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コラム2022年5月6日

【本日のマーケット】5月6日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

5月6日(金)のマーケット                                                                   

5月5日の米国株式市場は大幅反落となり、NYダウは1,063ドル安で今年最大の下げ幅。一時1,375ドル安の場面もあった。第1四半期の労働生産性は年率換算で前期比7.5%低下した。市場予想は5.4%低下。単位労働コストが前期比11.6%上昇、前年同期比では7.2%上昇したことが要因。前日にパウエルFRB議長は「0.75%利上げは積極的に検討しているものではない」と述べたが、インフレ圧力が強いと0.5%の利上げでは追いつかず、より強力な引き締め策に追い込まれると警戒された。米国長期金利は一時前日比0.17%高い3.10%と2018年11月以来の高水準を付けた。 NYダウは前日比1,063ドル(3.12%)安の32,997ドル。ナスダックの下落率はNYダウよりも大きく、テスラやアップル、アマゾン、エヌビディア、メタプラットフォームズ、ネットフリックスなどが売られた。NASDAQ総合指数は前日比647ポイント(4.99%)安の12,317ポイント。S&P500指数は前日比153ポイント(3.57%)安の4,146。

日経平均は反発。米国株急反落を受け朝方は売られたが、連休中の米国株は均して横ばいだったため、売り一巡後は買い戻しにより反発に転じた。プライム市場では、岸田首相が講演で「安全を確保した原子炉の有効活用を図る」と述べたため東電が高い。三井物産は燃料アンモニアの量産報道で上昇。コマツや三菱重工、空運は経済再開期待で買われた。一方、レーザーテックとソフトバンクGは売られ、米エスティローダーの下方修正で化粧品は下落。高水準の出店を警戒しドラッグストアも安い。

スタンダード市場では、リミックスポイントが急騰し、ワークマンは4月既存店売上高で買われた。新生銀行が反発し、Abalanceは9日ぶりに反発。近畿車両が年初来高値を更新。ウエストHDと出前館は反落し、サイバーステップは続落。メディアリンクスは4日続落。

グロース市場は軟調。メルカリやJTOWER、ウェルスナビが売られ、直近新規公開株のモイやクリアル、ペットゴーが大幅安。岸田首相が水際対策を6月に緩和と述べ、HANATOURはストップ高。エッジテクノロジーが反発し、マクアケは3日続伸。

日足チャートでは、5日移動平均線の上で推移。25日移動平均線(2万7,151円)を上抜くことが出来るか、来週以降の焦点となる。週足では、底堅い動きとなっており13週移動平均線上に位置。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。5月になりました。久しぶりに行動規制のない大型連休を満喫しています。

この連休中のサプライズは、岸田首相によるロンドンでの「インベスト・イン・キシダ」の講演です。5月5日にロンドンのシティで欧米の政治家、官僚、銀行家、投資家を前に行われました。

そこでは岸田首相の持論である「新しい資本主義」の内容を説明し、日本への投資拡大を呼びかけました。肝心な点は、柱となる4つの具体的な政策です。「人への投資」、「イノベーションへの投資」、「スタートアップへの投資」、そして「グリーン、デジタルへの投資」の4つです。

最初の「人への投資」は、職業訓練、学び直し、生涯教育などへの投資が重要との位置づけです。2番目の「イノベーションへの投資」は、「人工知能、量子技術、バイオ、デジタル、脱炭素」の5つの科学分野で国家戦略を強く打ち出しています。

3番目の「スタートアップへの投資」では、海外ベンチャーキャピタルの誘致、長期資金のベンチャー投資への循環など、戦後2回目の創業ブームを起こす方向を示しました。

最後の「グリーン、デジタルへの投資」では、再生可能エネルギー、カーボンプライシングを総動員しています。安全を確保した原子力の有効活用を打ち出し、その上で2030年に17兆円、さらに今後10年間で官民合わせて150兆円の関連投資を、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて実行すると明言しました。

不透明感の強い地合いですが、それだけに連休明けを待っていた待機資金がかなりの額にのぼると見られます。それらがこれから動き出せば、日本株は本格的な米国離れを始めることになるでしょう。足元の企業業績をしっかりと確認しながら、「インベスト・イン・キシダ」に賭けてみたいと思います。

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注目記事 Pick up
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【「インベスト・イン・キシダ」 
日本証券新聞5月9日(月)紙面1面TOP記事掲載 

 首相、ロンドンで投資呼びかけ “9年前”の再現なるか

岸田文雄首相は5日、英ロンドンの金融街・シティでの講演で、「インベスト・イン・キシダ」(岸田に投資を)と安心して日本に投資するよう呼びかけた。脱炭素など地球環境対策に、今後10年間で150兆円の新規投資を官民協調で行うと表明。原発の有効活用を図ると述べたことから、東京電力HD(9501・P)が大幅高で年初来高値を更新。2年半ぶりに500円台を回復するなど、電力大手が一斉高となった。

発足以来、金融課税引き上げ論議に触れるなどして、日経CNBCの投資家アンケートでは支持率3%と国内の投資家から距離を置かれ、株価も低迷していた岸田政権。安倍晋三元首相が「バイ・マイ・アベノミクス」と海外投資家に呼びかけた後、株価が急上昇した再現が期待される。

・・・続きは紙面・Digital版で!

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今日の市況概況
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5月6日(金)☆[概況/大引け] 

朝安後に持ち直した。岸田首相の発言で東電と空運や電鉄が買われ、経済再開期待で機械も上昇

大引けの日経平均は185円高の2万7,003円、TOPIXは17ポイント高の1,915ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は1,279、下落銘柄数は511。出来高は14億9,856万株、売買代金は3兆4,359億円。
米国株急反落を受けて、連休明けの日経平均は朝方275円安の2万6,543円となったが、連休中のNYダウは均してみれば横這いだったため、日経平均も売り一巡後に下げ幅を縮め、持ち直した。

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