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IPO2024年4月5日

IPO社長会見 グリーンモンスター 投資を“体験型”で学習

グリーンモンスター(157A)が3月29日、東証グロースに新規上場した。同社は体験型投資学習アプリを運営。ユーザーを証券会社などに送客し、口座開設による成功報酬を得ている。初値は公開価格を73.4%上回る1,700円だった。上場当日の記者会見で小川亮代表取締役=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

お金の悩みは尽きない……お金に関する関心や悩みが増えている。これをもやもやしたまま留め置かず、皆さまに解決のための一歩を踏み出してほしいと考えており、金融リテラシーの中でも投資学習分野に注力している。投資の勉強というとYouTubeや書籍など座学で学ぶ方も多いと思うが、当社ではこれを体験型で学び、知識不足や心理的不安を解消する体験型投資学習アプリシリーズを提供している。主なラインアップは、積み立てNISA(少額投資非課税制度)が学べる「トウシカ」、日米7,000銘柄の実際の株価に基づいてバーチャルな株式投資体験ができる「かぶたす」、FXのデモトレードができる「FXなび」の3つ。これ以外にも、自社アプリをベースに全国銀行協会や野村HDと共同開発した「まねらん」や「つみたて投資学習アプリ」といったものを提供している。

新NISAが追い風……前2023年6月期は売上高17億円、営業利益1.6億円で着地した。今24年6月期は売上高20億円、営業利益は3.2億円を見込んでいる。売上高のベースとなるアプリダウンロード(DL)数も非常に堅調に推移してきており、現在、累積700万DLを超えるような状況。今年に入ってからの新NISAや為替変動などの影響でますます勢いづいている。また、売上高成長だけでなく営業利益率も15%まで引き上がっている。

広告費は原価で計上……当社の業績は少し特殊で、広告費は本来なら販管費などに計上されるものだと思うが、われわれは原価として計上している。主にアプリインストールに対する広告費を掛けているが、ある意味インストールは広告媒体でいう仕入れ。ユーザーをインストールとして仕入れて、それを口座開設につなげて売り上げ転換していくという考えだ。そのため、広告費を原価から除いた限界利益率は88%と、利益率の高いビジネスモデルで展開できている。

投資デビューを後押し……貯蓄から投資への流れのもと、投資への関心が高まっている中で、新たに投資を始める方も増えているが、関心はあるけどまだ投資を始められていないという方もますます増えてきていると感じる。こうした方々にとってわれわれの体験型で投資を学べるアプリは有用なツールになるだろう。

サービスのユニークさ……なかなか難しそうという投資に対するイメージ、損をしたら怖いといった心理的不安は座学では解消されづらい。こうしたユーザー心理に対して、われわれはゲーミフィケーション(ゲームの要素をゲーム以外の分野に応用すること)、あるいは段階的なコンテンツ開放による継続学習という当社独自の学習プロセスを盛り込んだ体験型投資学習アプリサービスが有効であると考えている。既に実績としても、毎月5,000人以上がわれわれのアプリを経由して投資デビューしている。新NISAや金融政策による為替変動も相まって、この1、2月はますます投資デビューされる方が増えた。

流通網とリーチによるポテンシャル……自社でアプリを配信するだけでなく、全銀協や野村HDと協働して若年層向けや金融機関向けの金融教育のデジタルツール提供もしている。また現在、人的資本経営などの影響で職域での金融教育も注目されつつあるが、この点については22年12月にFPコンサルティング社と資本提携をして、法人向けにも金融教育を提供できている。若年層向け(アカデミー)、職域向け(ビジネス)、あとは従来からやっていたtoCに対する直接の配信(コンシューマー)のそれぞれの頭文字を取ったABCで金融教育にリーチできている。さらにデジタルだけでなく、有人(ファイナンシャルプランナー)の両輪で金融教育を提供できていることが強み。

成長戦略……短期では体験型投資学習アプリとファイナンシャルプランニングサービスをしっかり伸ばしていく。中長期では今回の上場で得た資金をもって新たなサービス開発、アプリ開発に取り組み、ユーザーとの接点をより増やしていきたい。さらに現在は投資デビュー支援という比較的短期間のユーザー接触でとどまっているが、デビュー後の支援、例えばオンライン教育や動画eラーニングなどを提供し、ユーザーとのLTV(ライフタイムバリュー)を上げていく。

目指す姿……投資は個人の豊かさやお金という側面だけでなく、投資を通して社会とつながったり、消費者にとどまっていたところを支援者になっていくことも期待できる。より多くの投資家を増やすことによってより多くの社会の支援者を増やし、イノベーションや挑戦にあふれた世界にしていきたい。(SS)

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