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トップ記事2024年12月20日

福岡証券取引所 12月16日 「FPM」開設 新市場が始動、福岡から「新世界へ」企業を後押し

福岡証券取引所(福証)は12月16日、新たな株式市場「Fukuoka PRO Market(FPM)」を開設した。同所にとっては本則、Q-Boardに続く3つ目となる市場を設けた背景を、専務理事の酒井慎一氏(写真)に聞いた。

――手応えは?

悪くない。立ち上げ時には2社ほど上場があればと思っていたが、7社でスタートできた(表1)。企業を支援するF-Adviserについても想定以上の7社(表2)がそろった。

(表1)Fukuoka PRO Market 上場銘柄
会社名 コード 本社所在地 事業内容
テクロ 306A 東京都
渋谷区
BtoBマーケティング支援
アイビスホールディングス 9334 東京都
千代田区
福祉サービス提供
ハウジング・スタッフ 307A 島根県
松江市
新築住宅・リフォームなど不動産
ライフクリエイト 216A 福岡県
北九州市
リサイクルショップ運営
NICS 222A 岡山県
玉野市
システム開発
ヒューマンアジャスト 249A 東京都
新宿区
鍼灸接骨院の運営・コンサルティング
ニューロマジック 251A 東京都
中央区
ウェブサイトや各種サービスの設計・コンサルティング
(表2)F-Adviser
社名 資格取得日
九州FG証券 2024年8月28日
佐賀銀行 2024年8月28日
ジャパンインベストメントアドバイザー 2024年12月6日
宝印刷 2024年8月28日
日本M&Aセンター 2024年12月6日
フィリップ証券 2024年8月28日
船井総合研究所 2024年8月28日

――タイミングも良かった。

国内初のプロ向け市場、東京証券取引所のTOKYO PRO Marketへの注目が特に昨年あたりから非常に高まっており、今年は既に50社が上場している。上場維持基準が引き締められることもあり、まずはプロ向け市場で成長の足がかりをつくっておこうと考える企業が増えているようだ。

――既存の市場である本則とQ-Boardとの違いは。

売買をプロの投資家に限定していることだ。プロ向け市場は東京証券取引所のTOKYO PRO Marketに続く国内2例目。福証本則とQ-Board上場株式と異なり、個人投資家は、証券会社でプロ移行の手続きをとらなければ、FPM上場株式を買おうとすることができない。

――なぜプロ投資家に限定するのか。

プロ以外はできないかわりに、企業にとっては上場しやすい市場という制度設計にしている。ほか2市場では時価総額や株主数など形式(数値)基準を設けているが、FPMには課していない。業績などの四半期開示も任意としている。開示の言語についても、既存市場では日本語を必須としているがFPMは英語だけも可とした。

――上場のハードルを下げた目的は?

われわれの経営理念でもある「地域企業の成長への貢献」だ。上場を目指す企業の選択肢を広げるべく新設したFPMを、ぜひとも成長のためのファーストステップとして活用していただきたい。

――もともと福岡証券取引所はIPO支援が充実していると聞く。

オンラインを含めると年間200件ほど上場を目指す企業経営者と面談している。特に「3~5年以内に上場を目指す!」という強い意志を持つ企業に対しては15年前から「九州IPO挑戦隊」という勉強会を開催しており、これまで70社超が受講、5社のIPOが誕生した。

しかしながら上場申請にまで到達できないケースが圧倒的だ。せっかく上場に備えて財務管理や組織体制を充実してきたのに、足元の業績がそれほど伸びず、先延ばしを余儀なくされ、浮上のチャンスを逃している企業を、これまでいくつも見てきた。

――TSMCの進出を契機に九州への注目が高まっている。

TSMCを追うように、先端技術を持つ大手企業が九州に集積し始めている。人口減少傾向の日本にあって増加が続く福岡など、九州の潜在成長力に注目が集まっている。実際、FPM開設初日に7社の新規上場があったが、九州に本社を置くのは1社だけ。ほかは、九州に事業拠点を設けたい、九州で人材を確保したいなどの思いがあるようだ。

――今後はどのような展開を想定している?

FPMはあくまで通過点。将来的には一般投資家も参加できる本則あるいはQ-Boardへの上場を目指してほしい。FPM上場前後に適格要件の調査や各種開示に関する助言・指導を行うなど企業をサポートするF-Adviserとともに、福岡証券取引所は引き続き成長意欲が旺盛な企業のお手伝いをし、微力ながら九州全体を盛り上げていきたい。