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インタビュー2022年9月22日

億り人Zeppy井村俊哉が聞く!!〈第8回〉井村氏×KHネオケム 濵本真矢取締役【後編】

著名投資家の井村俊哉氏がKHネオケム(4189・プライム)取締役常務執行役員の濵本真矢氏に話を聞く。ブルーオーシャンに沸いた前編から一転、後編では投資家が懸念するリスクを確認する。

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――冷凍機油原料のところは理解できた。非常に楽しみではあるが、こちらは全体売り上げに占める比率は約3割のとどまり、一方で、約5割を占める「基礎化学品」については、自分としては大きなリスクを感じている。これらは汎用品であり、過去を振り返っても利益率の振れが大きい。今期は営業利益率で11%を見込んでいるとのことだが下振れの可能性はないのか?

大きく崩れることは、当面は想定していない。基礎化学品としては主に、塗料原料となる溶剤と、樹脂に柔軟性を持たせる可塑剤原料の2つを扱っており、これらは自動車の塗装や住宅の壁紙などに使われている。国内の自動車生産や住宅着工が増えれば基本的に当社の売り上げも伸びるが、残念ながらどちらも長期的には縮小する領域ではある。

ただし、淘汰(とうた)が進んだ現在では、当社を含めて国内には数社しか存在しないものが多い。

――国内では削り合うような競争は、もう起こらない、と。国外はどうか?

特に中国では需要が旺盛だったこともあり、過去に競合メーカーの工場がどんどん新設されたものの、2019年あたりからは止まっている。その後は現在に至るまで需要が拡大して、現状は当社にとって“良い状態”。

――それが営業利益率の向上につながった? 18、19年に7%程度だったものが、21年には16%まで高まっている。

おっしゃる通り。現時点では24年あたりにアジアで競合の新設が予定されているようだが、今の需要を取り込むには到底およばない。

――自動車は新車納入まで1年半待ちとか。供給は、いつかは戻る。そう考えると御社の今期予想11%も現実的な数字に見える。

半導体不足からくる部品不足も解消しつつあると聞く。基礎化学品が昔のように営業利益率で5%を下回ることはないだろう。

――そのほかの領域はどうか?

「電子材料」は非常に好調だった。半導体の製造工程に欠かせない感光材フォトレジスト向けの高純度溶剤を手掛けており、国内の主要フォトレジストメーカーすべてに提供している。営業利益率は21年度実績は24%で、今期も22%を計画している。

――しかし御社のビジネスはユニークだ。世界トップ企業に“おんぶに抱っこ”というか…

冷凍機油原料も電子材料も、世界トップレベルのメーカーが当社の顧客。ちなみに当社が生産しているフォトレジスト向け高純度溶剤も、競合は非常に限られている。

――最後に株主還元について聞きたい。配当性向30%を目途としているものの直近は達成できていない。

決して軽視しているわけではなく、コロナ禍以降業績が大きく上下する中で「安定配当」を優先した結果だ。19年12月期に95億円だった営業利益が、翌20年度は56億円に落ち込み、逆に21年度は197億円に拡大した。しかし1株当たり配当は19年度と20年度は60円と変えずにいたため配当性向は32%から55%とものすごく上がった。21年度の20%とならすと30%程度といったイメージを当社では持っている。

現在の中期経営計画では株主還元について「①配当性向30%を目途、②1株当たり配当は22年予想(85円)を下限、③財務基盤強化の進展に応じて機動的に株主還元を強化」としている。「財務基盤強化」については足元では自己資本比率が前中計で目途としていた50%を超えてきていることから、この先は還元の強化も検討する段階だと考えている。

――機動的な還元強化、まさに自分が気になっていたところだ。だとすれば、株価が業績を織り込みきれていないと思われる今が、自社株買いなど実施の好機ではないか。

現在の株価に満足しているわけではないが、これは、業績が投資家の皆さまの期待にまだ達していないことの表れでもあり、真摯に受け止めるべきだと感じている。工場トラブルで生産が止まるなどお客さまにも多大なご迷惑をかけた。ここをしっかり対応しながら、還元強化についても検討をしていくつもりだ。