TOP  NSJアップデート  IPO  IPO社長会見 エブリー 「食」データを起点としたマーケティング支援
IPO2026年8月5日

IPO社長会見 エブリー 「食」データを起点としたマーケティング支援

エブリー(607A・G)が4日、東証グロースに新規上場した。初値は公開価格を27.8%上回る294円。レシピ動画メディア「デリッシュキッチン」を中心とする動画メディアや、店頭デジタルサイネージなどのリテールメディアを通じた広告主向けマーケティングソリューションビジネスを展開。上場当日の記者会見で吉田大成代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

食生活プラットフォーム「デリッシュキッチン」

私たちはデリッシュキッチンを「家族の食卓を支える食生活プラットフォーム」と位置付けている。広告主であるメーカー、小売流通、生活者の3者をつなぐプラットフォームを通じて、独自の“食生活行動ビックデータ”を構築している。主にメーカー、小売向けの広告ビジネスである「マーケティングソリューションビジネス」が全体売上高の74%を占める主力ビジネス。継続的な売り上げ成長に伴い、2026年度は営業損益も黒字化を実現し、ここから利益拡大フェーズへと移行していく。

プロ監修の信頼性の高いコンテンツ

アプリ・ウェブのMAU(月間アクティブユーザー)3,100万超、SNS(交流サイト)のフォロワー数も1,300万を超え、ともに国内最大規模となっている。私たちは管理栄養士や料理の専門家を社員として採用しており、これらメンバーが作ったレシピコンテンツは足元で約5万7,000本を超えている。また、このレシピコンテンツは5段階評価において4.4とユーザーさまから高い評価を得ている。昨今はChatGPTなどのAIサービスの進展に伴い、Webメディアのトラフィックが減っていると言われるが、私たちのサービスはそれと逆行する形で成長し続けている。プロが作ったコンテンツは私たちの資産であるし、AIフレンドリーなサイトであるという形で評価されているのもかなり大きい。レシピという特性上、AIで材料名やレシピを検索した方が、詳しく手順を知りたいとサイトを訪れる形であり、AIが進化していく中においても、引き続き私たちのサイトは強く成長していけると考えている。

「食」に特化した行動ビッグデータ

オンライン/オフラインを融合させた“食生活行動ビッグデータ”をもとに、①食の生活を「知る」②トレンドを「つくる」③食の購買を「動かす」――という3つの優位性を持っている。オンライン接点では属性情報や行動情報、その中でも料理のスキル(初心者、上級者などのスキル情報)、食の嗜好(しこう)性(ピーマンが苦手、かさまし料理を求めているなど)といった食の領域にバーティカルに取り組んでいるからこそ、他にはないデータを所有している。一方、オフライン領域では購買データや人流データを所有しており、特に今までは可視化が難しかった店舗での購買データをオンライン側のIDと紐づけることが可能。例えば、朝10時にデリッシュキッチンでハンバーグのレシピを見た人が、その後食品スーパーでひき肉を買った、という流れをITベースでトラックできるような仕組みだ。

食品卸との連携によるリテールメディア戦略

①ではユーザーデータに基づいた生活者インサイトを解析できる。例えば、検索頻度のスコア分析により注目度の高い食トレンドを可視化できたり、季節指数の分析により地域特有の需要傾向を可視化することが可能。また、過去の傾向だけでなく未来予測も行っている。これらデータをもとに、広告主のマーケティングプランの上流から一緒に策定する。②では、私たちは常に高いエンゲージメント率を実現するコンテンツ制作力を保有している。また、アクティブユーザー数やフォロワー数を多く抱えており、コンテンツ制作力と高リーチ力を掛け合わせることで、広告主とともに新しい食のトレンドを創出する。③では日本最大規模の店頭デジタルサイネージ(1万1,000台)の展開により、全国にリテールメディアを構築している。大型モニターによる高い視認性と、陳列棚と連動したレシピコンテンツの配信で広告施策と陳列までを一気通貫で行うことにより、売り上げ効果の最大化、さらにはオフライン販促施策からデジタル販促へのシフト・強化を支援する。

圧倒的な効果実現

実際に広告配信前と配信後において、対象商品のPOSデータがどの程度引き上がったか、私たちのプラットフォームで確認できる。また、同一のカテゴリー・商品に対してどの程度引き上げ効果があったのか、さらには性別・年代でどの層がどこにリフトしたのかなど詳細な分析が可能となる。過去のタイアップ配信では全案件の8割で引き上げ効果があったことが確認された。TVCMで同様の効果を出すには1億、2億円単位の費用が必要になるが、私たちのプラットフォームであれば数百万円~1,000万円程度でしっかり効果を出せるので、費用対効果はかなり高い。

「レシピ動画アプリ」から「AI料理アシスタント」へ

マーケティングソリューションビジネスの売上高の大半をロイヤル顧客(単価が年間1,000万円以上)が占めており、この社数の増加が高い売り上げ成長につながる。24年度の42社から25年度は62社と47.6%の成長を実現しており、26年度以降も増加を予測している。今後の拡張領域は「小売向けのCRMシステム」と「レシピ提案AI機能」。前者ではデジタルポイントカードやクーポンを搭載したアプリの提供によるビッグデータの強化、新たなリテールメディアの拡大による収益増加を目指す。後者では料理を決める前のインサイトデータの取り込み、プレミアム会員などの収益拡大を図る。私たちはデリッシュキッチンについて、レシピサービスから「AI料理アシスタント」への変革を目指している。今までは食材名やレシピ名で検索してもらっていたが、例えば「今日は暑いからさっぱりレシピを教えて」「ダイエット中なのでカロリー抑えめの料理を教えて」など、食材やレシピが決まる前のタイミングから私たちのプラットフォームを使っていただくことを想定している。(SS)

関連記事