TOP  NSJアップデート  IPO  IPO社長会見 JSH 法定雇用率引き上げ&障がい者の高齢化が追い風
IPO2024年4月2日

IPO社長会見 JSH 法定雇用率引き上げ&障がい者の高齢化が追い風

JSH(150A)が3月26日、東証グロースに新規上場した。同社は精神疾患者を対象に訪問看護サービスを行う「在宅医療事業」、障がい者雇用支援と観光物産事業を行う「地方創生事業」を展開。初値は公開価格を95.8%上回る893円だった。上場当日の記者会見で野口和輝代表取締役会長兼社長(写真左)と宮﨑洋祐取締役経営管理本部長(同右)が語った内容のポイントは次の通り。

経営陣は医療・金融出身メンバー……代表の野口は2013年に精神疾患に特化した訪問看護事業を展開するN・フィールド(21年にTOBで上場廃止)という会社を上場させている。15年に東証1部に昇格させたのち退任し、16年に当社を設立して今に至る。取締役6名のうち在宅医療を担当している3名がNフィールド出身、ほか3名は野村証券出身。医療業界と金融系の出身者で会社を運営する体制となっている。

2事業のシナジー創出に注力……九州地域(大分県、宮崎県、佐賀県)においては、在宅医療の事業所となる訪問看護ステーション、障がい者雇用支援の農園、いずれもがこの3つの県には同時に所在している。訪問看護の利用者や農園で就労している障がい者の状況に応じて利用者を相互紹介することで、利用者は精神状態の維持・安定化を図りつつ就労を継続して、経済的な自立を図ることができる。こうして長く働くことができる仕組みを実現したことで、精神障がい者の採用から1年後の定着率は一般的に49%とされるが、当社の農園では80%弱ほどまで高めることができている。

対象市場は年々拡大……日本全体の人口は減少傾向だが、精神疾患を抱えている人は年々増加しており、対象となる市場が拡大している。特に日本は諸外国と比べても長期に入院(1年以上)している精神疾患患者が多いという特徴がある。その結果、入院医療費の割合が他の疾患と比べて非常に高い。国としてはこれ改善しようと、長期入院患者の退院の促進を図る政策目標を定めており、5万~7万人程度の患者を退院させて地域で暮らしていけるようにすることを掲げている。

追い風強まる……4月に入り法定雇用率が従来の2.3%から2.5%へと引き上げられ、さらに26年7月には2.7%へと引き上げられることが決まっている。この0.4%の法定雇用率の引き上げにより、新たな雇用に対する需要が民間企業で11万人生まれてくる。もうひとつのフォローの風は、障がい者の高齢化の進展だ。既に民間企業が雇用中の障がい者の障害別の構成比は、60万人強いるうち5割以上が身体障がい者であり、その身体障がい者の年齢別の内訳を見ると、平成30年時点のデータで55歳以上の方が15万人ぐらいいる。これらの方々がこれから定年退職を迎えていくことになるので、退職した方の補充の雇用のニーズが別途発生してくる。先ほどの法定雇用率の引き上げで10万人以上、退職に伴う新たな補充のニーズでも10万人の新たな需要が今後見込まれている。

地域格差を解消……障がい者雇用の課題の一つとして、地域ごとに格差がある。東京都に住んでいる障がい者手帳を持っている方は8割ぐらいが既に仕事を持っている。そうした中で、多数の企業は障がい者をさらに採用しなければならず、物理的に難しい状況というのが都市部の障がい者雇用の採用環境だ。一方で地方に目を向けると、働いている方の割合は2割未満にとどまる。地方は都市部に比べて大きい会社が少なく、結果として採用に対する需要が生まれてこないという状況に置かれている。当社が取り組もうとしているのは、都市部でなかなか採用ができない企業に対して、働きたくても地元で仕事がなかなか見つからない地方の障がい者を紹介して就労に結び付ける。これを農園というサービスを通じて行っている。

充実した支援体制……競合他社と比較した際に、当社の特徴は障がい者が働く農園での支援体制。われわれは看護師を農園に直接配置をしていて、例えば就労している障がい者の方の体調が悪くなったり、精神的に不安定になったときにはすぐにわれわれの職員が相談に乗ったりアドバイスをできる体制をとっている。農園に常駐しているので、いつでもすぐにその場で対応できる点が強みだ。また、障がい者の方が働きやすい環境をつくることにかなり力を入れている。運営している農園の約9割は屋内型の水耕栽培で、冷暖房完備&バリアフリーで看護師も常駐している形をとっているので、特定の障がい者だけでなく、精神障がい者も知的障がい者も身体障がい者も安心して働けるようハード面・ソフト面を整えている。(SS)

関連記事