TOP  NSJアップデート  インタビュー  トップインタビュー ミアヘルサHD 青木文恵代表取締役社長 「地域包括ケア」に尽力
インタビュー2022年8月31日

トップインタビュー ミアヘルサHD 青木文恵代表取締役社長 「地域包括ケア」に尽力

医薬、介護、保育の連携強み 乳児から高齢者までサポート

医薬、介護、保育、食品事業を首都圏で展開するミアヘルサホールディングス(7129・S)。主力の調剤薬局運営から乳幼児や小学生の子育て支援、高齢者の介護、ホスピスまで、地域に必要な、社会貢献度の高い事業に幅広く取り組み、業容を拡大している。今3月期は前期比17.4%の増収、2.2倍の営業増益の見通し。6月に就任した青木文恵代表取締役社長に、同社の強みと今後の展望について聞いた。

出店進む調剤薬局

――まず、主力事業である医薬事業について伺いたい。

「柱となる調剤薬局は都内を中心に42店舗を展開し、そのうち6割が大学の付属病院といった大病院の前に立つ門前薬局。がんや難病に使う高額な医薬品も扱い、収益を上げている。門前薬局は大きな病院の移転や付属病院の開設がなければ開局できない。これからの新規出店の中心は、駅前の複合ビルや街づくりを行う地域などに複数の診療科が集まる医療モールになるだろう。当社がプロデュースする医療モールは、地域のクリニックの競合環境を考慮した処方箋が多く出る診療科を誘致し、モールの入るビルも自力で探して開発している。薬価の引き下げで収益が厳しい状況にある中、こうした調剤薬局の新規出店でカバーし、処方箋の枚数を確保している」

保育事業は大幅増収

――前期の保育事業は前々期比63%増と大幅な増収となった。

「昨年10月、都内で保育園や学童クラブ、介護施設を運営するライフサポート社を傘下に収めたことが大きい。ライフサポート社は0歳児から小学生まで子供の包括ケアに取り組んでいる。自治体から委託され、保育園に入る前の乳児のいるお母さんの子育ての相談や、発達障害の子供の相談に応じて学校につなげることもできる。ライフサポート社がグループ会社になったことで、乳幼児から高齢者まで切れ目なく、社会貢献型のサービスをさらに強化し提供できる体制が整った」

――介護事業ではホスピスの運営にも取り組んでいる。

「ホスピスは2020年、既存の東新小岩(東京都葛飾区)のサービス付き高齢者向け住宅の中でスタートした。現在は45床の新百合ヶ丘(川崎市)と合わせて2カ所となり、来年中にもう1カ所開設する。『ゆりかごから墓場まで』。当社の事業は少子高齢化社会の課題解決という経営理念であるが、とはいえ右手にそろばんがないといけない。人生の最期を安らかに迎えてもらうホスピスは、介護度は中重度と高く、質の高いサービスにより報酬も高い。当社が培ってきたサービス付き高齢者向け住宅の機能をベースに、最終的なターミナルケアまで行う仕組みをつくることは十分に可能だという緩和ケアの下地がある。クリーンルームでの調剤、看護師、介護職をきちんとトレーニングして、最期の看取りにあたる病院では得られない、家族も含めたきめ細やかなケアにつなげている」

――第4の事業となる食品事業は。

「東京都の足立区と葛飾区で、公立の小中学校に学校給食の食材を提供している。加えて、保育園と高齢者住宅にも食材を卸している」

4Qにかけ増益予想

――今3月期は8月に開示した第1四半期(1Q)決算が営業損益1,300万円の損失となった。

「通期では当初計画に変更はない。前期比17.4%の増収、2.2倍の営業増益を見込んでいる。当社は調剤薬局、保育、介護と、多くの事業を強化しているが、収益化に少し時間がかかっている。1Qは予想した範囲内であり、先行投資の利益がきちんと付いてくるのは2Qや3Q。今期は4Qにかけてヒップアップの形で収益が上がってくることを予想している」

株主還元へ優待新設

――株主への利益還元についてはどう考えているか。

「株主配当と事業の成長性への投資のバランスをしっかり取ることが重要。長期保有の安定株主を増やすため、9月末時点での保有株数に応じて1,000円から3,500円のオリジナルクオカードを進呈する株主優待制度を新設した。200株、300株と少しでも多く、長く保有していただければありがたい」

――最後に、新社長としての抱負を。

「社員からの公募で決めた社名のミアヘルサは福祉先進国スウェーデンの言葉で『もっと健康に』という意味。当社には0歳児から高齢者までシームレスでサポートをつなげられる強みがある。医療や介護が必要な状態になっても、住み慣れた地域で生活が続けられるようにと、厚労省が推進する『地域包括ケア』を民間企業としてしっかり受け止め、第5、第6の地域包括ケアを広めていきたい。私はケアマネージャー(介護支援専門員)の資格を持っており、女性としての視点もあります。小さな子供からお年寄りまで、生活の支援をする人に寄り添い、目配り気配り心配りのできるスタッフをより多く育成し、質の向上を図り、女性の社会自立もしっかり応援していきたい」