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銘柄・相場情報2022年4月14日

企業研究 “電子コミック”だけにあらず!! ビーグリー(3981・東証プライム)

電子書店×出版社×テレビによる「メディアミックス」で成長加速

コミック配信サイト「まんが王国」の運営で知られるビーグリー。昨年11月に日本テレビとの資本業務提携を発表するなど、まさに“飛躍の時”を迎えている。株価も好調。1500~1600円台と年初来安値から3割高へと居場所を変えた現在の姿と中長期的な展望とを整理してみたい。

※本稿は2022年3月18日(金)に東京都内で開催された個人投資家向け会社説明会における櫻井祐一取締役の講演内容からポイントを抜粋したものです。

【業績好調】
今期も過去最高更新を計画

前2021年12月期は売上高、営業利益ともに過去最高を達成した。主力サービス「まんが王国」の売り上げ成長に加えて、20年9月に子会社化した総合出版社ぶんか社グループが手掛ける収益性の高いデジタルコンテンツが利益面で大きく貢献。今期についても売上高187億円(前期比0.8%増)、営業利益15億円(同14.2%増)と過去最高額の更新を計画している。

【事業内容】
まんが配信からコンテンツプロデュース会社へ

手掛ける事業は2つ。コミック配信サイト「まんが王国」の運営など「プラットフォームセグメント」と、ぶんか社グループから成る「コンテンツセグメント」。前者の、まんがなどのコンテンツを配信して作品をユーザーとつなげるプラットフォームの運営会社はほかにも存在するが、当社は、ぶんか社グループの子会社化によって後者の「コンテンツを創る」までカバーしたことが強み。

ぶんか社はテレビドラマの原作にもなった女性向けまんがや、自動車など男性向け趣味の専門誌など良質なコンテンツを保有。これを取り込むことでビーグリーは、「創る」機能が強化され、「創る」「選ぶ」「届ける」をワンストップで提供できるビジネスモデルがより強固なものとなった。

【中期展望】
日本テレビと共創、メディアミックス効果「加速」

当社は21年11月より日本テレビの関連会社になった。彼らとは「世界でヒットするコンテンツの創出」という共通した想いがある。日本テレビの豊富なリソースを活用した原作の相互利用などメディアミックス効果の加速、あるいは、プラットフォームの強化、クリエイターの発掘・育成など、かなり足の長いプランにはなるものの各方面での多大なシナジー発揮を期待している。

【競合優位性】
三方良しの直接契約、データ分析で満足度さらに向上

主力の「プラットフォーム」も盤石だ。「まんが王国」は会員数600万人超、出版社・作家などのライセンサーとの契約は1,800件以上、常時3,000以上の無料タイトルを用意する。秘訣は「直接取引」。作家と出版社に対して直接取引を基本としたことで、①取り次ぎを介さず手数料を押さえられるため高い収益性が確保でき、ユーザーやライセンサーに還元できるということと、②自由度の高い契約形態につながり、結果、無料試読の増量などといったサービスを実現させて、これがユーザーの満足度向上につながっている。

今期は「ロイヤルカスタマーの拡大」に注力する。昨年社内に専門チームを置いてデータ分析による運用業務の高度化に着手。売れ筋の商品をユーザー属性に合わせて提案するなどきめ細かい運用で、「まんが王国」のさらなる安定収益化を実現する。

【中期経営計画】
海外展開など“上積み”で3年後の売上高240億円へ

21年度から24年度までの3カ年について中期経営計画を発表。数値目標には「必達ライン」と「ストレッチ目標」を用意した。必達ラインは売上高200億円、営業利益21.5億円、そしてストレッチ目標、これはメディアミックス、あるいは、今期中にテストサイトを立ち上げる予定の北米におけるまんが配信サイトなど海外展開による“上積み”で、売上高240億円、営業利益24億円を掲げている。順調に“上積み”ができれば売上高、利益とも十分に達成できる水準。投資家の皆さまには期待していただきたい。