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インタビュー2020年4月27日

トップインタビュー 三井不動産フロンティアリートマネジメント株式会社 代表取締役社長 小野伸太郎氏 「商業施設」REITの先導役、フロンティア不動産投資法人

スポンサー三井不動産の施設開発・運営ノウハウ活用が強み

三井不動産
フロンティアリートマネジメント
小野伸太郎代表取締役社長

水面下で注目が高まっているJ―REIT。今回は、三井不動産(8801)をスポンサーに持つ商業施設特化型REIT、フロンティア不動産投資法人(8964)に注目したい。強みなどを、資産運用会社である三井不動産フロンティアリートマネジメントの小野伸太郎代表取締役社長に聞いた。

3月の東証REIT指数は月間で20.93%安と、日経平均株価の10.5%安から大きくアンダーパフォームした。確かに投資信託や国内機関投資家は520億円を売り越したものの、その一方で、海外投資家は343億円、個人投資家は477億円の大幅な買い越しという結果に。ちなみに個人投資家が買い越しに転じたのは2017年7月以来の出来事だ。とはいえ千差万別のREIT、今回は商業施設特化型について掘り下げる。

――フロンティア不動産投資法人の特徴は?

「フロンティア不動産投資法人(以下FRI)は、商業施設に特化したREITであることと、商業施設を全国で多数展開する三井不動産をスポンサーに持つことが特徴だ。三井不動産といえば1981年に日本初の大型商業施設『ららぽーと』を開業、加えて『三井アウトレットパーク』、歴史的価値を残しつつ世界的観光地によみがえらせた東京日本橋『コレド』など、現在までさまざまなタイプの施設開発・運営を続けている、いわば業界のトップランナーだ」

――三井不動産との関係性を詳しく。

「直近では、3月に、九州を代表する商業集積地のひとつである天神エリアに所在する商業施設を取得するなど、三井不動産のパイプラインをフル活用した外部成長が実現できている。さらに、施設の運営を三井不動産に委託しており、施設運営においても三井不動産の豊富なノウハウを活用することにより、取得及び運営の両輪で質の高いポートフォリオを構築できる体制が整っている」

――ポートフォリオの内訳を知りたい。

「4月1日現在で37物件あり、これらが多種多様であることと、全国に点在することも大きな特徴。ららぽーとのように多数の専門店を有する大規模ショッピングセンター(SC)だけでなく、食品スーパーが主体となった地域密着型の中規模SC、都心一等地の路面に立つ商業ビル、商業施設の底地といった多様な物件を全国に保有している」

――業態、エリア、ともに分散が効いている。

「とりわけ業態の分散はREIT運用の安定性向上にも大きく貢献している。中規模SCには景気に左右されづらいといわれる食品スーパーが入り、都心一等地の商業ビルには成長意欲が強いブランドが単独で入居するなど施設によってテナント属性が異なる上に、利用者の側も属性や利用目的などが都心部と郊外ではまるで違う」

「当方の施設は賃貸借契約の期間が平均19年と長期にわたる上に、賃料収入の9割以上が固定賃料となっている。これが安定した分配金の源泉でもある。また、国内主要格付け会社からAA格を付与されており、日本銀行の買い入れ対象銘柄にもなっている」

――結果、安定した分配金の水準を維持できている。

「2004年の上場来、安定的な分配金を継続。2019年12月期までの直近6期は1万円を超える水準を維持しており、着実な分配金成長をしてきている。今後も安定した分配金の配当に向けて引き続き努力したい」

――最後に。小野社長は4月に就任したばかりと聞く。

「REITの運用はこれからだが、これまでの約30年間は三井不動産のあらゆる商業施設で、現場に立って運営ノウハウを積んできた。足元では、環境変化に合わせ、三井不動産の商業施設で共通して使えるポイントカードの拡充や、『&モール』といったEコマースとの融合を図る取り組みなど、商業施設運営において様々な取り組みを推進してきた。競合動向を含めた商業施設の基本は知り尽くしている。物件の新規取得・売却、リニューアルのタイミングなどを、変化が続く中でも冷静に見極めながら、引き続きFRIを成長させていきたい」