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コラム2022年4月21日

木村佳子の気になる銘柄 <第3回> アイリックコーポレーション “保険相談屋”にあらず!!

大企業・官公庁の事務処理インフラ担う

4月15日に私も登壇した、兵庫県三田市で開催されたIRセミナー。上場企業のIR(インベスター・リレーションズ)、つまり投資家向け広報活動の1つに「個人投資家向け会社説明会」があります。昨今はオンラインが増えているものの、リアルの場で投資家とつながりたいと考える企業は少なくありません。

オンラインよりも見聞きする情報が多く・立体的なので「発見」も多い。今回の登壇者の1つ、アイリックコーポレーション(7325・G)についても大きな「発見」がありました。

どんな会社だろう? と調べてみると「来店型保険ショップ運営」「保険分析・比較システムを開発」とありました。チャートはこの2年程度ほぼ横ばいのように見えますし、配当は今期予想12円、これも去年と変わりません。PERは22倍程度と特段の割安感も割高感もなく、EPS(1株利益)の推移を見ても、また「保険ショップ」という競合が多そうなこの領域についても、この先に何か大きな動きがあるようには思えない…。

しかしそんなイメージは代表者による会社説明を聞き始めてすぐに覆りました。説明後の質問コーナーで思わず手を挙げてしまったほど「もっと知りたい」と感じた、そんな私の発見を皆さんと共有したいと思います。

IRセミナーで知った「第3の柱」 銘柄選別にも「ライブ感」を!!

アイリックコーポレーションは3つの事業を展開しています。①保険販売事業では、「保険クリニック」というブランドで保険の相談窓口を全国展開し、②ソリューション事業では、「保険クリニック」のFC(フランチャイズ)店舗展開、あるいは「保険クリニック」で使用している自社開発した保険商品の分析・比較システム「ASシステム」を、いわばライバルともいえる保険会社、あるいは銀行など外部へ提供しています。

ちなみに「保険クリニック」は直営で57店舗、FCで197店舗を展開していますから、アイリックコーポレーションといえば「保険」というイメージを強く持たれる方が多いのもうなずけます。

ところが保険「以外」の事業が最近は賑やかです。③システム事業では連結子会社インフォディオがスマートOCR(光学文字認識)を開発。当初は保険証券を読み取るために立ち上げたものが、国勢調査を管轄する独立行政法人統計センターや国税庁、みずほ銀行やJTBなど、あらゆる業界で使われるようになっています。加えてシステムという点では②ソリューション事業で展開する「ASシステム」も新規導入が拡大傾向にあるといい、会社側も「現在の契約ID数は約9,000にとどまり、全国に約125万人の保険募集人がいることを考えれば、まだまだ広げられる」「社内研修のために大手が導入し始めている」とお話されていました。

主力事業もウェブ成長で堅調

懸念もあります。システムが好調とはいえ、祖業である①保険販売事業が売り上げ・利益の5~6割を占める中、肝となる「保険クリニック」への来店者数はコロナ禍で心配な状況にあります。その点を質問したところ次のような回答が得られました。

「『保険クリニック』はショッピングモールへの出店が非常に多く、ウィンドウショッピングの合間にふらっと立ち寄ってもらうことを意識してのことだが、ショッピングモールでの滞在時間はかつての7時間から3時間まで減ってしまったというデータがある。ただし来店者数はようやく先月から上向きに転じており、代わりにウェブサイトを通じた問い合わせも増えている」

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株価は929円(セミナー当日4月15日終値、本稿執筆時点・20日は終値951円、高値988円)。冒頭で「横ばい」としましたが、逆を言えば年初の新興ショックにも耐えたことは安心材料でもあります。

きむらよしこ:株式評論家・テクニカルアナリスト。日本証券新聞が全国で開催する「個人投資家向け会社説明会&株式講演会」などで活躍中。

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