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コラム2020年8月28日

【本日のマーケット】8月28日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

8月28日(金)のマーケット                                                                   

前日のNY市場で、NYダウは続伸。FRB議長が講演で一時的に物価2%超を容認する考えを表明。景気回復局面で物価上昇圧力が強まってもゼロ金利政策を長期間維持し、持続的な経済成長の足取りを確実にする狙いを示したことで、長期金利の上昇を受けて金融株が買われた。
ナスダック指数は6日ぶりに反落。景気敏感株に資金がシフトし、フェイスブックやネットフリックスは利食い売りに押された。本日の東京市場は NY市場での金融株が買われた流れを受け、メガバンクや不動産、生損保株が幅広く買われてのスタート。夕方に予定されている安倍首相の会見を控え徐々に様子見姿勢が漂う展開。後場寄りには上げ幅を広げ、167円高の2万3376円まで反発。しかし、午後2時すぎに安倍首相辞任の意向と報じられ、株価は急降下。一時は614円安まで下落する場面も。大引けは326円安の2万2882円と3日続落。TOPIXは下落するも1600ポイントで下げ止まり。

新興市場も大幅下落。JASDAQ指数は続落。ワークマンやSpeee、不二硝子が下落。対してテレワークのランシステムは連日の高騰。首相辞任報道で麻生フォームに思惑買いが入り急騰。マザーズ指数は大幅続落。直近IPO銘柄のT&S、インターファクトリー、ニューラルポケットが利食い売りから大幅安。一方でGMOフィナンシャルゲートは岩井コスモ証券のレーティング新規「A」で反発。

チャート上では5日移動平均線を下抜け、一目均衡表の基準線(2万2570円)で下げ止まり。大引けは25日移動平均線(2万2778円)をキープ。来週はここを死守したいところ。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。8月が終わってしまいます。本当に早いものです。

安倍首相が辞任を表明しました。病院での最初の検診から2週間、持病である潰瘍性大腸炎の悪化がその理由です。すでにお盆休み明けから株式市場の出来高が減少の一途をたどってきたのは、後知恵になりますがこの首相の病状悪化に対する疑念があったとも考えることができます。

正式な表明は金曜日の17時から開催された安倍首相自身による記者会見の内容においてですが、NHKが速報ニュースとして第一報を報じたのは、株式市場の立ち合い時間中である金曜日の14時過ぎです。その時点から400円近く急落して金曜日の大引けを迎えました。

週明け以降に株式市場にショック安があるとしたら、看板政策である「アベノミクス」の枠組みが変わるかどうか、という点だと考えられます。

しかし今はコロナ禍にあって、経済立て直しをここから図らねばならないという時期にあります。ここで金融政策を変更するわけにはいかず、財政政策もギリギリのところで運営されている以上、さらなる赤字拡大があるかどうかはともかくとして、後任の自民党総裁が誰になるとしてもこの段階で大きな政策上の路線転換がなされるとは考えにくいところです。

週明け以降に株式市場でショック安のような動きがあるかもしれませんが、そのうちの2割から3割程度は金曜日の午後からの下落によって、株式市場で処分されたのではないかと考えております。ショック安があったとしても1~2週間で完了すると予想します。日経平均で言えば、年後半に向けて下値21,500円~上値24,000円程度で推移してゆくのではないかと思います。

 

わが国の状況は社会情勢も経済活動も、一進一退を余儀なくされています。政府の分科会によれば、新型コロナウイルスへの感染のピークは7月末に到達したとの見方が出ています。

これも「ピークアウトした」という状況ではなく、中高年層の感染者数はいまだ増加が続いており、引き続き警戒を緩めるわけにはいきません。それでも新規の感染者の数は徐々にではありますが減少傾向に向かっていることも事実です。

それに伴って不評の「Go To トラベル」キャンペーンに、現在は対象外となっている東京からの発着を追加するという案が浮上しています。正式な判断は9月に持ち越されましたが、現状であればおそらく実現に向かうことになりそうです。

ようやくそこまで着た、というのが率直な感想です。東京発着が追加されれば、ホテル、旅館の観光業をはじめ、鉄道・バス、航空会社、イベント関係、飲食店にとっては何よりの朗報です。予断は許されませんが、もう一息というところまで来ているように感じられます。

株式市場は小さな変動が続いています、着実に主客交代が起こりつつあるようです。これまで買われてきたセクターや銘柄にそろそろ日柄的なピークが訪れ、それとともに売られていた銘柄が買われやすい時間帯に達しつつあります。潮流の変化に気をつけておきたいところです。

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注目記事 Pick up
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【今週の展望 首相、辞任 「ポスト安倍」探る】
日本証券新聞8月31日(月)紙面1面TOP記事掲載 

“政治リスク”織り込む 主力株、押し目狙い

28日後場に入って安倍首相辞任の報道が流れ、株価は急落した。今、株式市場関係者の脳裏をよぎっている一つの問題は、この事態を乗り越えて株価は「三度目の正直」となるか、それともこのまま「三度目も期待外れ」に終わるか、という点だろう。

日経平均は8月14日にザラバで2万3,338円、8月25日には同2万3,431円をそれぞれ付けた時点で、いったん高まった上放れ期待はその後、伸び悩みんで「不発」に終わっている。TOPIXやJPX日経インデックス400も同様な経緯をたどっている。

3度目となる今回は政治リスクを克服して新局面入りにつながるか、それともやはり調整に傾くかが焦点だ。結論から言えば、「ポスト安倍」を探る株価調整があったにせよ、今回は前者、つまり「3度目の正直」コースに入る、とみる。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が27日の「米ジャクソンホール会議」で金融政策の強化につながる「新たな指針」を打ち出したことも重要なポイントだ。

日本時間午後10時10分から行ったオンラインでの講演でパウエルFRB議長は「期間平均で2%のインフレ率」を目指すFRBのオペレーションに関わる新たな指針を打ち出した。

・・・続きは紙面・Digital版で!

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今日の市況概況
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8月28日(金)☆[概況/大引け] 

安倍首相辞任意向報道で一時614円安。終値は326円安の22,882円

大引けの日経平均は22,882.65円の326.21円安、TOPIXは1,604.87ポイントの11.02ポイント安。東証1部の値上がり銘柄数は568、値下がり銘柄数は1,543。出来高は16億6,610万株、売買代金は2兆8,251億円。
安倍首相が辞任の意向と報じられ、2時過ぎに日経平均は急落し一時614円安となった。

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