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IPO2024年4月17日

IPO社長会見 Will Smart モビリティ業界のDXに特化

Will Smart(175A)が4月16日、東証グロースに新規上場した。同社はモビリティ業界に特化し、IoTシステムを開発・提供している。初値は公開価格を4.5%下回る1,580円と振るわなかったが、即座に公開価格を奪回し、1,722円で引けた。上場当日の記者会見で石井康弘代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

「移動」を支えるDX企業……人や物の移動によって経済活動を行う事業者を「モビリティ市場」と定義づけ、これらの会社と一緒にDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。主に鉄道やバスといった旅客事業者、物流、昨今はカーシェアリングやEV(電気自動車)を使った新しいモビリティサービスも出てきている。当社が行うDXは、旅客であれば鉄道やバスを利用するフロントエンドのお客さまの利便性向上とともに、そこに関わる事業者の効率と収益性を高めるシステムを作っている。

モビリティ業界に特化……具体的に、まず一番大きなものとしては駅やバスターミナルなどのDX化を推進する「総合情報配信サービス」。例えば東京八重洲の日本最大級のバスターミナル運営のための基幹システムを手掛けており、ここでは利用者の行先に関するダイヤ情報や、それを多言語で表現してインバウンド向けにも利便性の高い情報配信の仕組みを提供している。また、顧客企業の販売・予約システムなどの「クラウド化支援サービス」や、カーシェアやEV充電サービスといった新しいサービスの技術支援・システム開発を行う「モビリティサービス」、地方公共交通再編を支援する「AI・データサイエンスサービス」の4つのサービスを展開。システムの提供だけではなく、実際の開発運用まで含めてワンストップで支援している。

投資の受け皿に……市場環境は激変している。昨今はバスやタクシーなどのドライバー不足に加え、保安点検をする人も集まりにくい、または高齢化も進んでいるということで、非常に働き手が不足している。そのため、様々な企業がそれをITの力で代替していこう、またそれをきっかけに企業変革を進めていこうとDX投資が非常に盛んな分野だ。DXの中でも運輸・物流系に関しては投資の割合が相対的に高いというデータも出ている。当社としては、こうした労働力・供給力の流出を補う形での“投資の受け皿”となるべく成長していきたい。

課題解決力と技術的優位性……企業と直接的に契約を結んでともにつくる“共創型”の思考のもと、お客さまと一緒に様々な課題解決をしてきた。そのため、事業の内容はもとより、顧客企業を取り巻く市場環境や実際の課題、オペレーションを理解した上でのDXを推進するというのが特徴だ。また、365日(場合によっては24時間)、ネットワークがつながりにくい移動体にも全て安定的にシステムを供給するという技術を有している。IoTの技術やクラウド技術をフル活用することで、当社は50数名の会社ながら、日本全国の社会的交通インフラの保守運用で実績を積み上げてきたことが強みとなっている。

成長戦略……比較的大手の企業との取引がほとんどではあるが、まだ当社のことをご存じないような会社様が多いのが実情。まずは事業基盤の強化として、今回の上場をきっかけに当社の認知を高めることによって、新規顧客を開拓していく。同時に、既存顧客との2個目、3個目のプロジェクトも増やしていきたい。また、3年ほど前から段階的にサービスを拡充しているが、各種機能をパッケージ化することで、独自のプラットフォームとして展開している。順次パッケージ化を推進し、他顧客への横展開、プラットフォームの充実化を図る。

地域交通の再編を支援……近年は国を挙げて地域交通の再編が進んでいる。これまでの民間企業との取り組みを国・地方自治体を巻き込んだ形で、それをMaaS(次世代交通サービス)というような位置付けで取り組んでいきたい。地方においては需要自体も減っているが、同時に供給力の不足が加速度的に進んでおり、特にバスは路線網の維持が非常に難しい状況だ。地方交通を維持するため、事業所間連携によって売り上げや乗客の人数、路線などのデータを当社が分析し、その結果に基づいて路線を統廃合したり新しい料金体系を作るなど、エビデンスベースの戦略立案のお手伝いをしている。このような取り組みを皮切りに、いま公表しているだけでも数地区の実績があり、今年度も複数の地区から引き合いがある。(SS)

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