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コラム2020年12月18日

【本日のマーケット】12月18日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

12月18日(金)のマーケット                                                                   

前日の米国株式市場で主要3指数は上昇。NYダウは反発。米国議会指導部が9千億ドル規模の新型コロナウイルス追加景気対策で合意に近づいていると報じられ、モデルナの新型コロナウイルスワクチンが早ければ週内に緊急使用が許可される見通しとなったことも好感された。NYダウは前日比148ドル高(0.49%高)の3万303ドル。ナスダックは4日続伸。テスラやモデルナが買われた。スダック総合指数は前日比106ポイント高(0.84%高)の1万2,764ポイント。

本日の東京市場で日経平均は、もみあいでのスタート。NY市場では主要3指数が全て上昇となったものの、FRBによる金融緩和が長期化するという見方でドルが売られ、円高方向への推移となったことが重石となった。しかしながら、ファイザーが日本でも新型コロナウイルスワクチンの承認申請を行ったことが好感され、TOPIXは小幅高。大引けの日経平均は43円安の2万6,763円。売買代金は2兆8,959億円。TOPIXは0.66ポイント高の1,793ポイント。

新興市場は小動き。JASDAQ指数は小反落。出前館、ウエストHD、ハーモニックドライブが下落。対して、イメージワンは新型コロナウイルス検査運用システムの開発完了でストップ高。また、細谷火工が大幅高。マザーズ指数は小幅に2日続伸。BASEがHameeとの連携で買われ、アイリックは子会社のスマートOCRがJTBのシステムに採用されていることで急騰。一方、マクアケやPアンチエイジや弁護士ドットコムが下落。

本日は2銘柄がIPO。マザーズに上場の中小企業向け経営支援プラットフォームを展開しているココペリ(4167)はカイ気配で取引を終了。また、同じくマザーズ上場の、12カ国語のコンタクトセンターを運営するインバウンドテック(7031)の初値は公開価格を28%上回った。

チャート上では、1日の上下値幅は116円と狭いレンジでの推移が継続。5日移動平均線(2万6749円)上での高値保ち合い商状。週足でもレンジが極端に狭く、2万6800円どころでの上値の重さが感じられる。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。株式市場が堅調さを維持しています。日経平均は12月に入って意外なほどの強さを見せ、始まったばかりの新興市場のIPOも、初値の形成やセカンダリー市場の動向を見る限り非常にしっかりしています。

株式市場がこのようにしっかりしていることが、今の日本経済にとって何よりの朗報だと言えるでしょう。それは経済の状況が日に日に好転しているためだと思っています。今週に起こった数々の変化の中で、最も大きなポイントは日銀短観にあるものと私は考えています。

12月14日(月)の早朝に発表された12月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIは、前回調査の「▲27」から+17ポイント改善して「▲10」となりました。先行きの見方も「▲8」で、小幅ですが+2ポイントの改善が続きます。

大企業・製造業の業況判断DIが改善するのは2四半期連続のことです。それまでは10四半期連続で悪化を続けていたのですから、それ自体が大きな変化です。

同時に、「雇用」の堅調さが目を引きます。雇用人員判断は「過剰」から「不足」を差し引いたもので、数詞が低いほど人手不足感が強いことを示します。これは大企業・製造業で前回調査の「+6」から今回は「+4」に低下しました。中小企業は「▲6」から「▲13」に変わり、再び人手不足感が強まりつつあります。

企業の資金繰り判断も、「楽である」から「苦しい」を差し引いた数値は、大企業で前回の「+10」から「+11」に上昇しました。資金繰りはひっ迫してはおりません。日銀は大規模な金融緩和を継続しており、金融機関の貸出態度も緩和したままの状態です。

あらためて思うに、現在の株式市場はこのままの堅調ぶりを持続して行けるのではないでしょうか。今回の日銀短観によって得られた状況からそう判断するようにいたします。

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注目記事 Pick up
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【円高もはや悪材料にあらず
日本証券新聞12月21日(月)紙面1面TOP記事掲載 

「ドル建て日経平均」最高値に王手

相場の円高耐性が指摘される昨今。17日のニューヨーク市場で1ドル=102円台に入る「9カ月ぶりの円高・ドル安水準」を付けたものの、かつてのような過剰反応は見られず、業種別指数では、代表的な円高デメリットセクターとされる「精密」の上昇率が33業種中トップ。ドル建て取引が多く、やはり円高デメリットのはずの非鉄なども上位を占めた。一方で、内需系の建設、不動産、陸運などがマイナス――といった具合だ。

アベノミクス相場初期に、海外勢による「日本株買い&円売り」取引が隆盛だったこともあって、市場筋の脳裏には「円安=株高/円高=株安」が刷り込まれた感もあるが、足元の動きは明らかに異なる。そうした背景について明快に説明するのは第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストだ。「今の動きは『円高』というより『ドル安』。(ビットコインも含め)すべての通貨に対してドルが売られているが、(ユーロ円など)クロス円では円高とは言えない。また、今は『リスク・オン→ドル安』が世界的な潮流で、『円高だからどうこう』といった文脈では相場を説明できないし、するべきでもない。そもそも、自国通貨安(円安)で相場が上がるというのは日本固有の事象だ。ドイツでも韓国でも通常、通貨高が好感される。こうした特異性が薄れてきた面もあるだろう。日本でも、例えば2003年は株高・通貨高・金利上昇が進んだ」とのこと。実際、かつてのバブル期も、トリプルメリットの1つ「円高」は好材料視されたものだ。

円/ドル(週足) 2016年2月~

そして、「円高+日本株高」となれば、もう1つの注目点は、ドル建て日経平均だ。18日の市場では一時260ドルに到達。この水準が何を意味するか。SMBC日興証券の18日付エコノミストレポートは「バブル最終盤の1989年12月下旬に付けた273ポイントにあと5%に迫っている」と指摘する。

“円建て日経平均”最高値3万8,915円までは、なお約45%の距離を残すが、ドルベースでは、30年ぶり奪回が見えてきている。

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今日の市況概況
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12月18日(金)☆[概況/大引け] 

週末の手仕舞い売りをファイザーのワクチン申請が緩和し、TOPIXは小幅高に。任天堂は反落したが、ソニーは堅調。空運が高い

大引けの日経平均は26,763.39円の43.28円安、TOPIXは1,793.24ポイントの0.66ポイント高。東証1部の値上がり銘柄数は1,008、値下がり銘柄数は1,079。出来高は12億9,699万株。売買代金は2兆8,959億円。
週末の手仕舞い売りで反落したが、ファイザーが日本でも新型コロナワクチンの承認申請を行ったため、日経平均の下げ幅は小幅にとどまり、TOPIXは小幅高となった。

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