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コラム2020年10月30日

【本日のマーケット】10月30日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

10月30日(金)のマーケット                                                                   

前日のNY市場は5日ぶりに反発。7~9月期の実質GDPが年率換算で前期比33.1%増となり、市場予想の31.0%増を上回った。週間の新規失業保険申請件数は75万1千件で市場予想の77万8千件よりも少なかった。決算発表を控えたアップルに先回り買いが入った。NYダウは139ドル高(0.52%高)の2万6,659ドル。ナスダックも反発。フェイスブックやアルファベットに買いが入り、半導体検査装置のKLAテンコールの7~9月期決算がアナリスト予想を上回ったことで買われ、エヌビディアやAMDといった半導体関連が物色された。ナスダック総合指数は180ポイント高(1.64%高)の1万1,185ポイント。

本日の東京市場は続落でのスタート。週末要因と、11月3日の米大統領選挙を控え手控えムード。新型コロナ禍に対応した郵便投票の激増で、勝敗の鍵を握る「激戦州」の結果を巡り時期が遅れそうとの見方もあり、徐々にヘッジ売りが出て本日の安値圏で終了。大引けは354円安の2万2977円と2万3000円割れ。今週は5日続落。米大統領選という大イベント通過後の展開に注目が集まります。

新興市場は3日続落。JASDAQ指数は3日続落。メディアリンクスやストリームメディアが売られ、大塚家具も反落。対して、セプテーニは決算がアナリスト予想を上回りストップ高。NCNは業績上方修正でストップ高。マザーズ指数も3日続落。直近IPOのPアンチエイジングやカラダノートが下落。JTOWERが利食い売りで急反落。一方、Jストリームは業績上方修正で急騰。JMDCも上方修正が好感された。

本日IPOはRetty(7356・東マ)。公開価格を36%上回る1,611円で初値形成。その後はおおむね初値を上回る水準で取引され、一時、1,990円まで上昇する場面も見られた。同社は口コミグルメサイト「Retty」を運営。(※【動画】IPO情報局で配信中)

チャート上では、2万3000円割れとなり、5月22日以来、75日移動平均線(2万3120円)も下抜けて一目均衡表の雲に突入。週足チャートでも長い陰線を引き、13週移動平均線(2万3165円)を下抜け。目先は下方向を伺わせるチャート形状。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。日本のマーケットは悪いなりに堅調な動きを続けています。決算発表が本格的に始まり、企業収益が株価の下値を支えているような要素が見えつつあります。

自社株買いを発表する企業が増えてきました。HOYA(400万株、400億円)、メルコHD(180万株、45億円)、メイテック(44万株、20億円)、コニシ(50万株、7.3億円)、アダストリア(200万株、40億円)、いちご(550万株、15億円)、杉本商事(50万株、12.5億円)などがそうです。

決算発表が本格的に始まっているということもあるのでしょうが、同時に企業の資金繰りが安定してきたことと関係があるように思います。

春先はとにかく手元資金を確保することが最優先事項となりました。その過程で自社株買いの計画を凍結した企業も多かったようです。

それが少しずつ将来の展望が開けるようになってきて、資金繰りにも余裕が出てきたことから、ストップされていた自社株買いが再開され始めているように見られます。

確かにコロナ禍によって、引き続き厳しい業界は存在します。航空業界が代表例で、来年度の採用凍結、冬の一時金カット、希望退職の募集、配置転換、それでも大幅な最終赤字の計上は避けられない情勢です。

しかしそのような一部の業界を除けば、世の中の趨勢は当初考えていたほどの落ち込みは避けられるという方向に向かいつつあります。これらすべてを含めて「新しい日常」ということになるのかもしれません。

景気の見通しははっきりせず、動きの取りにくいマーケット環境が続きそうです。それでも変化は着実に始まっているはずです。

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注目記事 Pick up
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【相場を斬る(65) 「鳴くまで待とう時鳥」
日本証券新聞11月2日(月)紙面1面記事掲載 

段階的押し目買いスタンス 株価トレンドで選別物色を

第一次世界大戦中に欧州一帯に構築された塹壕(ざんごう)は、連合国・中央同盟国の両軍合わせて4万キロに達したと言われ、年単位に及ぶ長期間の塹壕戦が展開された。

国内株式市場においても、3月19日の安値からの戻り相場でいったん2万3,178円高値を付けた6月上旬以降は、レンジ相場の様相を呈している。上が2万3,000円台半ば、下が週足の13週移動平均線(以下MA)付近に掘られた深い塹壕ラインをよりどころにした、狭いレンジでの「塹壕戦」だ。

特に8月中旬以降は膠着(こうちゃく)度合いが増している。8月14日から10月19日まで片道12回の日経平均の上下動の変動幅を終値ベースで見ると、後半2回を除き、おおむね400~600円程度での動きにとどまっており、米国大統領選挙接近により、俄(にわか)政治評論家が蔓延する中、まるでサイドブレーキを引いたままの車を運転しているような状況になっている。

動かない相場に辟易(へきえき)している投資家が多いと思われるが、重要なのは、相場が動き始めた時に、即応できる体制を維持することである。

敵が来ないからと、見張りをさぼり塹壕の中で寝ていて、戦に勝てるわけはない。開戦を待つ時間は精神的にきついかもしれないが、ここは「鳴くまで待とう時鳥(ホトトギス)」の心境で、時鳥が泣く瞬間をとらえたいものである。

日経平均とTOPIXのチャート形状の違い

動きに乏しい市場であるものの、日経平均は狭いレンジながら緩やかな上昇トレンドをたどっており、米国株式市場の大幅下落を受けた10月29日においても13週MAに対する上方カイ離を悠々維持している。

NT倍率が9月28日の14.14をボトムに上昇に転じる中、週足で日経平均・TOPIXの両指数を比較すると、日経平均は10月第3週に26週MAが52週MAを上回り、株価とMAの位置関係は、上から「株価>13週MA>26週MA>52週MA」の順パターンを形成済みである。

アベノミクス以降の相場を見ても、順パターン形成後の相場の堅調ぶりは一目瞭然(りょうぜん)であるが、気になるのはTOPIXの動きである。

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今日の市況概況
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10月30日(金)☆[概況/大引け] 

来週の米大統領選を控え、ヘッジ売りが出て日経平均は2万3,000円割れ。武田薬品や東京エレクが安い。アドバンテストとファナックは上昇

大引けの日経平均は22,977.13円の354.81円安、TOPIXは1,579.33ポイントの31.60ポイント安。東証1部の値上がり銘柄数は244、値下がり銘柄数は1,897。出来高は13億1,380万株、売買代金は2兆6,377億円。
11月3日の米国大統領選挙は新型コロナの影響で郵便投票が多く、決着が付くまでに時間が掛かるという見方や、両候補から勝利宣言が出され混乱するといった懸念が抱かれているため、日経平均はヘッジ売りが出て、2万3,000円を割り込んだ

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