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IPO2023年7月27日

IPO社長会見 エコナビスタ 介護人材不足を補うツール、年平均成長率30%以上

エコナビスタ(5585)が7月26日、グロースに新規上場した。同社は睡眠解析技術を活用した高齢者見守りシステムを開発・提供している。初値は公開価格比2.5倍の3,300円。上場当日の記者会見で、渡邉君人代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

予知予測が可能な見守りシステム……睡眠解析技術を使い、今は高齢者見守りシステム「ライフリズムナビ」を展開。見守られる方の睡眠・生活習慣のビッグデータを取得・蓄積し、データ解析により様々な予知・予測が可能になるAIを実装した、予知予測が可能な見守りシステムとなっている。介護人材不足を補うツールで解約率は0.02%と非常に低い。製品は高齢者施設向けと、在宅向け見守りサービスの2つ。介護施設は個室タイプが増えており、個室で起こる事故は密室がゆえになかなか気付けないことが多い。その事故を未然に防ぐため、センサーをニーズに合わせて選んでいただいて部屋に取り付け、センサーで取得したデータがクラウドに上がり、介護職員が持つスマホやタブレットにリアルタイムに表示される仕組み。

睡眠センサーで取得できるデータは豊富……中核のセンサーは睡眠センサーで、ベッドのマットレスの下に置かれ、睡眠深度、心拍数、呼吸数、体動値、中度覚醒の回数、無呼吸の回数などのデータがとれる。これにより入居者が意識することなく、寝ているのか起きているのかといった体動、心拍や呼吸数などの情報が介護職員に届き、職員は画面を見て入居者の状態を確認できる。採用施設から「一人分ぐらいの働きを十分してくれる。また、生産性が向上し残業代も大幅に減った」との声をいただいている。当システムは国の介護ロボット補助金の対象。

成長ポテンシャル大……介護施設のベッド数は現在215万床。これに対し、今期末の導入台数は8,900台となる予定でまだまだポテンシャルは大きい。介護施設は1法人1施設運営のケースはなく、複数施設を運営、多いところでは数百施設を運営している。新しいシステムのためまず1施設に導入いただき、使いこなすまで徹底的にサポートしてきた結果、リピート率が非常に高い。リピート導入は2年ほど前から計画にのっとって進めていくため当社業績計画の蓋然性は高い。

一般在宅向け、働く世代向けサービスも……顧客は今は関東圏に集中。課題の全国展開向けて販社と提携しており、今後は全国にユーザーが増える見込み。これまで売上高、利益も右肩上がりで成長し、利益率も非常に高い。今後は「ライフリズムナビ」単体で30%以上のCAGR(年平均成長率)を想定、将来的に市場シェア15%を獲得したい。また、介護保険を利用した一般在宅向け、さらに健康増進や働く世代にもサービスを届けていきたい。ソニー、ヒューリック、東京ガスと資本業務提携しており、これら企業と介護領域以外のサービスも展開していこうとしている。

<記者の目>

ソフトウエアだけでなくハードウエアまで一貫して自社開発していることもポイント。収益はハード販売によるイニシャル収益と、ソフトウエアのSaaS販売によるリカーリング収益に分かれ、売り切りモデルではない。海外展開も先行き期待点。北米で介護施設を多数展開する大手商社もライフリズムナビを評価しているもようであり、商社を通じ海外に販路が広がる可能性がある。もともと「日本において数少ない成長市場の注目企業」として国内投資家より海外投資家の評価が高かったが、海外展開も進めばさらに評価が高まろう。(Q)

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