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コラム2018年11月2日

☆Queen of MFTA® 「テクニカルノート」①

テクニカル分析の歴史は古く、約300年前に世界最古の先物取引所が生まれた日本の大阪堂島の米相場時代から始まったといわれています。今や日本発祥のローソク足は世界中で使用されており、一目均衡表や平均足といった日本古来の指標は海外でも人気です。

日本では1950~80年代のテクニカル分析手法(例:ストキャスティクス、RSI、MACD、ボリンジャーバンド等)が主流となっている傾向がみられます。一方で、テクニカルアナリストの年次世界大会(IFTA大会)では次々と新しい指標が発表されています。

今年は10月末にマレーシアのクアラルンプールにてIFTA大会が開催されました。来賓にマレーシア首相を迎え、ボリンジャーバンドでお馴染みジョン・ボリンジャー氏、アルゴリズム取引の権威、ペリー・カウフマン氏等、40人のスピーカーが登壇。日本からも著名テクニカルアナリストをはじめ、5名が発表を行いました。初日のディベートでは、「AIトレーダーと人間トレーダーのどちらが優位か?」等の内容で有識者同士が白熱した議論を交わし、興味深い意見交換ができました。また、来賓のマハティール首相のスピーチでは、テクニカル分析を用いて皆で市場を活性化していってほしいと、勇気付けられるお言葉がありました。

従来のテクニカル分析は収益性だけを単純比較したものが多くみられましたが、近年ではまぐれ当たり(データマイニングバイアス)や過剰な最適化(オーバーフィッティング)等が問題視されるため、バックテストやフォワードテストを行う、統計検定を加える等、より客観的な分析が求められます。近年のIFTA大会の傾向としてはAIやビッグデータの分析を用いたものも多くなりました。

私はIFTA大会で3年連続オリジナルのテクニカル手法の発表をしています。足元2年は「SKURT(スカート)」と名付けた統計指標の歪度と尖度を組み合わせた売買シグナルの研究をしており、トレンドの転換を捉えることを目的としています。まだ道半ばではありますが、いつか自分のシグナルが投資家の皆さんのチャートに組み込まれ、「これを使っていたからトレンドの転換を的確に捉えられた」と言ってもらえる日を夢見ています。

このコーナーでは筆者の視点からみた海外のテクニカル事情や、テクニカル分析の活用方法、マーケット動向等を紹介していきます。次回(11月19日付)はロケットサイエンティストのペリー・カウフマン氏のスキームについての寄稿を予定しております。

略歴:コモディティ会社にて支店長、トレーナー、株式先物ディーラー、ストラテジスト、テクニカルアナリスト等を経て現職。女性初で2015年国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)の最優秀論文賞(ジョン・ブルークス賞)を受賞し、MFTA®(テクニカル分析の修士/マスター)に。みずほ証券のセミナー講師として年間100件程度のセミナーに登壇。各種執筆、日経CNBC、東京FM等のメディアにも出演中。

[本紙11月5日付1面]

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