TOP  NSJアップデート  コラム  【本日のマーケット】5月21日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿
コラム2021年5月21日

【本日のマーケット】5月21日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

5月21日(金)のマーケット                                                                   

前日の米国株式市場で主要3指数は揃って上昇。NYダウは4日ぶりに反発。量的緩和の縮小開始には時間が掛かるという見方から長期金利が低下し、高PERのハイテク株が買われた。ビットコインが反発したことも不安心理を後退させた。NYダウは前日比188ドル(0.56%)高の34,084ドル。ナスダックも4日ぶりに反発。ビットコイン関連のテスラやコインベースが買われ、アプライドマテリアルズやエヌビディアといった半導体関連も物色された。対して、アプライドマテリアルズは2~4月期決算と5~8月期見通しが共にアナリスト予想以上となったが、材料出尽くしにより時間外取引では下落。ナスダック総合指数は前日比236ポイント(1.77%高)の13,535ポイント。S&P500指数は前日比43ポイント(1.06%)高の4,159。

本日の東京市場は、NY市場の反発を受けてギャップアップでのスタート。2万8000円台で堅調な滑り出しで徐々に上げ幅を拡大。313円高の2万8,411円まで買われたが、アストラゼネカ社のワクチン接種控えや、緊急事態宣言の期限が5月末から最大で6月20日ごろまで延長される案が出ていると報じられ伸び悩み。大引けの日経平均は219円高の2万8,317円。売買代金は2兆3,802億円。TOPIXは8ポイント高の1,904ポイント。

新興市場は4日続伸。JASDAQでは幼児活動研究会が急騰。夢みつけ隊は決算が計画を上回り大幅高。対して、テクノホライゾンは大幅反落。ホロンは決算悪で大幅続落。マザーズ指数は大幅に4日続伸。ベビーカレンダーがストップ高。自民党の勉強会が子供関連予算倍増の新提言案をまとめたことが材料視された。FRONTEOは今期大幅増益予想と復配見通しで買われた。一方で、AIinsideは米キャピタル・リサーチの保有株売却判明で下落。

日足チャート上では、4日間連続で、5日移動平均線を上回っての推移。先週末にはー3σ水準となっていたボリンジャーバンドは-1σ(2万8,201円)を回復。一先ずは落ち着きを取り戻したチャート形状。

週足では長い下ヒゲを引いて、2万8,523円に位置する26週移動平均線にはわずかに届かず。来週に期待したいところ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  

鈴木一之です。日本でも遅まきながらモデルナとアストラゼネカの2種類のワクチンに対して製造・販売が認られることとなりました。

先行しているファイザー製と合わせて、これで数字上では日本全体に行きわたるワクチン本数は確保されました。あとはそれぞれの自治体がどこまで物理的に接種体制を整えてゆくか、その点に焦点は移ってゆきます。

ワクチン接種の遅れは景況感の回復の遅れに直結します。先週の株式市場は日経平均がわずか3日間で▲2000円強も下落し、まさにこの点が突かれました。

金融相場から業績相場に移行する時、相場の性格が切り替わる時にマーケットの値動きが急変することはよく見られます。投資主体が変わるのか、あるいは投資スタンスが変わるのか、物色対象の中身が変わることで、相場の性格が移行する時に株価の急落が起こりやすいものです。

今週のビットコインやコモディティの急落、先週の日経平均の▲2000円もの下落は、ひょっとしたらそのような変化を示しているのかもしれません。決算データをにらみながら、機関投資家のポートフォリオの入れ替えが徐々に進められてゆくことでしょう。業績の順調な銘柄に注目していたいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
注目記事 Pick up
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【海外勢は「政権交代」を強く意識
日本証券新聞5月24日(月)紙面1面TOP記事掲載 

外国人8カ月ぶりの売越幅(5月第2週)  クレディ・スイス証券 白川浩道チーフエコノミスト語る

米国株急反発を受けて始まった21日の東京市場だが、日経平均は朝方の313.31円高までで、もうひとつ伸び切れない。前週の外国人が昨年9月第3週以来となる大幅売り越しに転じた点も気にされているようだ。こうした状況下、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフ・エコノミスト(写真)は20日夕刻、「米国のインフレ圧力を評価する」と題するメディア向け電話セミナーを開催した。なかでも興味深かったのは、外国人の投資姿勢に言及した部分だ。日本人的には、少々悲観的過ぎではとの印象も受けるが、海外投資家と常に密接に向き合ってきた第一人者の意見は決して軽視すべきではない。主な発言内容は以下の通りだ。

「日銀のETF買い入れスタンス変更への失望感が尾を引く一方、日本株のMSCI指数新規採用ゼロ(除外は29銘柄)も重なり、外国人は日本株からすっかり『引いて』しまった感がある」

「このところ海外投資家からの質問が急増した。転換点を見極めようとする際によくある現象で、アナリストではなく、エコノミストやストラテジストに聞いてくる。東京五輪開催の可否などはさほど関心がない様子。無観客で開催しても経済効果が限られるためだ。むしろ、日本人の感覚ではまだ早いようだが、足元の支持率低下から政権交代リスクが意識されている。秋にかけての衆院選、自民党総裁選を踏まえ、3カ月スパンでシナリオを組み立てていくのが彼らのスタンスだ」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NSJ Market Forcus
今日の市況概況
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

5月21日(金)☆[概況/大引け] 

続伸だが、アストラゼネカのワクチンの接種を当面控えることで上値は限定的。新興市場では子ども関連が急騰

大引けの日経平均は219円高の2万8,317円、TOPIXは8ポイント高の1,904ポイント。東証1部の値上がり銘柄数は1,076、値下がり銘柄数は1,009。出来高は10億3,796万株、売買代金は2兆3,802億円。
日経平均は続伸となったが上値は限られた。
アストラゼネカのワクチンは稀に血栓が生じるため、当面接種が控えられることが影響した。
日本におけるワクチンの供給量は、ファイザーが9,700万人分、モデルナ2,500万人分に対して、アストラゼネカは6,000万人分のため、ワクチン普及に伴う正常化期待が後ズレすることになる。

詳しくはコチラ

関連記事