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コラム2018年11月9日

☆竹中三佳の株Catch one’s eye Part.252 ATM合理化が加速

友人が、「三菱UFJ銀行と三井住友銀行のATM(現金自動預払機)共通化」のニュース記事をSNS(交流サイト)上で共有していました。来年から段階的にお互いの銀行ATMでの預金引き出しを無料で利用できるとの趣旨で、これは素晴らしいと喜々として最後まで読み進めました。いまだに私は、ATMをよく利用するのでこの発表を受け、メインバンクの変更まで考えていたのですが、周りはネットバンキングに移行している友人が多く、「最近ATMはほとんど使わないからあまり関係ない」と、喜びを分かち合うことは叶いませんでした。

今回のATM共通化も近年の利用者減少傾向を受け、1台当たり約1,000万円程度掛かるとされるATM維持費用の削減を見込んでの実行とされています。とはいえ、ATMを急に「削減」となると地方在住者や高齢者の方など現金や通帳への需要が根強い利用者の顧客離れにもつながりかねない、そんなリスクを最小限におさえるためにも2行で手をとりあっての「共通化」という策が実行されたようです。

既にあおぞら銀行(8304)新生銀行(8303)は自行のATMを廃止し、セブン銀行やゆうちょ銀行(7182)への置き換えを実行、みずほ銀行はイオン銀行とATMを共通化するなど、ATMの合理化が進んでいます。負担となるコストの削減を成功させ、長引く低金利の中でも収益増加へとつなげていく銀行はどこなのか、今後の各行の動きに注目しています。

【編集記者のコメント】
キャッシュレス化の流れを背景に、各銀行がATM戦略の変革期を迎えているようです。今回の大手2行の共同運用をきっかけに、今後、業界内の「協調」がさらに加速していくとみられます。実際に、最近はATM絡みのさまざまな話題が浮上。10月にはローソン(2651)がATMサービスに参入しました。コンビニATMでは後発組となりますが、地銀との連携による地域経済の活性化や、キャッシュレス決済プラットフォームの構築で差別化を図ります。また、このほどNTTデータ(9613)がATMの調達から設置、監視、運用、警備までのアウトソーシングサービスを開始したように、ATMのコスト削減支援サービスを手掛ける企業も増えていくとみられます。

竹中三佳さんのプロフィール
タレント、リポーター、モデル。ホリプロアナウンス室所属。明るく誠実でファッショナブルなキャラクターでTVやラジオ、CMなどで活躍。

[本紙11月12日付14面]

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