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IPO2023年4月14日

IPO社長会見 モンスターラボHD 2030年に売上高1,000億規模へ

モンスターラボホールディングス(5255)が3月28日、東証グロースに新規上場した。同社は大企業向けデジタルコンサルティング事業をグローバルで展開。初値は公開価格比45%高の1,050円だった。上場当日の記者会見で鮄川(いながわ)宏樹代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

顧客の経営課題をスピーディーに解決……主力のデジタルコンサルティング事業はビジネス戦略、デザイン、テクノロジー、データ分析の4つのケイパビリティを組み合わせ、アジャイルと言われるプロセスサービス提供することを特徴としている。戦略を立て、すべて仕様を決めてプロダクトをつくる従来のウォーターフォールという手法に対し、アジャイルは4つのケイパビリティを持った人たちが最初からワンチームに入り、ビジネスの仮説を立ててスピーディーにプロダクトをデザイン、開発しローンチする。そこからユーザーのフィードバックを受け、データの分析、さらにまた仮説を立ててプロダクトをブラッシュアップさせるというサイクルを短く回していく。

グローバル1,500人体制を構築……過去6年間、年成長率40%を超える成長を実現し、昨年は特に52%という売り上げ成長率を実現した。赤字の要因はヨーロッパやアメリカ、中東への進出など先行投資によるものであり、前2022年12月期の第4クォーターには黒字化を果たしている。今期は通期で黒字化する計画。20カ国33都市で1,500人超の人員を抱えているが、拠点は大きくレベニューセンターとデリバリーセンターがある。レベニューセンターはいわゆる営業拠点で、営業人員だけでなくプロジェクトマネージャーや品質管理をする人、デザイナー、それからエンジニアの中でも上流の設計をするような人材を主に抱えている。これに対し、エンジニア、プログラマーなどを抱えているのがデリバリーセンター。アジアでいえばベトナム、フィリピン、バングラデシュなど人件費が比較的安いところに拠点を置いている。レベニューセンターとデリバリーセンターの人数比率は4:6。アジャイルというスピーディーに開発する手法をやっているが故に、このデリバリーセンターを営業拠点から比較的近い同じタイムゾーンに置いている。

ユニークなポジション……DX市場におけるポジショニングとして、従来の大手コンサルティングファームやシステム開発会社は既存ビジネスにおけるオペレーション改善やコスト削減、ERPなどの領域が大きな売り上げを占めているのに対し、当社は顧客にとっての売り上げ向上やイノベーション創出を伴うようなDXを得意としている。また、アジャイルや最先端のテクノロジーを活用することでイノベーションの共創、クライアントとともに新しいイノベーションを起こすといったところが、エンタープライズに強い大手ファームとの差別化に。イノベーションの共創を実現しているような企業は日本にも何社かいるが、その中でも当社はインターナショナル企業のニーズに応えられる。さらに、産業によってはある国がより先行しているといったことがあるが、当社はそうした国での政府系の実績を日本に持ち込むこともできる。こうした新しい取り組みをやっていきながらも、われわれはエンタープライズレーベルの品質やセキュリティー、管理ができるので、大手クライアントからも信頼される存在になっている。

成長戦略の柱は3つ……1つ目は既存ビジネスのオーガニック成長。2つ目はM&A、3つ目に人材戦略だ。30年に売上高1,000億円のスケールの企業を目指す。中長期では、ざっくりオーガニック成長で年成長率30%程度、M&Aで+5~10%ということで35~40%の成長を実現していきたい。営業利益は成長率とのトレードオフも多少あるが、おおむね10~12%成長ぐらいがこのマーケットのベンチマークの水準。今期の後半から来年にかけてこの水準に持っていきたいと考えている。

既存+新規顧客で高成長……デジタルビジネスは戦略やプロダクト開発といった小さいフェーズからスタートして、徐々にそれが本開発に進み、プロダクトがローンチされた後も継続的にブラシュアップしたり、データ分析をして改善をしたりということが求められる。よって、顧客単価、売り上げに関しても後ろのフェーズに行けばいくほどチーム規模が大きくなりやすく、かつ継続性が高いストックビジネスに近いモデルになっている。

有望市場は中東……過去にヨーロッパやアメリカを含め十数件のM&Aを行ってきた。ここもわれわれの大きな成長の軸となっている。地理的なフォーカス市場としては、特にアジア、中東が大きな成長市場である捉えている。中東ではこの2年間で3社のM&Aを行うなど、かなりアグレッシブに伸ばしている。事例として、ドバイに近未来的な美術館をつくる政府系プロジェクトがあり、当社はこのデジタルエクスペリエンス部分を担った。サウジアラビア政府もエネルギー依存を脱却して新しい産業をつくるという国家ビジョンがあり、こうしたDXプロジェクトに関わることでUAEとサウジアラビアでかなり大きなプロジェクトを受注している。

世界中の人材が活躍……これらを支えるのが人材戦略。コーポレートミッションである「多様性を活かし、テクノロジーで世界を変える」の“多様性”の中には、世界中のタレントをエンパワーしていきたいという思いがあり、各地のトップ大学などから採用するだけでなく、比較的困難な状況にある国、例えばパレスチナのガザ地区やウクライナなどでも積極的にエンジニアを採用している。デジタルは国境や物理的な制約を超えて仕事を提供できるビジネスであり、こうした国の人たちにも活躍してもらうことができると考えている。(SS)

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