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コラム2021年5月20日

木村佳子の気になる銘柄 <第2回> イワキ(6237) “隠れ”半導体関連

株式評論家・テクニカルアナリストの木村佳子氏が新聞に登場!! 日本証券新聞が全国で開催する「個人投資家向け会社説明会&株式講演会」でおなじみの木村佳子氏が、相場の注目点や、いま「気になる銘柄」を解説します。第2回はイワキです。

用途多様なケミカルポンプ専業
人気化している半導体関連としてあらためて注目しておきたいのがイワキです。水ではなく「ケミカル」、化学薬品などの薬液を移送するためのポンプの専業メーカー。用途としては、浄水場で滅菌剤を入れる、が、最もイメージしやすいかと思いますが、同社のケミカルポンプは、食品工場でマヨネーズの材料を混ぜ合わせて容器に入れたり、病院の人工透析装置の中に組み込まれるなど、実に多種多様です。

そして半導体。製造現場ではチリひとつあってはなりませんから、部材を組み立てる前には水や薬液などで一気に洗浄、このときに欠かせないのがイワキのケミカルポンプになります。

社風も業績も「誠実」そのもの
なぜイワキか。1956年創業、多品種をそろえる「ポンプのデパート戦略」、つまり、金属を溶かす硫酸から口に入れる食品まで、粘度や温度の違いにも細かく対応するなど、クライアントのあらゆるニーズをひとつひとつカタチにして事業を積み上げてきた同社。そのノウハウに目を付けたのが精緻(せいち)な装置を必要としていた半導体業界でした。半導体市場の拡大に伴い、同社の業績も大きく伸長したのです。

そして現在、半導体がこれほど活況な中でも「当社は半導体関連です!!」などと声を荒げないところが、イワキの魅力のひとつでもあります。同社のポンプがなければ半導体に不具合が出るなんていうことを、私は最近、日本証券新聞の企画で藤中茂社長から直接お話しを聞く機会がたくさんあったのですが、そこで初めて知りました。

クライアントのニーズに粛々と応える、業績を積み上げることで株主に応える、そんな基本を大切にしている誠実な社風と藤中社長のお人柄――だけに、イワキの魅力はとどまりません。過去には半導体の需要期、いわゆるシリコンサイクルの終了で業績が一気に落ち込むという苦い経験があったそうですが、以降はそのほかのニーズを開拓、いまではシリコンサイクルに振り回されない体制が確立できています。

株主との約束、配当性向30%超を維持、結果チャートもマジメです。直近は800円~1,000円あたりでの横ばいが続いています。株との付き合い方は人それぞれ。IPO(新規上場)直後でグッと成長をするような会社もあれば、イワキのように株主と誠実に向き合う会社も。先ごろの業績上方修正で1,074円まで急騰しましたが、それ以前の水準800円台で横ばい、このようなもちあい状態の銘柄を買う、も、ひとつのアイディアです。売る人が売り切ってしまい、この値段なら買いってもいいという人が出ている状態。安心して買える銘柄だと言えます。

(本稿は4月3日と4月19日に行われた株式講演会、3月に実施した対談の内容をテキスト化したものです)

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