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IPO2023年8月30日

新規上場紹介 Chordia Therapeutics 9月15日 グロース 新規抗がん薬の創薬ベンチャー

Chordia Therapeutics(コーディア セラピューティクス、4895)が9月15日、グロースに新規上場する。

新規抗がん薬の上市を目指して研究開発を行う創薬ベンチャー企業。アンメットメディカルニーズ(未だに満たされていない医療ニーズ)の高いがん領域で、これまでになかった新しい作用機序を有する低分子の画期的医薬品(ファーストインクラス)の研究開発に取り組む。

創薬研究を目的に2017年に神奈川県藤沢市で設立し、武田薬品工業とライセンス契約と出資契約を締結した。新規性・有用性が高く、従来の治療体系を大きく変える可能性があるファーストインクラスの抗がん薬の創薬実現を通じ、30年には日本発の研究開発型製薬会社に成長していくことをビジョンとして掲げている。

がん細胞の特徴として最新の研究で認識されるようになったのが「RNA制御ストレス」。がん細胞では細胞内でRNAを生成する過程に乱れが生じて異常なRNAが蓄積し、正常な細胞と比べて過剰な負荷をかけている状態にある。同社の研究開発はこのRNA制御ストレスに焦点を当て、低分子医薬品で異常RNAをさらに生成、蓄積させ、がん細胞に追加の負荷をかけて死に至らしめるという科学的コンセプトに基づいて取り組んでいる。RNA制御ストレスを標的としたがん治療法はまだ開発されていないが、同社はこのRNA制御ストレスにいち早く注目し、この領域で世界に先駆け研究開発を行うリーディングカンパニーとなっている。

創薬事業では長い開発期間と多額の研究開発費用が必要だが、同社はマネジメントと研究業務、とりわけ候補化合物の探索、評価、最適化、臨床試験に集中し、基礎研究や原薬・製剤の製造、販売などは外部協力先に委託するという形でビジネスを進めている。

パイプラインは臨床段階2、前臨床研究段階1、探索研究段階2の計5つを保有する。主要適応がん種がリンパ系腫瘍となる「CTX-177」は20年12月に小野薬品工業と全世界における独占ライセンス契約を結び、8億円の契約一時金を受領した。23年2月には初回開発マイルストンとして25億円を受け取っている。開発が順調に進めば、最大496億円の開発・販売マイルストンや売上高に応じたロイヤリティを受け取ることができる。

今23年8月期はマイルストンを計上することから、事業収益25億円(前期は事業収益なし)を計画。研究開発費を含む事業費用については23億5,200万円、営業利益は1億4,700万円(前期は営業損失18億4,400万円)を見込んでいる。(YY)

概要

●事業内容=RNA制御ストレスを標的とするがん治療薬の開発など
●本社=神奈川県藤沢市村岡東2-26-1
●代表者=三宅洋代表取締役
●設立=2017年10月
●上場前資本金=9,000万円
●発行済み株式数=7,311万500株(上場時)
●筆頭株主=武田薬品工業(上場前14.71%)
●公募株式数=1,666万6,700株
●売出株式数=オーバーアロットメントで250万株
●仮条件=8月30日に決定
●ブックビル期間=8月31日から9月5日まで
●引受証券=野村(主幹事)、SBI、SMBC日興、楽天、東海東京、岡三、岩井コスモ、丸三、東洋、あかつき、極東

業績推移(単体)

事業収益 経常利益 1株利益     配当
2021.8 800        ▼525       –
2022.8      ▼1,776       –
2023.8(予) 2,500 163 2.86
単位100万円、1株利益は円、▼は赤字

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