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コラム2021年5月13日

木村佳子の気になる銘柄 <第1回> アルインコ(5933)、Macbee Planet(7095)

株式評論家・テクニカルアナリストの木村佳子氏が新聞に登場!! 日本証券新聞が全国で開催する「個人投資家向け会社説明会&株式講演会」でおなじみの木村佳子氏が、相場の注目点や、いま「気になる銘柄」を解説します。第1回はアルインコ(5933)Macbee Planet(マクビープラネット、7095・東マ)の2銘柄です。

全体相場の“気になる”6月末に向けて思惑ひしめく
これから6月末にかけては非常に思惑を呼びやすいタイミングです。多くの外資系企業が決算月としていることやメジャーSQ(特別清算指数)があること、そして今年は東証の市場再編にまつわる大きなターニングポイントが控えています。
ご存じの通り来年4月4日から東京証券取引所の市場区分が変わります。1部、2部、JASDAQ(スタンダード、グロース)、マザーズの4市場から、プライム、スタンダード、グロースの3市場へ。時価総額や株主数などをもとに企業が振り分けられるのですが、その際の基準値を6月30日のものとすることが決まっています。この基準値をもとに東証から企業へ「判定結果」が7月中に通知されて、企業は新市場への準備を整えつつ来年1月の発表を待つ――という流れ。ですから今、6月30日の「移行基準日」に向けて、M&Aなど時価総額の拡大、自社株買いなど流動性向上に関する戦略を急ピッチで進めなければと焦る企業が多数あります。

アルインコ 業績・株価とも「堅実」、配当は「安定」

業績・株価とも「堅実」、配当は「安定」
東証の市場再編、この荒波を前にIR(投資家向け広報)活動へと積極的に乗り出す覚悟を決めた企業については、大きな材料性を感じます。特に、個人投資家を多数集めたセミナーの開催、この行動そのものがプライム維持への自信や意欲の現れですが、そもそも「投資家に伝えたいニュース」がなければ、社長自らが「投資家の前に立つ」は決断できません。

そこで注目したいのがアルインコです。4月19日に東京でセミナーを開催しましたが、30日に本決算と中期経営計画を発表、そして再び5月21日にも東京でセミナーを予定しています(※1)。

足場など建設機材の製造・販売・レンタルを主力事業とする企業です。創業1970年の老舗。しかし業績はおおむね右肩上がりを続けています。株価は、ここ数年は1,000円を挟んで横ばい気味ですが、配当(※2)は数年おきに増配するなど非常に安定しています。にもかかわらずPBRは1倍を割れるなど割安感もあります。

なにより国土強靭化という国策にひもづけられる銘柄です。東京五輪など期間限定ではなく長期にわたるテーマですので、常にウォッチしておき、1000円を割り込んだときなどと自分のタイミングで買う、は、おもしろいかと思います。

※1:5月14日には大阪でのセミナー開催を予定していましたが、中止に。大阪府が緊急事態宣言下のイベントについては無観客開催を求めたため。
※2: 4月30日に、2022年3月期の配当を40円(中間と期末、各20円)と、21年3月期実績の38円から引き上げることを発表しています。

Macbee Planet プロも魅了する業績伸長率!!

Macbee Planet(マクビープラネット)は昨年3月にIPO(新規上場)した企業です。今はロックアップが外れて売りたい人が売った後、まっさらな状態――のはずなのに、とにかく株価が急騰しています。個人投資家からは「こんなに高い株、誰が買えるか!!」「分割してほしい」といった声が聞かれますし、その気持ち、私も非常によく分かります。

分かります、が、仕方がありません。21年4月期は39%増収、65%営業増益と、これだけ業績が伸長しているのですから、そりゃあ、いつも見慣れている私でさえ惚れ惚れするチャートになってしまうのは、仕方のないことだと思います。

業績が良い、は、もちろんですが、見事なチャートの理由、それは「機関投資家」です。大株主の構成を見ますと、小嶋社長は20年4月末時点から保有株を減らし、代わりに、日本カストディ信託口、モルガン・スタンレーMUFG証券といった、いわゆる機関投資家が増えています。利益の伸びを好感した機関投資家が入ったため、需給がタイトになった――といった状況です。

本稿は4月3日と4月19日に行われた株式講演会の内容をテキスト化したものです。次回の掲載は5月21日付を予定しています。

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