テクニカルセンターを技術開発の拠点に
第一実業(8059・P)は1948年創業の独立系総合機械商社。医薬品の外観検査装置を含むヘルスケアをはじめ産業機械、各種プラント用設備、リチウムイオン電池製造装置、半導体・実装関連まで幅広い生産設備を取り扱っている。2026年3月期営業利益は前の期比4.5%増の137億円と最高益を更新。海外売上比率50%超とグローバルに事業を展開する同社の今後の取り組みについて、船渡雄司代表取締役社長執行役員(写真)に話を聞いた。
――第一実業のビジネスモデル、強みは何か?
「もともとの機械専門商社から多角化を進めており、現在は電子部品や半導体デバイスを扱うエレクトロニクスをはじめ、プラント・エネルギー、自動車、産業機械、エナジーソリューションズ、ヘルスケア、航空・インフラの7事業を展開している」
「機械商社はどこも『トータルソリューション』を標榜するなど違いが分かりにくいが、エンジニアリング機能こそが当社の最大の付加価値だと言える。単なる機器販売にとどまらず、複数メーカーの設備を束ねるラインエンジニアリングから、導入後の保全・生産性向上までの支援を一気通貫で提供している。『どこででもものづくりが立ち上がる状態にしてお客様にお渡しできる』体制が一番の強みだ」
――中期経営計画のポイントを教えてほしい。
「昨年5月に策定した中計『MT2027』では28年3月期の営業利益目標を150億円としている。政府が掲げる重点17分野、AI半導体・データセンター(DC)・蓄電池・サーバー関連、GXといった分野にリソースを投入していくのはどの企業も同じだと思う」
「当社の特徴は複数の事業がひとつの市場に関わる点だといえる。例えばDC市場では必要な設備や技術は多岐に及ぶ。電源設備やエネルギー供給・排熱の再利用、サーバーや基板まわり、安定稼働に欠かせない冷却システムなど、それぞれの事業が関わりを持っている。これをバーチャル組織として束ね、DCという市場でそれぞれが強みを発揮している。活況な市場への資源配分を王道としつつ、まだ成熟していない市場にも人員を充て、将来を見据えた投資を続けるスタンスは今後も変わらない」
――健全なバランスシートを今後の成長にどう生かしていく?
「現在はネットキャッシュ約470億円で、自己資本比率は50%を超えている。成長投資に150億円を設定しており、成長領域への『骨太投資』として航空・インフラやヘルスケアへの投資を実行していく」
「併せて、埼玉・川口に新しいテクニカルセンターを建設し、新技術のデモやセミナー、AI・自動化、フィジカルAIといったデジタル関連を融合的に提供する場にしていく。国内トップクラスの技術や海外のニッチで高い競争力を持つ製品を常にお客様に紹介するほか、省人化・省力化に向けてヒューマノイドロボットのような最先端ソリューションを提供。デモを見て終わるだけではなく、人が常時行き交うネットワーキングの拠点とすることで、新規顧客の開拓や新商材の開発にもつなげていきたい」
「M&Aはものづくり領域で当社にないピース、例えばSIer機能の獲得に注力しているところだ。また、AIを組み込んだ生産管理・監視機能によって、既存の設備が壊れる前の段階で予防保全・予知保全を提供できる、ストック型収益モデルを作るための投資を考えている。ASEAN・インドを中心とするアジア圏やアフリカでのM&Aも推進していく」
――10年後の目指す姿を教えてほしい。
「当社は現在『工場内のものづくり』を支えているが、AIの浸透や現場の人手不足など情勢が刻一刻と変化するなかで、10年後には産業インフラ全体を支援する『技術ソリューション企業』に変革していると考えている」
「『GX』『DX』になぞらえて考えているのが『BX』(ビジネストランスフォーメーション)だ。ビジネスモデルが10年で大きく変わっていく過程で、当社のコア事業を強化することにより、工場周りの社会インフラ・産業インフラまで踏み込まざるを得なくなる。例えば電力なら送電線に依存しない分散型のバイナリー発電システムのような、サステナブルに発電する仕組みを手掛けている。産業インフラを丸ごと担う会社に変わっていくという姿をぜひ注目していただきたい」
※速報版は最終的な校了前の紙面記事です。今後、修正等が入る場合があります。


