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インタビュー2022年6月23日

馬渕磨理子が聞く ×アイリックコーポレーション 勝本竜二代表取締役社長CEO【前編】

保険会社、金融機関向けシステムが好調

経済アナリストの馬渕磨理子氏とアイリックコーポレーション(7325・G)の勝本竜二代表取締役社長CEO(最高経営責任者)による対談内容を紹介する。5月発表の2022年6月期第3四半期(21年7月~22年3月)決算は13.1%増収、4.4%営業増益で終え、コロナ禍でも堅調な業績が確認された。

――決算内容は非常に好調な印象を受ける。
正直言うと非常に厳しい。特に3Q(1~3月)のまん延防止期間が非常に長かったということと感染者が非常に広がったことで、保険ショップの集客数が厳しかった。当社としては3Qでいえばもともと強い月だったので、もっと伸びてもいいかなというのが本音のところ。

――保険販売の直営のところがダイレクトにコロナの影響を受けた。
オミクロン株は子どもに感染しやすいという情報もあり、いわゆる25歳~40歳の子育て世代の人たちが外に出なかった。そういう方々がショッピングモールなどで保険ショップに立ち寄るということがほとんど見受けられなかった。

――足元は少しずつ回復してきているような状況か。
ゴールデンウイーク(GW)は全国的に出掛けられる人が多く、けっこう安心感が広がった感じがあった。実は既に公表もしているが、5月は集客数が1226件で過去最高となり非常に好調に推移した。

――一方でコロナのダメージが大きかった時期だが、新規の出店は進めていたのか。
今年1年間を通じて言えばかなり増やしている。

――積極的に投資をしながら時期を待っていた。
もともとマーケティング活動に投資をしようと思っていた時期ではあったが、コロナの環境下ということもあり、まずは出店で面を取りに行く戦略を先に行った。

――フランチャイズ(FC)部門について。数字は少し不調なように見えるが…。
決して不調というわけではない。FCも保険販売に関わる売り上げが立っており、制度会計上、どうしても保険販売売り上げの方に持っていかなければいけないものがある。それで見かけが少し悪い。実際は10%以上伸びている。

――店舗数は3店舗増となっているが。
実際は24店舗増加したのだが、21店舗退店し差し引きで3店舗増という状況だ。やはりコロナの影響で経営基盤の弱い店舗は残念ながら退店せざるを得ない。

――つまり体力のある24店舗が出てきたともとれる。そう考えるとFC部門は好調であるという認識でいいか。
やはり直営と同じでコロナの影響はある。それでも比較的順調に推移したのではないかと思っている。

――金融機関にシステムを提供するAS部門はどうか。
ここは非常に好調。おかげさまで今回は特に乗り合い系の代理店の導入が増えて、ID数をしっかり積み上げた。AS事業の場合、ID数が積み上がるとベース収益が安定的になるので、そこは今回の成長に大きく寄与した。

――増えた理由は。何か需要が発生したのか。
いろいろ制度の問題とかもあるし、新たに保険代理店の評価方法というのが出てきた。いわゆる「星〇つ」といった評価になるのだが、これを生命保険協会が格付けする。当社のシステムを入れることで300項目程あるうちの一定程度はカバーできるということもあって、乗り合い代理店から注目を集めている。

――御社の強みであるスマートOCR(光学式文字読取認識)の状況は。
ここも非常に順調。受注、問い合わせともにかなり増えている。ただ、システム事業はどうしても投資が先行するので、そういう意味では売り上げをどんどん伸ばしていきながら将来の利益に向けて色々な受注を受けている。

――マーケットを作っている最中ということだ。
まさしくそう。そういう意味ではかなり注目をいただいていて、例えば国税庁の源泉徴収票の案件でも高い評価を頂いた。システム事業は開発案件と製品・サービスの2部門に分かれる。後者は開発・納品後に毎月収益(サブスクリプション売上)が発生するようなものや、当社のAI―OCRをサービス化したものがある。これらがどんどん広がれば継続収益が積み上がっていく仕組み。今はとにかくこの面を取りに行くための先行投資の時期にあたる。開発と製品・サービス両面をしっかりやっていくことで最終的には安定的な収益につなげていく。

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