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トップ記事2026年10月15日

よくわかる!! 株式会社セック(3741・ 東証プライム)~ アナリストが櫻井社長に聞く15の質問 ~

本テキストは、セックの櫻井社長への インタビューの内容 を書き起こしたものです。櫻井社長には、多くの投資家が抱く「15の質問」にお答えいただきました。

【会社名】セック(3741・ 東証プライム)
【実施日】2026/08/06
【回答者】代表取締役社長 櫻井 伸太郎 氏
【会社概要】

1970年創業のリアルタイム技術専門のソフトウェア会社。「社会基盤システム」「宇宙先端システム」「モバイルネットワーク」「インターネット」の4つのビジネスフィールド(BF)で、交通、防衛、医療、官公庁、宇宙・天文、ロボット、AI、IoTなど、高い信頼性や即時性が求められるシステムを開発している。2026年3月期は売上高112.2億円、営業利益18.8億円で、売上高・営業利益・経常利益はいずれも過去最高を更新した。現在は受託開発を事業基盤としながら、研究開発で得た技術や知的財産を主体的なビジネスへと発展させると共に、AIを活用した開発プロセスの刷新と高度人材の強化を通じて、さらなる高付加価値化を進めている。

Q1
セックは1970年の創業以来、リアルタイム技術を専門領域としてきました。創業時にこの領域へ着目した背景を教えてください。

創業当時は大型汎用コンピュータが注目を集め、多くのソフトウェア会社がその開発へ向かっていました。一方、当社の創業者3人は大学院でシステム工学を学んだ研究者で、現在でいえば大学発ベンチャーに近い始まり方でした。

彼らが関心を持ったのは、センサーからアナログ信号を取り込み、デジタルデータへ変換し、状況を判断して制御信号として出力するシステムです。コンピュータの中だけで処理が完結するのではなく、現実の世界から情報を受け取り、機械や設備を動かす領域です。皆が大型汎用機へ向かうなかで制御系を選び、設立時から「リアルタイムソフトウェア」を標榜したことが、現在まで続く技術的な原点です。

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【出所】セック 2026年3月期決算説明資料 p.2 (2026/5/16)

Q2
創業から現在まで、事業拡大につながった主なターニングポイントはどこにありましたか。

私が入社した1983年当時は、売上高が3億円に届かず、社員数も20人ほどでした。会社というより研究室に近い雰囲気で、私たちも創業者の考え方や、そうした風土に惹かれて入社しました。50年余りを振り返ると、転機はいくつかありますが、大きくは四つに整理できます。

一つ目は、2004年のJASDAQ上場に向けた顧客基盤の見直しです。それまでは特定の大手メーカーとその関連会社への売上依存度が非常に高く、1990年代後半に主幹事証券会社から「上場にあたっては一社集中ではなく顧客層を拡大するべきだ」と指摘されました。そこから、顧客を広げる取り組みが始まりました。もともと当社は、その大手メーカーの一次請けとして良い仕事を積み重ね、それを次の受注につなげてきました。そうした実績が、新しい顧客との関係を広げる土台にもなりました。

二つ目は、携帯端末向けの通信規格を検討する国際的な業界団体(WAP Forum)への参加です。 当時はインターネットが普及する前で、モバイル端末に通信の共通基盤をどう組み込むかが議論されていました。国内の通信事業者や端末メーカーが参加するなか、当社も国内唯一のソフトウェア会社として加わり、そこで得た接点から、通信事業者や端末メーカーとの取引が広がっていきました。

三つ目は、自動車分野との接点です。 同じ頃、自動車分野の研究機関に関わる機会があり、そこで築いた人脈が、後の自動運転の仕事につながりました。2000年から2010年頃までは、売上高がなかなか30億円を超えない時期が続きましたが、その間に顧客基盤を広げ、会社の体質を筋肉質なものに変えられたと思います。2000年代にはロボット分野の研究開発も本格化し、創業以来取り組んできた宇宙・天文分野でも実績を重ねました。

四つ目は、国の研究開発への本格的な参画です。 2010年代以降、国や研究機関との研究開発が増えてきました。国の委託研究には、一定の条件のもとで、生まれた特許などの知的財産が開発した側に残る仕組みがあります。この仕組みを生かし、研究成果や知的財産を自社のソリューションへ発展させられるようになりました。足元では国の研究開発案件が増えており、今の当社を特徴づける動きの一つになっています。

こうした流れを経て、かつての顧客集中を乗り越え、現在は国内の大手企業、官公庁、研究機関と幅広く仕事をする会社へ変わってきました。

Q3
大企業や官公庁に取引を広げられた「コアとなる価値」は、どこにあるとお考えでしょうか。

一言で言えば、当社のコアは「リアルタイム技術」を軸に、高い信頼性が求められる領域で価値を出し続けられることです。

そのリアルタイム技術を投資家の皆さんには、「人が介在しなくても24時間365日動き続けるシステム」と説明しています。自動運転、ロボット、人工衛星などが分かりやすい例です。私自身、入社してすぐに、ダム周辺の雨量データを取り込み、ダムや河口堰のゲートを連動して制御するシステムを手掛けました。状況を捉え、判断し、動かす一連の処理を、人の操作を待たずに続けなければなりません。

ただ、リアルタイム技術という言葉だけが当社のコアなのではありません。その技術を使い、社会インフラや宇宙など、高い信頼性が求められる市場で継続的に高い付加価値を生み出せること。ここに本当の価値があります。私たちはこれを、高い参入障壁を生む競争優位の源泉であり、無形の知的財産だと位置づけています。

Q4
競合企業と比べたとき、各事業分野でどのような優位性がありますか。

競争相手はビジネスフィールドによって異なります。社会基盤システムBFでは、国の入札で勝負しています。特に強みを発揮するのが、価格の安さだけで決まらず、技術提案と価格提案の両方が評価される「総合評価方式」の入札です。競合には国内の大手SIerが挙がりますが、当社は販管費率が低いため、技術提案で勝つことができれば価格提案で負けることはまずない、という戦い方ができます。国のプロジェクトを獲得するための「勝ち方」も見えてきており、公的機関向けの大型案件を受注できるようになってきました。

宇宙先端システムBFの宇宙・天文分野では、当社は宇宙機そのものを製造する専業メーカーではなく、宇宙機の搭載システムや宇宙機の運用に関わるソフトウェア開発を担っています。創業以来、JAXAとその前身である宇宙科学研究所や宇宙開発事業団の仕事を続け、そのなかで実績と信頼関係を積み重ねてきました。衛星や探査機を開発・製造する宇宙専業のメーカーやスタートアップとは事業モデルや担う領域が異なるため、当社と同じ土俵で直接競合する会社は多くないと見ています。

同じく宇宙先端システムBFの自動運転に関しては、最終製品の量産開発ではなく、研究開発の段階に関わっています。研究所を中心に、協力会社も含めた体制で自動運転の研究開発に取り組んでいます。技術の価値を評価いただける研究開発領域で力を発揮したいと考えています。

モバイルネットワークBFでは、通信プラットフォームの開発から、現在はアプリケーション、メタバース、デジタルツイン、スマートコンストラクションなどへテーマが移っています。インターネットBFにも、長年の取引から発展した非接触ICの基盤や、デジタル学生証などの仕事があります。

このように、事業分野ごとに競合の状況は異なりますが、いずれも価格の安さで勝負するのではなく、リアルタイム技術を軸にした技術力と、高い信頼性が求められる領域での実績で差別化している点が共通しています。

Q5
御社の収益は、開発・納品のフロー型が中心なのでしょうか。売上高110億円規模の安定性をどう考えればよいか、その土台にある組織や人材のあり方もあわせて教えてください。

まず、当社の文化と特質を理解していただくのが早いと思います。当社には営業職がいません。基本的にはエンジニアが現場で良い仕事をし、信頼を得た結果が次の仕事につながります。採用もエンジニアが中心で、エンジニアが顧客価値を生み出すことそのものが営業になる、という文化です。この積み重ねが、当社の収益の安定性を支える土台になっています。

2026年4月1日時点の社員数は、新入社員を含め399人で、採用は実態として新卒中心です。新入社員は6カ月間、C言語やアセンブラも使いながらコンピュータの原理原則を学びます。まず仮想マシンを作り、その上にリアルタイムOS、さらにアプリケーションを作って研修を修了します。

JavaやCといった個別言語の専門家を短期的に育てるのではなく、原理原則を理解し、現場で応用できる人材を育てています。開発言語は目的ではなく、あくまで手段だと考えているからです。

開発工程を象徴するのが「50:10:40」です。全作業を100としたとき、設計に50、製造に10、テストに40を使うという考え方で、案件ごとに実際の比率は異なりますが、上流設計と検証を重視する文化を表しています。

もう一つが「20:80」です。システムを正常に動かす処理が20だとすれば、残る80は「想定外に対応する」ために使う。例えば、自動運転で黄色信号を認識した後、想定どおりの赤信号ではなく青信号を認識したらどうするのか。そうした異常や例外まで考え抜く姿勢が、24時間365日動く高信頼システムを支えています。

こうした開発の進め方や文化は、一朝一夕にできるものではありません。リアルタイム技術そのものは、ある程度まで模倣が可能です。しかし、設計を重視し、検証を徹底し、想定外まで作り込むという仕事の進め方を、50年かけて組織文化として定着させてきました。この蓄積は、本当の意味では簡単に真似できないと考えています。

Q6
4つのビジネスフィールドを、成長戦略の中でどのように位置づけていますか。

売上高構成を大づかみにいえば、社会基盤システムBFが約半分、宇宙先端システムBFが約3割で、残りをモバイルネットワークBFとインターネットBFが占めます。

社会基盤システムBFは「成長の土台」です。官公庁、医療、環境、防衛など、社会公共性の高いシステムで安定収益を生み出すと同時に、高信頼技術とエンジニアを鍛える場でもあります。一方、宇宙先端システムBFは「成長の牽引役」です。宇宙、ロボット、エッジAI、量子コンピュータなどの先端領域で研究開発と技術獲得を進め、未来の成長を支えるコアコンピタンスの強化と新たな事業機会の創出を担っています。両者は安定と成長を分担する関係です。モバイルネットワークBFとインターネットBFも、長年培った顧客基盤を生かしながら、新しい技術テーマへ展開する役割を担っています。

Q7
成長の牽引役に挙げられた宇宙分野を含め、今後の成長を判断するうえで、投資家はどこに注目すればよいでしょうか。

宇宙単独というより、当社全体の方向性としてお答えします。当社の事業は現在、売上高の約98%が受託開発です。受託開発は当社の重要な事業基盤ですが、業績が好調な今だからこそ、自分たちが主導する「主体的なビジネス」を増やしたいと考えています。宇宙分野も、その大きな流れの一部です。受注して納品するフロー型だけでなく、ストック、サブスクリプション、自社ソリューション、研究開発成果の事業化など、当社自身が事業の方向や収益モデルを設計できる領域を広げていきます。

そのうえで、投資家の皆さんに見ていただきたいのは、「主体的なビジネスの創出」「AI駆動型開発の推進」「高度人材の強化育成」の3点です。具体的には、主体的なビジネスが売上や継続収益へつながっているか、AIが一人当たり付加価値や利益率、外注比率をどう変えるか、高度人材を顧客のドメインまで理解できる人材へと強化できるか、という点です。今後の開示でも、この3点を示していきたいと考えています。


【出所】セック 2026年3月期決算説明資料 p.23 (2026/5/16)

Q8
AI駆動型開発では、開発工程と人材の役割をどのように変えようとしているのでしょうか。

当社には「SDM(SEC Software Development Methodology)」というソフトウェア開発の標準があります。設計から単体テスト、結合テストまで、工程ごとに何を行い、どのような成果物を出し、どのようにレビューするかを体系化したものです。

2023年から2025年までは、チャット型の生成AIを個人の生産性向上に使う段階でした。2026年からの3年間で進めたいのは、SDMの各工程を個別にAIエージェント化し、開発スタイルそのものを刷新することです。

これは単にコーディングを速くする話ではありません。従来の「設計50・製造10・テスト40」という開発工程を、新しい「50:20:30」の20へ凝縮する構想です。前段の50では、顧客の課題や業界固有のドメイン知識を理解し、AIを使いながら顧客と一緒に解決策をつくる。後段の30では、導入後の運用や改善、PDCAを継続して回す。人の役割を「作る工程」から、顧客価値を定義する前工程と、価値を育て続ける後工程へ広げたいと考えています。

成果は、一人当たり付加価値や粗利率の向上、外注比率の低下として表れるはずです。2026年3月期の売上高外注比率は36.7%で、社内では30%以下を一つの目安にしています。ただし、協力会社との関係を急に切る考えはありません。成長のための受注弾力性を保ち、協力会社とも関係を続けながら、「この仕事は外部へお願いするのか、AIに担わせるのか」を現場で判断できるようにしていきます。

AI駆動型開発は財務諸表にすぐ表れにくいものの、将来の競争力を左右します。当社が受託開発会社から知識集約型企業へ変わるための、ビジネスモデルと人材モデル双方の変革です。


【出所】セック 2026年3月期決算説明資料 p.24 (2026/5/16)

Q9
三つ目の「高度人材の強化」について、セックが目指す人材像を教えてください。

ここ10年ほどの新卒採用では、大学院修了者が大半を占めています。高度な基礎力や専門性を持つ人材を採用し、そのうえで入社後にコンピュータの原理原則から学んでもらう。それによって、技術が変わっても応用でき、高信頼システムを作れる人材層を継続的に育てています。

先ほどお話しした、人の役割が前工程と後工程へ広がるという変化に合わせて、求める人材像も変わります。ソフトウェアを開発するだけではなく、顧客の課題や業界固有のドメイン知識を深く理解し、AIを使いながら顧客と一緒に解決策をつくり、伴走できる人材が重要になると考えています。

Q10
主体的なビジネスの具体例として、現在進んでいる取り組みを教えてください。

公開している事例の一つが、「リアルタイム膀胱内視鏡検査支援システム」です。もともとは産業技術総合研究所(産総研)が国の予算で進めてきた研究成果を起点に、筑波大学との検討を通じて事業化の可能性が見えてきたものです。現在は、筑波大学の研究者が関わる米国のスタートアップ「Vesica Corporation(米国)」などと協業しながら、製品開発を進めています。開発にあたっては、国の医療分野の研究開発を支援するAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の補助も受けています。

膀胱は球体のため、内視鏡の画像を見ながら病変を見落とさずに確認するのは簡単ではありません。このシステムは、内視鏡の映像をリアルタイムに処理し、過去のがん症例の画像と照らし合わせて、がんが疑われる箇所を医師に注意喚起します。製品はかなり形になってきており、次は医療機器としての承認と、臨床面での検証が重要な段階になります。

医療用のソフトウェアを提供するには、国内では医薬品医療機器総合機構(PMDA)、米国では食品医薬品局(FDA)による医療機器としての承認が必要です。当社は米国の関係先とも組み、まずは承認を得やすいFDAに向けて米国内の研究資金を確保し、サンディエゴを中心に治験へ進む構想を描いています。米国で実績をつくったうえで、国内の承認へつなげる流れも考えています。ただし国内では、医師の診断と補助ツールを使った場合とで診療報酬上の扱いをどう整理するかなど、今後調整すべき点が残ります。

収益モデルとしては、関係先とのレベニューシェアも視野に検討しています。研究開発の成果を製品化し、受託開発とは異なる収益へつなげる点で、主体的なビジネスを具体化しうる案件だと考えています。


【出所】セック 2026年3月期決算説明資料 p.29 (2026/5/16)

Q11
宇宙・ロボット分野では、どのような主体的ビジネスを考えていますか。

現在開発している「PORTRS」は、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟での利用を想定したロボットシステムです。地上から遠隔操作し、実験サンプルなどの運搬・操作や、船内の状態の確認・監視を行います。宇宙飛行士の時間は非常に貴重であるため、作業の一部をロボットに任せ、人が担うべき仕事へ時間を振り向けることが狙いです。

開発上の難しさは、無重力環境で動くロボットを、重力のある地上で検証しなければならない点にあります。宇宙で確実に動き、安全上の問題を起こさないことを地上で確認する必要があり、現在はひとつひとつ試験をクリアしている段階です。地上であえて「意地悪な試験」を重ね、想定外の事態を一つずつ潰していくことが、高信頼システムを作るプロセスです。

まずは、関係機関が納得できる試験結果を積み重ねる必要があります。その先では、PORTRSのようなロボットを継続的に提供し、販売やリースなどのストック型ビジネスにつなげたいと考えています。宇宙先端システムBFを「成長の牽引役」とするためには、研究開発を一度きりの案件で終わらせず、継続収益を生む事業へ育てることが重要です。


【出所】セック 2026年3月期決算説明資料 p27 (2026/5/16)

Q12
5年、10年先を見たとき、セックをどのような会社にしていきたいと考えていますか。

ソフトウェア業界の変化はただでさえ速く、AIが出てきた今、何が起きるかは分かりませんが、方向性を言えば、10年後も社会に不可欠な高信頼システムを支える一方、最先端技術を事業へ結びつける知識集約型企業でありたいと考えています。

社内には「10年後には月に移り住む」と言いながら研究している社員もいます。将来的には、月や火星で動くロボットを提供し、量子コンピュータによって今までできなかったことを実現したいと考えています。量子コンピュータは、単に計算を速くするだけでなく、従来はできなかったことを可能にする技術であり、「これまでできなかったことは何か」を考えることに価値があります。

10年後に月面支社があるかは分かりませんが、私は月へ行かなくても、地球から月面支社とリモート会議ができたら面白いですね。現実の高信頼システムを着実に支えながら、そういう夢を本気で研究できる会社でありたいと思っています。


【出所】セック 2026年3月期決算説明資料 p.25 (2026/5/16)

Q13
配当性向40%を目安に増配を続ける一方、自己資本比率は82.9%と高く、バランスシートにはまだ余力があるようにも見えます。この財務基盤の余力や、キャッシュ・アロケーションの考え方をどう捉えればよいでしょうか。

営利企業としてしっかり税金を払い、株主の皆さんへ一定の還元を行い、社員にも分配したうえで、残った資金をどう使うか、という順番で考えています。配当については、配当性向40%を目安に、基本的には増配を続ける方針です。

自己資本比率が高く、財務基盤が厚いのは、ある程度意図したものです。当社は官公庁、宇宙、防衛など、社会的に重要なシステムの開発に関わっています。何かあったときにも、少なくとも半年程度は経営を維持できる余力を持っておくことが、その仕事を担う会社としての責任だと考えています。同時に、研究開発から新しい技術や知的財産を生み出し、主体的なビジネスを育てるための軍資金も必要です。このように、手元資金には、非常時への備えと成長投資という二つの役割があります。

【出所】セック 2026年3月期決算説明資料 p.33 (2026/5/16)

Q14
機関投資家からは、どのような課題を指摘されることが多いのでしょうか。

よく指摘されるのは、「セックがこれだけ難しい仕事をしているのなら、粗利が低すぎるのではないか」ということです。特に社会基盤システムBFは協力会社の比率が高く、他の事業分野と比べて粗利率が低くなりやすい構造があります。

私も、その指摘はその通りだと思っています。現場には「見積額を2倍にして出せ」と冗談半分で言うのですが、なかなか首を縦に振りません。もちろん、価格を2倍にすること自体が目的ではありません。「この仕事はセックだからできる」とお客様に理解していただき、その価値を価格へ反映することが大切です。

AI駆動型開発が進めば、生産性が上がり、社会基盤システムBFの採算も改善するはずです。同時に、協力会社の比率を成長や品質に支障が出ない範囲で適正化していきます。高い技術力を、受注量だけでなく粗利と一人当たり付加価値へつなげることが、今後の経営課題です。

Q15
最後に、個人投資家へ伝えておきたいことをお願いします。

とにかく、ワクワクドキドキする、面白い仕事がしたいですね。個人投資家の方から「高い報酬を出してAIエンジニアを引き抜かないのか」と聞かれることがあります。私は、報酬だけで動くようなエンジニアは求めていない、当社の技術や仕事の面白さに惹かれて来てくれる人を大切にしたい、と答えています。そういう感覚でいてよいのだろう、と思っています。

当社を長く応援してくださる個人投資家の方も多くいます。その期待を裏切らず、「こんなものができました」と驚いてもらえる仕事を、これからも世の中へ出していきたいですね。

技術の取り組みを知っていただく場として、「SETAGAYA TECH JUNCTION」というラジオ・ポッドキャスト企画も始めています。量子コンピュータ、宇宙、ロボットなどをテーマに、各分野の専門家と当社のエンジニアが話します。文字だけで検索していただくのとは違う形で、当社の技術を知ってもらう場にしたいと考えています。

ぜひ、エンジニアの言葉からもセックという会社を知っていただきたいと思います。

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