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IPO2025年10月24日

IPO社長会見 サイバーソリューションズ 日本オンリーワンの総合メール・セキュリティーメーカーを目指す

サイバーソリューションズ(436A)が10月23日、東証グロースに上場した。初値は公開価格を38.7%上回る1,914円。同社はメールを中心としたコミュニケーションソリューション事業と、セキュリティーソリューション事業を展開している。コミュニケーション事業で持続的な利益を確保し、セキュリティー事業で売り上げ成長をけん引する「ハイブリッド経営」が特徴。また、台湾やベトナムの開発会社と提携し、設立以来、製品開発を国外に委託するファブレス経営を続ける。戦略面では「No.3理論」に基づき「日本No.1戦略」をとり、日本でオンリーワンの総合メール・セキュリティーメーカーを目指している。上場当日の記者会見で林界宏代表取締役社長=写真=は、特徴や今後の成長戦略などについて次のように語った。

3分の2が技術者……セキュリティー関連の不祥事の半分程度はメールから。メールをわれわれがしっかり押さえることでセキュリティーソリューションとのシナジー効果を発揮し、痒い所に手が届くサービスを提供できる。ファブレス経営は今後も続ける。ファブレス経営と聞くと技術者がいないと思われるかもしれないが、実際は3分の2が技術者。例えば、開発ではわれわれは仕様を作成し、コーディング(プログラミング言語で命令を書き込む作業)だけを台湾に委託。できたものをわれわれが全てきちんと検証し、サポートし、万が一トラブルがあれば謝りに行く。

(世界)No.3理論に基づく日本No.1戦略……世界で業界No.1はマイクロソフト、No.2はグーグル。われわれはNo.3に入らないといけない。具体的にはパッケージとクラウドの両輪やカスタマイズなど、マイクロソフト、グーグルがやらないこと、できないことを行う。カスタマイズはわれわれのエンジニアが対応している。これによりお客さまのロイヤリティをキープしており、カスタマイズしたお客さまの解約はほとんどない。

今後の戦略、どこを攻めるか……1番目はインバウンドだけでなく、情報漏洩(ろうえい)などアウトバウンドも含めた「セキュリティー対策」。マイクロソフトのパートナーと協業して拡大していく。2番目は「値上げ」。これまで一度も値上げをしたことはない。理由はファブレス型開発であることが一つ。もう一つは運用するインフラに関して競合のほとんどがAWS(アマゾン)やAzure(マイクロソフト)を使用しており、AWSなどが値上げすれば値上げをせざるを得ない。一方、われわれは自前で作っている。これにより自社で価格をコントロールできる。3番目は「競合事業者の徹底・縮小」。メール領域は成長分野ではないため競合が撤退・縮小してきており、われわれは残存者利益をいただく。4番目は「AIの導入・活用」。メール・アーカイブで蓄積されたビッグデータに対してAIを活用する。例えば、メールの誤送信に関して現在はルールベースで5割、AIを導入すると9割ぐらいまで(防止)できる。また、パワハラ、インサイダー取引などの際にメールは現在は証拠として扱われるが、AI導入によりメール内容からパワハラなどの傾向をつかむことができ、それらを事前に防ぐことができる。今後こうしたサービスを新しく提供したい。株主還元は配当と自社株買いを合わせて総還元性向50%以上を目標としている。初値については株価はわれわれの通信簿。投資家様の評価ですから、私からコメントするものではない。

時価総額1,000億円……2001年に1度上場し、今回は2回目の上場となる。通常、2回目はあまり良いイメージはないと思う。前回イグジットしたのは550億円でIBMに売却した。今回は初値での時価総額は302億円。それでうれしいかうれしくないかといえば、うれしいが、そんなうれしいわけでもない。だって昔、550億円だったことがありますから。多分1000億円ぐらいになったら何かやったという気持ちになる。自分の責任は1000億円まではもっていこうと。そして後継者をちゃんと育てること。これが私のミッション、チャレンジ、モチベーションになっている。(Q)

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