ティアフォー(593A)が7月22日、グロースに新規上場した。名古屋大学の研究室で開発された自動運転向けのソフトウエア「Autoware」(オートウェア)を活用するスタートアップとして創業。オートウェアに自社技術を組み合わせ、自動運転車両の開発、販売、実証、導入支援など、多様な車種・用途への展開している。初値は公開価格を7%下回る1,009円だったが、23日は大幅高となった。上場当日の会見で、加藤真平代表取締役CEO=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
トヨタ、スズキなどと共同
当社は「自動運転の民主化」をビジョンに掲げ、誰もが利用可能なオープンソースの自動運転ソフトウエアであるオートウェア開発を主導。オートウェアをベースとした自動運転システムを提供する事業を手掛けてている。また、トヨタ、いすゞ、ヤマハ発動機、スズキ、コマツといったOEM(相手先ブランド供給)パートナーと共同で、自動運転システムの量産化、商用化にも取り組んでいる。2025年9月期の売上高は64億円で、22年9月期から年平均成長率は75%と高成長を誇っている。
今年度から海外展開も開始
サービスは3種類。モビリティーサービスは完成形の自動運転車両を自社で少量生産し、先行的に自動運転レベル4の社会実装を推進している。具体的には、「自動運転レベル4」による公共交通サービスのトータルパッケージを提供し、当社の自動運転システムを搭載した完成形の自動車両を販売している。全国39都道府県127地域での導入実績を有しており、今年度からは海外展開を始めた。次はデベロップメントサービス。こちらはOEMによる自動運転車両の量産事業で、自動運転システムを共同開発するサービス。ティアフォーが自動運転システムの開発キットを販売し、ティアフォープラットフォーム上でOEMパートナーと共同で、量産に向けた高品質な自動運転システムの作り込みを行う。プラットフォーム利用のライセンス料で、継続的に収益を得る。OEM生産が拡大するにつれ、ティアフォープラットフォームのマーケット浸透が進んでいく。最後がソリューションサービス。自動運転システムの個別コンポーネント開発に必要となるソフトやハードのツールを提供する。
オープンソースでコストは大幅削減
自動運転というテーマにオープンソースのアプローチを取り入れ、当社が主体となって開発を推進する世界最大の自動運転オープンソース「オートウェア」が大きな強み。誰でも無償で利用でき、自動運転に必要な基本機能を全て包含している。従来は自動運転システム全てをゼロから開発しなければならず、多額の投資が必要だった。オートウェアを活用すればラストワンマイルの開発にだけ注力すればよく、開発費、開発期間を大幅に削減できる。スケーラブルで柔軟な自動運転システムの開発が可能なため、OEMパートナーは自由にカスタマイズでき、顧客のさまざまな車種、ニーズに対応できる。海外ではロボタクシーなど特定の用途に特化した開発が先行しているが、当社はあらゆる車種に対応できる点が大きな特徴。
政府目標も追い風
今後、モビリティサービスでは国内の社会実装の地域数を拡大し、運用車両台数を増やすことが重要になる。今年4月時点で、既に前年の通期実績を上回る47地域から受注を獲得しており、着実に進捗している。デベロップメントサービスは各OEMパートナーとのプロジェクトが量産フェーズに移行していくので、ライセンス料収入による急速な事業成長を見込んでいる。政府は30年度までに1万台の自動運転サービス車両の社会実装を目標としており、追い風となっている。
将来的には半導体チップ販売も
中長期的には3つのサービスを確実に伸ばしていく。次のステップはグローバル展開で、既に世界各地のパートナー企業の協力を得て、将来の事業開発に向けた実証実験等を推進している。さらに、宇宙や街づくりなど自動運転技術を周辺領域に拡大することも計画している。また、将来的には半導体チップの設計をオープンソース化し、ハードウエアの領域においても競争環境をオープン化していくことを目指していく。半導体チップを売ることをビジネスにするのでなく、オープンソース化することで、ティアフォープラットフォームをさらに浸透させていくのが目的。
海外に追いつき、追い越せる
自動運転の技術、マーケットはようやく始まったばかり。現在、ロボタクシーなどの分野で、海外が一部先行をしていることは事実。この部分をしっかり学んで、これからどのように勝っていくか考えていく。われわれは自動運転システム開発をオープンソース化しており、国内の自動車産業との協力が進んでいるので、日本が追い付き、量産能力で上回っていくことはできると思う。また、公共交通や特殊車両の領域は日本が先行しており、今後のマーケットでは国産の自動運転車が世界でしっかり(シェアを)獲っていけると考えている。車種でいえば、現在、公共交通向けのバスシャトル、工場内搬送や建設機械のような特殊車両が先行しており、量産化、商用化を進めている。これがマーケットに浸透して、技術的にも事業的にも成熟すれば、中期的にロボタクシー、自家用車というマーケットに浸透していく。黒字化は大きな焦点になると考えているので、早期に黒字化を達成する計画で、事業成長を推進している。米中の大手競合は巨額の開発投資をしているが、ティアフォーの研究開発投資の対象はプラットフォームだけ。例えばAI技術は自社の研究開発投資は一切せず、オープンソースを活用すればよい。オープンソースではもう既にロボタクシーのようなものが走れる状態になっている。結果として得られる自動運転システムは、米中の競合が開発しているものと安全性、機能性は同水準になっている。ここがさまざまなステークフォルダーから評価、期待をいただいている最大のポイント。
使う側の民主化も大事に
「自動運転の民主化」という言葉には、作る側と使う側の民主化がある。作る側の民主化では、まさにオープンソースがキモとなっており、特定企業が高品質、高性能なものを作れる経済から、誰でも作れるようにゲームチェンジする。使う側では、一家に1台自動運転車がある未来は必ず来るし、車を持っていない人でも、公共交通機関を含めて誰でも利用できるようになる。この使う側の民主化も大事だと思っている。(HS)
※速報版は最終的な校了前の紙面記事です。今後、修正等が入る場合があります。

