SQUEEZE(558A)が4月22日、東証グロースに新規上場した。初値は公開価格を4.5%上回る3,250円。SaaSとBPOの両輪でホテル運営を支援する宿泊DX(デジタルトランスフォーメーション)企業。上場当日の記者会見で舘林真一代表取締役CEO=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
創業ストーリー
創業は2014年。最初は民泊の運営代行事業からスタートした。創業前はシンガポールにいたのだが、そこからモバイル一つで北海道の実家の古い木造アパートを遠隔で民泊運営したという経験が現在のビジネスモデルの出発点となった。当時日本ではまだ民泊が普及していなかったころ、その空き家をAirbnbに掲載したところ、インバウンドの旅行者の予約が殺到。空いている不動産・空間は運営の仕方によってこれだけ付加価値を付けられるのだと思った。
煩雑なホテル運営を効率化
日本の観光・ホテル業界は非常にポテンシャルがある。ホスピタリティ一つとっても、世界にしっかりと打って出ていけるような精神を持っているし、きめ細かいディテールやおもてなし、こういったところに日本の伸びしろがあると思っている。一方で人手不足というのが顕著に出ている。ホテルの運営は実はすごく煩雑で、人手が掛かる大変なもの。例えば受付業務、電話対応(それも多言語)、客室清掃、管理、会計、そしてレベニューマネジメント(価格調整)まで多岐にわたる。これらをいろんなシステムで各々分断された状態で運営しているので、データもなかなかたまっていかないという課題感がある。この構造的な課題を当社はテクノロジーとオペレーションで解決をしている。
利益率の高いホテル運営を実現
われわれはホテルのオーナーさま、そしてホテルの運営会社様に対して、彼らが運営しているホテル、もしくは所有しているホテルの利益率を引き上げていく、そんなソリューションを提供している。独自プラットフォームとして開発している「suitebook」は、ホテルの運営全体の基幹業務になるようなものから細かな業務まで一気通貫でオペレーションを支援することで、利益率の高いホテル運営を実現していく。取引先は大手の企業が多く、不動産系や鉄道系、スポーツエンタメ企業、あとは私募REITをやっているような会社もいる。こうしたところに企画から入らせていただいて、システムの開発・提供、また運営までまるっと引き受けることもできる。また、われわれのシステムはUI(操作性)も含めて非常に直感的で分かりやすく、パート、アルバイトを含めて操作しやすいものになっている。大手のホテルチェーンさまがわれわれのソリューションに基幹システムを切り替えていくというような事例も多く増えている。
不況時にこそ求められるソリューション
観光は外部要因も非常に大きい市場。例えばパンデミック、そして今もいろんな世界情勢があるが、そういった時こそ、ホテルというのは利益率を上げていくために、いかに人件費やコストなどの経費率を削減して筋肉質な運営をしていくかというところが求められてくる。一般的な中規模ホテルのGOPマージン(営業粗利益率)は35~40%とされるが、われわれの支援先(フル支援)ではGOP70%超という事例もある。お客さまのニーズの高まりとともに事業は非常に順調に伸びており、前12月期の売上高は53億円を突破、4年間で12倍の成長をしている。提供先は昨年末に2万1,000室を超えてきた。ホテル産業は180万室以上の非常に大きいマーケットであり、まだまだ狙っていける余地が大きい。
「IP×ホテル」で観光ポテンシャルを掘り起こし
観光・宿泊業で地方創生に貢献していきたいという思いがある。近年は国内でもコンテンツIPの活用が非常に注目されている。われわれが企画・コンサルから入り、日本の様々なIP(知的財産)コンテンツとホテルを連携することで、ホテル業界における新たな付加価値をつくっていくことができるのではないかと考えている。
北広島市を全国のロールモデルに
例えば当社の本社がある北海道北広島市は、日本ハムファイターズの本拠地として知られる「エスコンフィールド」を基点とした非常にユニークな街づくりが行われている。このスタンド球場内にある「tower eleven hotel(タワーイレブンホテル)」は当社が企画から運営まで伴走させていただいている案件。スタンド球場内にホテル、温泉、サウナがある、スポーツ観戦と宿泊を掛け合わせた象徴的な案件だが、さらにこの集客を活用して、球場周辺のホテル、イベント、体験施設と連携した宿泊プランでエリア内の滞在と消費を促す地域OTA事業も一緒に行っている。観光・ホテル領域で地域創生においてどういった役割を担えるのか、ここをしっかりと追求して、日本を代表する地域の事例にしたい。(SS)

