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5月2日(木)☆[概況/大引け] 

朝方は315円安となったが、自社株買い期待で下げ幅を縮めた

大引けの日経平均は37円安の3万8,236円、TOPIXは0.8ポイント安の2,728ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は645、下落銘柄数は937。出来高は14億9,274万株、売買代金は4兆2,061億円。
米国で半導体企業のAMDは2024年のAI(人工知能)向け半導体の売上高が約40億ドルになるとの見通しを示した。従来予想から5億ドル上方修正したが、引き上げ幅が期待ほどではないという見方から株価は急落した。
この影響を受け、日本では半導体関連が売られたため、日経平均は朝方一時315円安の3万7,958円となったが、押し目買いが入り、下げ幅を縮めた。

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