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インタビュー2022年1月6日

フレアス(7062・東マ) 澤登拓社長に聞く

在宅マッサージで看取り難民なくす

訪問看護と介護の看護小規模多機能型居宅介護に進出

少子高齢化が加速する日本。2025年には団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となるにあたり、介護対象者の多くが看取り難民となるリスクが指摘されている。フレアスは祖業である在宅マッサージ事業の強化に加え、訪問看護と介護の複合サービスである看護小規模多機能型居宅介護(看多機)への進出によって業容拡大を図る。

マッサージ事業は山梨の自宅でスタート
澤登拓社長があん摩マッサージ指圧師(マッサージ師)の国家資格を取得し、在宅マッサージを始めたのは山梨の実家応接間だった。事業開始から21年がたち、現在は全国に300を超える直営店とフランチャイズ(FC)を展開。高齢者の居宅や施設を訪問するサービスは医師の同意があれば医療保険が適用されるため、利用者の負担金額は1回当たり約400円、週2回の利用でも月間3,200円程度と格安で先進的なマッサージを受けることができる。国家資格を有するマッサージ師の施術により、寝たきりの高齢者が寝返りを打てるようになる、あるいは起き上がれなかった人が座れるようになり、さらにおむつが取れるといったADL(日常生活動作)の向上が確認されている。

看多機は在宅介護の切り札
事業の第2の柱になるよう注力していくのが看多機だ。看多機は病院から退院しても自宅に戻れない、あるいは介護施設などに入所できない高齢者向けの施設で、従来の介護施設で行われていた通いや泊まりに加えて訪問による看護をワンストップで提供することを可能にした。介護に携わる業者にとって医療面のハードルは高いが、フレアスの訪問看護ではこれまで蓄積したノウハウを生かすことができる。

中期経営計画は2年後に7割増収目指す
昨年12月にまとめた中期経営計画では、24年3月期売上高予想を63億1,100万円(21年3月期は36億7,200万円)、営業損益予想は3億2,900万円黒字(同1,600万円赤字)に掲げた。

主力の在宅マッサージ事業は、直営店85、FC255の計340拠点(22年3月期11月末時点)を有する。上場直後に直営店を増やそうとしたものの人材確保が困難だった教訓を生かし、現在はFC網の拡大に注力している。実際、M&Aによって拠点数は過去7年間で6倍強に伸びており、今後も年間50カ所程度増やしていく方針だ。拠点数の増加に伴って営業の手法も変わってきた。従来は地域のケアマネジャーを1件ずつあたって利用者を紹介してもらったが、今では介護施設の運営法人との提携が増えてきた。FC拡大による空中戦を展開することが可能なため、在宅マッサージ事業はすでに達成可能な計画だと考えている。

看多機は今年3月に千葉に1号店をオープンし、24年3月期までに13拠点とする予定だ。1棟当たり1億5000万円程度の費用を要するものの、多くは地主に建築をお願いして、フレアスはその物件をサブリースで賃借するため資金の心配をせずに拠点数を増やすことができる。澤登社長は、「看多機開設によって来期は増収減益を見込むものの、これが黒字化を目指している25年以降は収益に大きく貢献する」とみている。

IT活用した環境整備にも注力
フレアスでは、障害がある人の雇用率が27.3%と高く、読み上げ機能のついたiPadを配布したり、暗所視支援眼鏡の活用など視覚障害のあるマッサージ師を支援している。

また、産総研・東京大学と共同で鍼灸(しんきゅう)マッサージの効果検証に向けたデータベース構築も進めている。フレアスには100万症例もの患者のビッグデータがあり、マッサージによる生活水準の向上や寝たきり生活からの脱却といったデータ取得を目指している。これらをデータベース化することで、現場の効率化や新たな提案強化を図っていく。