東日本旅客鉄道(9020・P)は12月4日、冬の平日旅行を促す施策として「旅せよ平日!JR東日本たびキュン♥早割パス」(キュンパス)を発売すると発表しました。JR東日本全線に加え、複数の第三セクター鉄道を1日1万円(2日間で1万8,000円)で利用できるフリーパスで、新幹線や特急の指定席も所定回数使えるため、平日の長距離移動を後押しする内容となっています。

キュンパスは2023年度に初登場し、価格の分かりやすさとお得感から若年層やシニア層に広がり、閑散期の運輸収入を下支えしたとみられます。今回で3回目となる利用期間は26年2月12日～3月12日の平日で、「えきねっと」限定発売です。平日に動きやすい層を中心に、今年も高い需要が見込まれます。私も3歳の鉄道好きのおいをどこへ連れて行こうか、早くも計画を立て始めています。

注目したいのは、この施策が収益構造に与える中期的な意味合いです。政治的緊張を背景に、中国人観光客を中心としたインバウンドが鈍化する中、外的要因に依存しない収益基盤を築くには、平日需要の掘り起こしと国内旅行者の移動機会の創出が重要になります。

さらに、抽選でJRE POINTが当たる宿泊キャンペーンや地域の「日帰りツアー」、Suica・JRE BANKとの連携施策など、周辺サービスとのクロス展開も進んでいます。鉄道利用を入り口に、ホテル・物販・金融といった交通外収入につなげる仕組みが整いつつあり、グループ全体の収益性改善にも寄与しそうです。

キュンパスは、平日需要の活性化と事業多角化を同時に進めるJR東日本の戦略商品といえます。今後、この取り組みがどの程度収益安定化に寄与するのか、その動向に注目しています。