日本動物高度医療
ペット市場拡大に対応 中期計画の上方修正も
コロナ禍後、右肩上がりで伸びているペット関連市場。矢野経済研究所によると2027年度には2兆円を突破する巨大市場だ。ペット寿命も長くなっており、慢性疾患も増えている。少子化に並行するように飼い主は動物を家族のように扱って、健康に関心が高まっている。
日本動物高度医療センター(6039・G)は高度2次医療を行う動物病院を運営。年中無休で人材、設備、受け入れ態勢、専門診療科の枠を超えたチーム医療が強みで高い顧客満足度を誇る。連携病院数も順調に増え、6月の値上げ後も診療数への影響は出ていない。診療受け入れ能力拡大のための積極投資もこなして、今3月期は既に2回上方修正し、2期連続の過去最高の業績を見込む。12月16日を基準日に1対5の株式分割を実施し、新NISA(少額投資非課税制度)で購入しやすい水準に。
診療ニーズの拡大や空白エリアの存在で、引き続き大きな成長余地がある。また、AI活用の次世代電子カルテや日本トップクラスの膨大な診察データを生かした新規事業も期待できる。通期決算発表時に、27年3月期を最終年度とする中期計画の上方修正もあり得る。(夢)
TBSHD
株と土地、資産価値を再検証 ターゲットは「フジ」だけじゃない!
10月22日に989億円強の大型設定で話題を呼んだ「野村バリュー厳選投資」の販売用資料で、「銘柄①」として個別に紹介されていたのがこのTBSHD(9401・P)。どのぐらい“バリュー”なのかあらためて検証してみたい。PBR0.9倍は、関東キー局ではテレ朝に次いで割安。ここまではまあ普通だ。次いで含み益。①3月末時点で保有する東京エレクトロン1,511万2,049株の簿価は3,049億300万円だったが、12月23日終値で換算すると4,986億円に膨らんでいる。その差1,937億円。実際は9月に開示した一部売却で385億円の実現益を計上したが、それを差し引いても1,500億円レベルだ(TBSの時価総額は9,500億円台)。②有価証券報告書で示された3月末現在の賃貸等不動産含み益は2,647億400万円。さらなる拡大が想定されるが、これはあくまでも賃貸用。③自社使用する赤坂の本社土地3万5,772平方メートルの簿価は773億6,600万円(1平方メートル当たり216万円台)。こちらも少なからぬ含み益が生じていそう。2018年の総会で株主提案したアクティビストはとうに撤退したが、この状態では次々と“新たな挑戦者”が現れても不思議ではない。(丈)
三菱倉庫
高値圏もまだ割安 資本効率と株主価値向上に期待
日経平均株価の2026年高値予想では6万円との声も聞かれる。AI・半導体関連がけん引役との予想に異論はないが値がさ株が中心で手を出しづらく、株価が低位かつ業績回復が見込める銘柄に注目したい。
三菱倉庫(9301・P)の今期業績は23年3月期の最高益から3割も落ち込む見通し。物流事業の不振が業績低迷を招いたが、倉庫や港湾運送に持ち直しの兆しが出てきた。新たに資産回転型ビジネスにも着手。タイでの物流施設開発に続いて、国内では厚木に汎用性の高いマルチテナント型物流施設を建設し、いずれも一定期間運用した後に売却することで資本効率を高めていく。
中期経営計画では政策保有株式の縮減を通じ資本効率・株主価値向上に取り組む。純資産に対する政策保有株式の比率を25年度末には20%未満に減らし、その後も段階的に縮減することにより、31年3月期にはROE(自己資本利益率)を10%以上まで引き上げる方針だ。
株価はバブル絶頂期の1989年12月にピークを付けて以降に長く低迷が続き、24年3月にようやく34年ぶり高値を奪還した。その後は2度の急落で下値を固めて再び高値圏に戻したが、PERは10倍割れと同業他社と比べて割安な水準だ。(北極星)
応用地質
「地震被害想定」でリード 自治体の防災・減災案件増
災害対応の司令塔組織となる「防災庁」が2026年11月に設置される。政府は平時の事前防災に力を入れる考え。特に発生が懸念される南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝地震については想定域にそれぞれ地方拠点を設けるとしており、既に全国で30を超える自治体が拠点誘致に手を挙げている。また、各自治体に地域特性を踏まえた具体的な被災シミュレーションを行うことを求めており、こうした支援を令和8年度予算に盛り込む方針。
応用地質(9755・P)は地震防災に関わる調査・解析・予測技術力や専門スタッフの人員数で国内最大規模。全国シェアを広げている地震被害想定は技術的優位をもって他社を大きくリードしている状況にある。
今12月期は米トランプ政権の各種施策影響を受けた国際事業が足を引っ張り営業減益見通しだが、主力の防災・インフラ事業は引き続き好調。地震被害想定業務の受注が増加しているほか、能登半島災害案件も。また、同社は地中レーダを搭載した空洞探査車を複数台保有しており、八潮道路陥没事故を起点に路面下空洞探査サービスの引き合いも高まっている。計測機器関連では地震観測網更新、火山監視システム更新など大型案件の受注も。(N)
大和証券G
「金利ある世界」で注目度向上 利回り妙味も
金利のある世界に変化し、「貯蓄から投資へ」の流れが本格化。日本の家計金融資産は約18年半ぶりに現金・預金が前年同期比マイナスとなった。大和証券グループ本社(8601・P)は2045年ごろに家計金融資産が24年の2.1倍(4,634兆円)、有価証券は同3.8倍に拡大すると予測している。
同社のベース利益は2ケタ成長、預り資産残高100兆円を突破。近年は残高ベース収益が増え業績安定性が向上している。今3月期2Qはウエルスマネジメント部門の残高ベース収益の固定費カバー率が109.8%に。高い業績ボラティリティからバリュエーション評価に「PBR」を採用してきたアナリストが、業績安定性向上を受けて「PER」に切り替える動きも。
傘下の大和ネクスト銀行は金利環境を追い風に預金と運用収益が拡大し、預金残高は過去最高の4.8兆円。大和証券グループ本社はあおぞら銀行(8304・P)の筆頭株主でもある。「証券+銀行」機能を持ち、注目される同社株の配当方針は下限44円、配当性向5割以上。短信上では便宜的に下限(44円)が記載され、配当利回りは3.18%となるが、前期(56円)並みならば4%程度。期末に向け利回り妙味が意識されそう。(乃)
中外製薬
経口肥満症治療薬でさらなる飛躍 米国で保険適用へ
中外製薬(4519・P)は経口GLP-1受容体作動薬orforglipron(オルホルグリプロン)による飛躍が期待できる。オルホルグリプロンは中外製薬が創薬、ロイヤルティー権利を持ち、米国のイーライリリー社がグローバルに開発・販売権を持つ肥満治療薬。2026年1~3月にも肥満症治療薬として米国で保険適用になる見込み。これまでは中心だった注射薬から使いやすい経口薬が認められ、市場が拡大する。
肥満症薬は、一般的に月額1,000ドル(約15万円)を超える高額な薬だが保険適用では自己負担が同50ドル(約7,500円)以下に抑えられるようになるとみられる。市場は米国以外の地域にも広がると期待され、中外製薬が受け取るロイヤルティー収入は拡大する。
26年の早い時期にオルホルグリプロンの好調な立ち上がりが確認できれば株価の上昇に弾みがつきそうだ。大和証券では25年12月期の営業利益を5,963億円、26年12月期は29.1%増の7,702億円と大幅な増益を予想している。
また、GLP-1治療では筋肉量の減少への対策が課題とされるが、筋肉増量効果のあるGYM329がフェーズ2の段階にあり、承認された場合はオルホルグリプロンとの相乗効果が期待できる。24年末に米国発売したアトピー薬Nemluvio(日本名、ミチーガ)も好調だ。(M)






