ガーデン(274A)が11月22日、スタンダードに上場した。ラーメン、うどんと麺類が主力の飲食業。初値は公開価格を4.3%下回る3,060円。上場当日の記者会見で川島賢代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
業界トップの営業利益率……企業再生型のM&Aを得意とする。カラオケの事業再生からスタートし、その後、M&Aを活用して外食に参入した。このノウハウを生かして今後急成長していきたい。高い利益率も強み。直営100店以上をチェーン展開する外食企業中、当社の営業利益率はトップ。
山下本気うどん、壱角家が主力……中核事業は「山下本気うどん」と横浜家系ラーメンの「壱角家」。この2ブランドを成長させていきたい。ラーメンとうどんは利益率が非常に高く、日常食のため持続性が高い。また、麺事業のため国内のみならず海外でも十分通用する。まずは国内を固めるが、同時に準備を進め中長期的に海外展開したい。国内で「ラーメンは壱角家、うどんは山下本気うどんだよね」というところまでブランド力を強めて、海外の優良企業と提携、または合弁会社をつくり急速に店舗を展開したい。
2年間で賞与3倍……上場準備の中で賞与をこの2年間で3倍にした。人材難や物価高騰もあるので福利厚生を兼ねて。上場準備企業が予算を達成しなければいけないのに賞与を3倍にするというのはとてつもないこと。なぜそれができたのかと言うと、外食企業でトップの営業利益率がある。そこに持っていく中で同時進行で賞与を上げ、かつ、上場スケジュール通りに行うというこの3つを行える企業は、日本でおそらくうちしかない。当社はいろいろなことを同時進行で行うところがある。
今までにない株主還元を検討……今後は外食企業に恩返しをしたいと考えている。当社が成功事例をつくって。先ほど話した賞与3倍もそうですし、営業利益率トップだって、そんなことできるのですかという話だが、うちはやってきた。それと同じことを、今までの日本の外食企業がやれなかったこと、やらなかったことをどんどんやって日本の外食企業に新しい風を吹かせたい。また、上場したのでまず数字、口では何とでも言えますから。まず最低限として予算をクリアし、予算上振れも大事だが、面白いことをどんどんやっていって、こういう事例で成功したんです、だからマネすると面白いのではないですかというのを先頭を切ってやることで外食企業に恩返ししたい。今100億、200億円の売上高だが、このぐらいで上場しても誰も耳を貸さない。やはり影響力を持つには業界でトップにならないといけない。だから僕は外食企業でトップになる。いかに最短でトップになるか、もちろん長期的な目標だがこれを達成していく。上場したということは株主価値を最大化したいという思いがある。もちろん従業員や取引先を含めステークホルダーの方々に分配をしていくというのは当たり前だが、利益が高ければまだ残る。残った分は最大限株主に回せばという考えがあるので、今までにない株主に対する還元をいろいろ検討してやっていきたい。
今後の国内出店……これからどんどん利益の額と率を上げていく。無理な出店はせず、しっかりと利益の額と率が残るような出店しかしない。なので年間10~15店ぐらいを想定している。来年、再来年もその出店数は変えません。じゃ成長できませんよねとなるが、成長できるのです。M&Aがあるので。なので焦らずしっかりとした店舗の物件を取っていき、今以上の利益の額と率を積み上げ、企業価値を高めていく中でより良い条件でM&Aすることが可能とみており、それによって成長が図れる。
出店余地……一都3県を中心に乗降客5万以上でまだまだ出店していないところがありますし、東京・新宿だけで27店構えているが、カニバリが一切ない。壱角家だけでも13店あるが、出店しても出店しても既存店売り上げが減少しない。それだけ新宿はポテンシャルがある。渋谷、池袋も同様で出店余地がある。なので100店ぐらいはまだまだ。FCについてはあまり力を入れていない。直営店を出して儲かるので。海外は土地勘がないのでFC化を進めてもいいが、国内はFCは申し込みがあればというところだが、申しまれた人としっかりお話をして必ず儲けてもらうのが信念なので、必ず儲けてもらえるような立地で出してもらう。山下本気うどんに関しても上場後承認後、さらに問い合わせが多くなっている。
M&Aについて……M&Aは企業再生型。赤字を黒字にするのも再生だが、黒字企業をその黒字を何倍にもするのも再生と思っている。PBR1倍以下の上場企業を狙えばのれん代はほぼかからない。「今は赤字だが、3年後見てください」というようなM&Aはしない。うちが取り掛かればすぐに良くなる案件を探す予定。ブランドにこだわりを持たず、リーズナブルに買えてシナジーがあるか、将来性、展開性、海外展開などいろいろな側面があると思うので、その中でいいものがあれば買っていく。
海外展開は米マクドナルドをイメージ……上場してさらにブランド力を高め企業価値を高め、「日本の外食でとんでもないものがある」と認知してもらい声を掛けてくるまで日本でこれだけの外食企業があるというところを示したい。あくまでも僕のイメージだが、米国のマクドナルドFC本部の日本版。これをこれまで日本の企業でやったところは1社もない。日本の企業で、日本のブランドで、世界の人たちが知っているブランドは一つもない。だからうちはそれを作りたいという強い思いがある。(Q)