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コラム2020年12月30日

【本日のマーケット】12月30日(水)新春特別版 鈴木一之マーケットレポート

12月30日(金)のマーケット                                                                   

前日の米国株式市場で主要3指数は小幅反落。追加経済対策法に盛り込まれた1人当たり600ドルの個人直接給付金を2,000ドルに引き上げる民主党の法案は下院では可決されたが、上院では共和党により阻止されたことが嫌気された。NYダウは前日比68ドル安(0.22%安)の3万335ドル。ナスダックも反落。ナスダック総合指数は前日比49ポイント安(0.38%安)の1万2,850ポイント。

本日、大納会となった東京市場では、日経平均は昨日の急騰を受け高値警戒感からでの反落スタート。今週は前日までの2日間で911円の急騰となっているだけにスピード調整の範囲内。一時229円安まで下落となるも、後場からは日銀のETF買いも入り、下げ幅を縮小。大引けの日経平均は123円安の2万7,444円。売買代金は1兆9,606億円。TOPIXは14ポイント安の1,804ポイント。

新興市場は小幅続伸。JASDAQ指数は続伸。不二精機が信用取引規制解除で大幅高。出前館とレアメタル回収のアサカ理研が反発。対して、ウィルソンラーニングが反落。マザーズ指数も続伸。アルファポリスとNexToneは、いちよし経済研のレーティング新規「A」を受け物色された。政府が転出入届けにマイナンバーカードを活用することで、ITbookが上昇。また、直近IPO銘柄のウェルスナビ、ココペリ、エネチェンジが大幅高。

昨日、マザーズにIPOのオンデック(7360)は公開価格1,550円に対して2.9倍にあたる4,500円で初値形成。同社は、M&A仲介、アドバイザリー業務を行っている。資金吸収額10億円未満の軽量案件。(※IPO情報は【動画】IPO情報局で配信中)

日経平均の年足チャート上では、下ヒゲの長い大陽線となった。株価レンジとしては、終値比較だと30年前の水準。1989年の史上最高値チャレンジを感じさせるチャート形状。

 

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★☆★ 《新春特別版》鈴木一之 マーケットレポート ★☆★
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驚くべき株価の上昇 横たわる「買いの手掛かり材料」

鈴木一之です。2020年が終わろうとしています。今年は社会全体に信じられないほどの変化があった1年でした。時間が飛ぶように過ぎていったという感じが強く残っています。その1年も残すところあと数日ですが、ただでは終われないようです。

大納会前日の12月29日(火)に驚くべき株価の上昇が起こりました。この日の日経平均は1日で△714円の上昇を遂げ、2万7,000円の大台をあっさりと更新しました。30年4カ月ぶりの高値です。上昇幅としても6月16日に記録した△1,052円に次ぐ今年2番目の大きさとなりました。

株高の理由としては、クリスマス休暇明けの米国市場で3指数(ダウ、S&P、NASDAQ)そろって史上最高値を更新したこと、トランプ大統領が議会で成立した経済対策に署名したこと、金額も米国民1人につき600ドルから2,000ドルに増額されたこと、が直接的な買いの材料とされました。調整ムードが強かったテクノロジーの巨人、いわゆる「GAFA」に上昇機運が再び高まってきたこと、アジア各国の株式市場も騰勢を強めていたこともそこに加わります。

日経平均(日足)

さらに日本国内では、年末休みを前にして日経225オプション取引のショート筋が手じまいの買いを急いだこと、おまけにザラ場中には中国の習近平・国家主席に病状悪化説まで流れて、あれやこれやで株式市場は年末の1日。ほぼ一本調子の上昇につながったもようです。

この日の値動きは少々出来過ぎの感じもします。急上昇には急反落もあり得ますのでぬか喜びはできません。それでもマーケットの地合いは決して悪くはないとだけ言い切れます。コロナウイルスの感染拡大は変異種の出現も含めて、まったく予断を許しません。日本政府は水際作戦を強化して、世界との人の往来を再び閉ざしました。年末年始は「静かにステイホーム」とのアナウンスがあちこちで聞かれます。楽しいはずのお正月は控え目になり帰省もできず、年越しの消費活動は大きく落ち込むことは間違いありません。

2021年の展望

決して明るい年の瀬とは言えないのですが、それでも来たる2021年を見渡してみると、株式市場にとって買いの手掛かりとなりそうな材料がいくつも横たわっています。それらを列挙してみます。

(1)増配企業が増えていること。既にQ3の決算発表が始まっている2月/8月決算の小売企業の中からでも増配に踏み切る企業が相次いでいます。業績が落ち込んでいる企業ばかりではありません。

(2)ビットコインが最高値を更新しています。これはリスク資産が動き出していることの証しと考えられますが、もっと素直に暗号資産を含めた「フィンテック」の実用化が目の前に迫っていることも示しています。この分野に関連する企業や株式市場のテーマ買いが年明けにぐっと増えてくることでしょう。

(3)「グリーン成長戦略」が音を立てて始動しています。太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギー、水素燃料、水素発電の活用、EV(電気自動車)、全固体電池、あらゆる技術革新に本気で取り組む姿勢が整いました。日本経済新聞社の「社長百人アンケート」では9割強の経営者が2050年の温暖化ガスのゼロ目標を「達成可能」と答えています。

(4)国土強靭(きょうじん)化の推進。道路、橋梁(きょうりょう)、トンネル、下水道など、老朽インフラの強化は待ったなしの状態です。それと関連してか、老朽化したビルの再開発が急ピッチで進められています。オフィスビルから排出される温暖化ガスの量も無視できません。

(5)再開発でビル取り壊しに伴う建築スクラップのリサイクルの需要も高まります。今年は世界的な景気刺激策の効果もあって、非鉄金属の価格高騰がはっきりとしてきました。「都市鉱山」と称される金属リサイクルの需要も高まりつつあります。

(6)社会保障改革のスピードも緩めることはできません。医療、介護分野で生産性の向上は急務です。

(7)消費者の行動がはっきりと変わり、小売業、サービス産業の「ニューノーマルへ」の対処も求められます。都市から郊外へ店舗の作り替え、食品ロス減少への配慮、外国人労働者に頼り切れない人手不足への対処、省人化、ロボット化、工場の再配置も含めてこれらは地方再生へとつながる道でもあります。

投資の機会広がる

世界は物価の低迷(デフレ)、財政赤字の拡大、低金利、人口減少など、いわゆる「日本化」の苦しみに直面しつつありますが、その本家本元である日本には、目の前に投資の機会がいくらでも広がっているのです。貿易摩擦や地政学的なリスクでますます予測しにくい状況の外需(輸出)に頼らなくても、国内の需要(内需)だけでもそこそこの経済成長は可能であるようにも思えてきます。新年はそれらの芽をさらに進めてゆくことになるのでしょう。企業の活動にさらに期待して大きな、明るい夢を膨らませてみたいと思います。サンケン電気(6707)エス・エム・エス(2175)アマダ(6113)コムシスHD(1721)スクリーンHD(7735)、そして商船三井(9104)に注目しています。

今年1年ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。どうぞよいお年をお迎えください。

※【動画】NSJヘッドラインに特別ゲスト出演。2021年の展望を伺いました。是非ご覧ください!

 

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今日の市況概況
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12月30日(水)☆[概況/大引け] 

高値警戒感から反落したが、下げ幅は限定的。エムスリーやファナック、素材産業が売られたが、空運は経営統合説が蒸し返され、テーマ株のレノバとメドピアが高い

大引けの日経平均は27,444.17円の123.98円安、TOPIXは1,804.68ポイントの14.50ポイント安。東証1部の値上がり銘柄数は607、値下がり銘柄数は1,507。出来高は8億7,819万株、売買代金は1兆9,606億円。
前日の急騰(714円高)による高値警戒感から反落したが、下げ幅は限定的だった。

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