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その他2026年10月30日

今週のAIチャート分析 — 日経平均は上げたが、多くの銘柄は逆に下げた週

AIが東証に上場する全銘柄の値動きを監視し、目立った動きを取り上げるコラム。今週は 3,634銘柄を分析した。売買の判断は示さない。

データ基準日:2026年10月29日(この日の終値までの情報のみを使用)
※20営業日前比(=20営業日前の終値との比較)、過去20営業日平均比(=過去20営業日の平均との比較)

今週のポイント

日経平均は上げたが、多くの銘柄は逆に下げている。行き過ぎのサインは売られ過ぎの方が多かった。サインの多くは、流れに逆らう動きではなく、もともとの長い流れの向きに行き過ぎたものだった。サインが出たことは、流れが変わったことを意味しない。「売られ過ぎ」は「安い」という意味ではない。長い流れが下向きのままの銘柄では、さらに下がる途中のこともある。買われ過ぎの側で取り上げた銘柄はどれも一年来の高値の近くにあり、高値を更新していくのか、行き過ぎが収まるのかの分かれ目にある。

・過去と比べると、珍しいと言えるほどの動きではなかった。いちばん珍しかったのは日経平均の騰落率と中央値の差(日経平均が上)で 3.64ポイント。2017年以降の 2,384営業日 のうち、これ以上だった日は 108日 ある。
・市場で売買が特に多い 5銘柄 は、5営業日でどれも日経平均と同じく上げている(△6.1%〜△15.2%)。
・20営業日で見ると、日経平均は ▼3.14%、値上がりした銘柄は全体の 27.3%にとどまる。
・売買代金が1日平均 1億円 以上の銘柄で、行き過ぎのサインが出たのは 35銘柄(売られ過ぎ 30・買われ過ぎ 5)。
・そのうち 26銘柄 は、長い流れ(200日移動平均)と同じ向きのサイン(下降中の売られ過ぎ、上昇中の買われ過ぎ)だった。長い流れと逆向きのサイン(上昇中の売られ過ぎ、下降中の買われ過ぎ)は出ていない。
・業種別にサインが出た割合が最も高かったのは輸送用機器で、47銘柄のうち 6銘柄。業種ごとの偶然のばらつきと区別できるほどの偏りではない。
・市場ごとに行き過ぎのサインが出た銘柄から 5銘柄を取り上げる。売られ過ぎの側はフタバ産業(7241・P)、帝国ホテル(9708・S)、ポート(7047・G)。買われ過ぎの側は高速(7504・P)、フリー(4478・G)。

【1. 今週の市場で起きたこと】

日経平均は5営業日で△2.78% と上げた。東証の銘柄の騰落率を並べた真ん中の値(中央値)は▼0.86% で、多くの銘柄は日経平均とは逆に下げている。

今週は、過去と比べて珍しいと言えるほどの動きは見られなかった。

20営業日で見ると、日経平均は▼3.14%。同じ期間に値上がりした銘柄は全体の27.3%、日経平均を上回った銘柄は51.5% だった。

市場で売買が特に多い 5銘柄の、5営業日の騰落率は次のとおり。

・キオクシアホールディングス(285A・P): △15.2%
・アドバンテスト(6857・P): △14.4%
・太陽誘電(6976・P): △6.1%
・ソフトバンクグループ(9984・P): △10.7%
・レーザーテック(6920・P): △11.0%

【2. 取り上げた銘柄】

プライム・スタンダード・グロースの各市場から、売られ過ぎのサインが最も強い銘柄を選び、市場をまたいで買われ過ぎのサインが強い銘柄を添えた(売買代金が1日平均 1億円 以上の銘柄から)。

フタバ産業(7241・P)

フタバ産業

<プライム・輸送用機器>
RSI・ストキャスティクス・ボリンジャーバンドがそろって「売られ過ぎ」のサインを出している。

20営業日の騰落率は▼16.3%。長期の流れ(200日移動平均)は移行期で、株価は200日移動平均より10.2% 低い。一年来の高値まで22.5%。

この期間の開示(値動きとの因果は確かめていない)

・2026-10-28 中間期の決算短信を公表した(出典:2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結))

評価: 中立(短期は売られ過ぎ) 終値 914円

・短期の行き過ぎは、終値が 961.5円(ボリンジャー下限(-2σ)) を上回れば解消する。
・この見方が無効になる条件: 終値が 1,018.2円(EMA200)を上回った場合、この見方は無効。

帝国ホテル(9708・S)

帝国ホテル

<スタンダード・サービス業>
RSI・ストキャスティクス・ボリンジャーバンドがそろって「売られ過ぎ」のサインを出している。

20営業日の騰落率は▼6.5%。長期の流れ(200日移動平均)は長期下降で、株価は200日移動平均より16.6% 低い。一年来の高値まで47.0%。

この期間の開示(値動きとの因果は確かめていない)

・2026-10-29 中間期の決算短信を公表した(出典:2027年3月期第2四半期決算短信)
・2026-10-29 業績予想との差異に関するお知らせを公表した(出典:業績予想との差異に関するお知らせ)

評価: 弱気(短期は売られ過ぎ) 終値 885円

・短期の行き過ぎは、終値が 887.9円(ボリンジャー下限(-2σ)) を上回れば解消する。
・この見方が無効になる条件: 終値が 948.4円(EMA50)を2営業日連続で上回った場合、この見方は無効。

ポート(7047・G)

ポート

<グロース・サービス業>
RSI・ストキャスティクス・ボリンジャーバンドがそろって「売られ過ぎ」のサインを出している。

20営業日の騰落率は▼11.8%。長期の流れ(200日移動平均)は長期下降で、株価は200日移動平均より13.6% 低い。一年来の高値まで31.0%。

この期間の開示(値動きとの因果は確かめていない)

・2026-10-23 ENECHANGE株式会社の新設会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせを公表した(出典:ENECHANGE株式会社の新設会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ)

評価: 弱気(短期は売られ過ぎ) 終値 1,911円

・短期の行き過ぎは、終値が 1,916.1円(ボリンジャー下限(-2σ)) を上回れば解消する。
・この見方が無効になる条件: 終値が 2,157円(EMA50)を2営業日連続で上回った場合、この見方は無効。

高速(7504・P)

高速

<プライム・卸売業>
RSI・ストキャスティクス・ボリンジャーバンドがそろって「買われ過ぎ」のサインを出している。

20営業日の騰落率は△18.6%。長期の流れ(200日移動平均)は長期上昇で、株価は200日移動平均より41.2% 高い。一年来の高値まで1.5%。

基準日までの直近の期間に、開示は確認できなかった。

評価: 強気(短期は過熱) 終値 5,390円

・短期の行き過ぎは、終値が 5,373.6円(ボリンジャー上限(+2σ)) を下回れば解消する。
・この見方が無効になる条件: 終値が 4,611.6円(EMA50)を2営業日連続で下回った場合、この見方は無効。

フリー(4478・G)

フリー

<グロース・情報・通信業>
RSI・ストキャスティクス・ボリンジャーバンドがそろって「買われ過ぎ」のサインを出している。

20営業日の騰落率は△23.2%。長期の流れ(200日移動平均)は長期上昇で、株価は200日移動平均より43.5% 高い。一年来の高値まで4.4%。

この期間の開示(値動きとの因果は確かめていない)

・2026-10-28 譲渡制限付株式としての自己株式処分及び業績連動型株式報酬制度に基づく自己株式処分の払込完了に関するお知らせを公表した(出典: 譲渡制限付株式としての自己株式処分及び業績連動型株式報酬制度に基づく自己株式処分の払込完了に関するお知らせ)

評価: 強気(短期は過熱) 終値 4,385円

・短期の行き過ぎは、終値が 4,383.9円(ボリンジャー上限(+2σ)) を下回れば解消する。
・この見方が無効になる条件: 終値が 3,657.2円(EMA50)を2営業日連続で下回った場合、この見方は無効。

【3. ボリンジャーバンドの確認】

「ボリンジャーバンドの上限付近(%B 0.9 前後)や下限付近(%B 0.1 前後)に達すると反転しやすい」とよく言われる。取り上げた銘柄の過去の値動きで確かめた。

・フタバ産業: バンドに達した 111回 のうち、5営業日後に上げていたのは 49.5%。ふだんの日(どの日でも)に5営業日後に上げていた割合は 50.2%
・帝国ホテル: バンドに達した 113回 のうち、5営業日後に上げていたのは 59.3%。ふだんの日(どの日でも)に5営業日後に上げていた割合は 47.4%
・ポート: バンドに達した 74回 のうち、5営業日後に上げていたのは 52.7%。ふだんの日(どの日でも)に5営業日後に上げていた割合は 49.1%
・高速: バンドに達した 137回 のうち、5営業日後に下げていたのは 47.4%。ふだんの日(どの日でも)に5営業日後に下げていた割合は 44.0%
・フリー: バンドに達した 79回 のうち、5営業日後に下げていたのは 45.6%。ふだんの日(どの日でも)に5営業日後に下げていた割合は 50.1%

確かめた5銘柄のうち、普段より5ポイント以上反転しやすかったのは1銘柄、反転しにくかったのは0銘柄で、ほかは普段とほとんど変わらなかった。銘柄によって結果は分かれ、一律には言えない。
集計期間は2016年以降。過去の集計であり、今回も同じ動きになることを示すものではない。

【4. まとめ:来週に向けて見ておきたいこと】

・指数と自分の銘柄は分けて見る。日経平均の数字だけでは、多くの銘柄の動きは分からない週だった。関心のある銘柄の動きは、日経平均との差で確かめられる。
・短期の行き過ぎが収まったかは、買われ過ぎの銘柄なら現在値の0.3%以内の下、売られ過ぎの銘柄なら現在値の0.3%〜5.2%上にある水準を、終値が越えるかどうかで見られる。
・見方そのものが変わる水準は、現在値から7.2%〜16.6%離れている(銘柄ごとの「この見方が無効になる条件」)。短期の行き過ぎが収まることと、流れが変わることは別である。
・「売られ過ぎ」は「安い」ではない。帝国ホテル、ポートは、長い流れ(200日移動平均)が下向きのままでサインが出ている。下がる流れの途中で一時的に行き過ぎただけのこともあり、行き過ぎが収まっても流れが変わったとは限らない。
・高速、フリーは、一年来の高値まで5%以内の水準で買われ過ぎのサインが出ている。高値を更新していくのか、行き過ぎが収まるのかは、下の「行き過ぎが収まる目安」と終値を見比べると確かめられる。
・大きく下げた銘柄のその後(参考)。当研究室の検証では、1ヶ月で25%超下げた銘柄の翌月の平均騰落率は +3.95%(同じ期間の全銘柄の平均は△0.74%・1,356例)だった。ただし、本稿の「売られ過ぎ」のサインとは条件が違い、約1,144銘柄・2016年から2023年までの測定で本稿の母集団とも異なる。上場廃止になった銘柄を含まない(生存者バイアス)うえ、あくまで平均であり、個々の銘柄が上がることを示すものではない。
・「バンドに達したら反転」は一律には言えない。第3節で確かめた 5銘柄 のうち、普段より5ポイント以上反転しやすかった銘柄は 1銘柄にとどまる。よく言われる見方でも、銘柄ごとに過去の値動きで確かめる必要がある。
・フタバ産業、帝国ホテル、ポート、フリーは、この期間に開示があった(第2節)。開示と値動きの関係は本稿では確かめていない。内容は各社の発表で確かめられる。
・水準を越えたかどうかは、すべて終値で判定している。日中に一時越えても、終値で戻れば越えたとは数えない。見方が変わる条件を「2営業日続けて」としている銘柄は、一日だけの動きで判断しないためである。

銘柄ごとに見ておきたい水準

フタバ産業(中立)
行き過ぎが収まる目安は終値 961.5円(現在値の 5.2%上)。見方が変わるのは終値が 1,018.2円(EMA200) を上回ったとき(現在値の 11.4%上)。

帝国ホテル(弱気)
行き過ぎが収まる目安は終値 887.9円(現在値の 0.3%上)。見方が変わるのは終値が 948.4円(EMA50) を2営業日続けて上回ったとき(現在値の 7.2%上)。

ポート(弱気)
行き過ぎが収まる目安は終値 1,916.1円(現在値の 0.3%上)。見方が変わるのは終値が 2,157円(EMA50) を2営業日続けて上回ったとき(現在値の 12.9%上)。

高速(強気)
行き過ぎが収まる目安は終値 5,373.6円(現在値の 0.3%下)。見方が変わるのは終値が 4,611.6円(EMA50) を2営業日続けて下回ったとき(現在値の 14.4%下)。

フリー(強気)
行き過ぎが収まる目安は終値 4,383.9円(現在値のすぐ下)。見方が変わるのは終値が 3,657.2円(EMA50) を2営業日続けて下回ったとき(現在値の 16.6%下)。

本稿は売買の判断を示さない。上の水準は、ご自身で判断するための材料として使っていただきたい。

【5. 用語の説明】

・行き過ぎのサイン — RSI・ストキャスティクス・ボリンジャーバンドの指標が、そろって「買われ過ぎ」または「売られ過ぎ」を示した状態。たとえば RSIは70超を買われ過ぎ、30未満を売られ過ぎの目安とする。これらはどれも同じ「行き過ぎ」を別の計算で測っており、互いによく連動する(当研究室の測定では RSI と直近1ヶ月の騰落率の順位相関は▼0.89)。サインは上がる・下がるの予測ではない。

・移動平均 — 過去の終値の平均。200日移動平均の上にあり平均自体が上向きなら長期の流れは上昇、下にあり下向きなら下降と判定している。本文のEMA50・EMA200は、直近の値動きを重く見る計算方法(指数平滑移動平均)でとった50日・200日の移動平均で、「見方が変わる水準」に使っている。

・ボリンジャーバンド — 過去20日の終値の平均から、値動きのばらつき(標準偏差、σ)を使って上下に±2σ離した帯。「ボリンジャー下限(-2σ)」は帯の下の線を指す。%B は帯の中での株価の位置で、下の線で 0、上の線で1になる。

・中央値 — 銘柄の騰落率を小さい順に並べたときの真ん中の値。一部の銘柄の大きな動きに引きずられにくい。

・売買代金 — 株価×出来高。売り買いされた金額で、多いほど取引が活発なことを示す。

【6. ご注意】

・数値はすべて日足の終値から算出しており、日中の値動きは考慮していない。上場廃止となった銘柄は含まれていない。
・当研究室の検証では、テクニカル指標による銘柄の順位付けはベンチマークを 7.4% 下回った。指標のサインは収益を予測するものではない。
・逆張りの傾向は測定できているが、その優位は売買コストで消える水準であり、短期売買の根拠にはならない。

今週、行き過ぎのサインが出たほかの銘柄(売買代金が1日平均 1億円 以上)

・買われ過ぎ(3銘柄)
東京産業(8070・P)、シマノ(7309・P)、ピーエス・コンストラクション(1871・P)

売られ過ぎ(27銘柄)
グッドコムアセット(3475・P)、MrMaxHD(8203・P)、燦ホールディングス(9628・P)、バロックジャパンリミテッド(3548・P)、パイオラックス(5988・P)など

本稿は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

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