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IPO2023年10月26日

IPO社長会見 全保連 家賃債務保証のリーディング企業

全保連(5845)が10月25日、スタンダード市場に新規上場した。家賃債務保証最大手。初値は公開価格を3.3%下回る580円。上場当日の記者会見で、迫幸治代表取締役社長と茨木英彦代表取締役副社長執行役員が語った内容のポイントは次の通り。

上場6社でもナンバーワン……(茨木副社長)家賃の債務の支払い保証を業としてやっている。通常、賃貸人、賃借人、入居者は賃貸契約を結ぶ時、連帯保証人など複雑な手続きがあるが、われわれの家賃債務保証契約、保証委託契約を介することでスムーズに入居できる仕組みを提供している。この業界、いかにたくさんの不動産会社と取引するかがポイントだが、(同業の)上場6社のなかでも、ナンバーワンの協定会社数、拠点数を誇り、全国で約4万9,500拠点を網羅している。

概算払いが強み……3つの大きなソリューションを提供している。まず、概算払い方式。口座振替で通常家賃の回収を行っているが、私どもはメガバンク系の収納代行会社2社と協力して、当日100%入金を行い、信託口座を通して利便性、確実性の高いスキームを提供している。私どもの案件の約6割がこの仕組みを利用している。概算払いは、メガバンクとの強固な関係や信用力でできており、(他社の参入は)ハードルが高いと思う。次にZ-valueという、損害保険会社と協力して家賃の保証契約と火災保険契約をワンストップで行うサービスを提供している。DX(デジタルトランスフォーメーション)に積極的に取り組み、入居者、不動産会社から好評を博している。さらに、居室内での事故、孤独死をカバーする賃借人事故対応費用保険を付帯している。

新規事業も展開……上場6社の中でも規模は私どもが頭を抜けている。既存事業のシェアをさらに拡大するとともに、新たな展開として事業用家賃の債務保証を積極的に展開したい。さらに、個人用のその他の保証領域、具体的に言うと専門学校の学費の分割払い保証を今期から積極的に展開している。事業用の領域はわれわれの成長に大きくつながると思う。

(迫社長)学費の保証は少しずつ始めたが、来年の3、4月入学の学生を対象に本格的に行う。一括で学費を払えない学生がいるが、分割払いだと学校の事務の手間がかかる。私たちが保証することで、学生、学校にとっても良いことだと、手応えはかなりある。

未開拓地域進出でシェア向上……沖縄に45年住んでいる。沖縄に支社を置く企業はあるが、沖縄を本社にして県外展開する企業が少なかったので、いずれ、県外に進出したいと考えた。業界でいち早く沖縄から北海道まで網羅して、その流れで家賃保証の業界自体が爆発的に伸びたと思う。これまで日本海側はあまり攻めていなかったが、DXもかなり進んできたので、店舗なしでも未開拓の地域へ進出したい。私どもの強みの概算払いや、電子申し込み、電子契約などのDXを不動産会社に売り込んでいく。保証会社の利用率は80%近くあり、これを100%にすることは無理だと思うが、現在の11%のシェアを上げることは可能だと思う。業界に250社あり、そのなかで国土交通省に登録しているのは100社ほど。今から淘汰が起きるのではないかと考えており、そういったところの相談を受けたい。業務を譲ってもらうとか委託してもらうこともあると思う。

積極的なDX投資……(茨木副社長)私どもは積極的にDX投資をしてきた。直近3年で50数億円に上る。API連携による電子申し込みについては、直近の3月末で18%まで来ている。その結果、効率もよくなり、従業員一人当たりの売上高は5年で1.9倍に伸びている。6月に「Z-WEB2.0」という商品を投入した。オンラインで来店不要という利便性が高いもの。調達資金もシステム投資にあてる。AIの審査モデルや、電子申し込み・電子契約の管理ソフトを出しているところとのAPI連携、アプリ開発、保守メンテナンスなど。(HS)

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