インク品薄を逆手に取った“したたかな戦略”
中東情勢の緊迫化を背景に、原油精製過程で生じるナフサ供給の不安定化により、包装用インクの調達にも影響が及んでいます。こうした状況を受け、カルビー(2229・P)は5月12日、「ポテトチップス」「かっぱえびせん」「フルグラ」など計14品のパッケージについて、従来の多色印刷から白黒2色仕様へ変更すると正式に発表しました。対象商品は5月25日以降、順次店頭で切り替えられる予定です。
本件は一見すると、地政学リスクによる供給制約への対応策にみえます。しかし注目すべきは、その「見せ方」です。通常であれば供給制約はネガティブ材料として受け止められやすい局面ですが、同社はモノクロ仕様をあえて前面に打ち出し、「石油原料節約パッケージ」と明記。多くのメディアに取り上げられ、SNS(交流サイト)上でも「逆に目立つ」「限定感がある」といった声が広がるなど、話題を集めています。
特に注目されるのは、既存顧客の購買行動が大きく変化しにくい点です。「ポテトチップス」や「かっぱえびせん」は長年にわたり高いブランド認知を築いており、パッケージ変更のみを理由に需要が大幅に落ち込む可能性は限定的とみられます。その一方で、白黒仕様への転換は店頭で強い視覚的インパクトを生み、従来購入してこなかった層の関心を喚起する効果も期待されます。実際、SNS上では「限定感」や「話題性」が購買動機につながりやすく、広告宣伝費を大きく投下せずとも、自然発生的な情報拡散が進む構図となっています。
加えて、同社は「商品の品質への影響はない」と明示し、あくまで安定供給を優先した措置であることを強調しています。単なる供給対応にとどまらず、供給維持と話題形成を同時に実現した点は、同社の柔軟なブランド戦略を象徴しています。地政学リスクという逆風を新たな需要創出へ転換したカルビーのマーケティング戦略と、今後の販売動向に注目しています。
タレント、リポーター、モデル。ホリプロアナウンス室所属。明るく誠実でファッショナブルなキャラクターでTVやラジオ、CMなどで活躍。
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